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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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君の瞳が濡れていた。
それがどうしようもないくらい哀しかった。
僕にできることは、何ひとつないのだから。
ポロポロと溢れる涙を拭って、君は笑おうとする。
けれども意に反して、涙は大粒になっていく。
僕はそれを眺めていた。
ズボンのポケットにはくしゃくしゃのハンカチ。
差し出せなかった。
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新緑の葉がかじられていた。
犯人探しに、新緑の葉を一枚千切り、ブロック塀に置く。
気配を隠して犯人が来るのを待った。
すると、住宅地には珍しいリスがやってきた。
新緑の葉を盗むと、姿を隠した。
一瞬のことだった。
飼われているリスではないだろう。
まだこの辺りも田舎だということだ。
大きな手がほっそりとした手を取る。
軽々しく、指先を握る。
そして、手の甲に口づけをした。
それを見ていた私は苛々がMaxだった。
仕方がない風景だった。
ほっそりとした手の持ち主はこの国女王で、大きな手の持ち主はそれに仕える騎士なのだ。
でも、婚約者の前で見せるものじゃない、と思う。
『無力ではなく、微力。』

「ごめんね。僕が無力なせいで」と君にそっと呟いた。
君はニカッと笑った。
「あなたは無力ではなく、微力。少しは自分に自信を持ったら?」君は楽し気に言う。
「もっと力があれば、君をここから出してあげられるのに」僕は俯いた。
鳥籠の鳥はそれでも笑っていた。
『君がせっかく
 くれたサヨウナラを。』

夕陽が眩しい空の下だった。
僕がびりびりに破いたのは、君がせっかくくれたサヨウナラを。
別れることが嫌で、僕は自分勝手に君の手首をつかんだ。
君の瞳の端に溜まった水滴が夕陽に映えて綺麗だった。
僕はその瞬間を嚥下した。
サヨウナラは早い。
『分かり合えないと、分かり合えたのに』

私とあなたは分かり合えないと、分かり合えたのにと知ったのに。
どうしても一緒にいることができなくて、どうしても傍にいることができなくて。
そんなことが当たり前だって、ようやく分かり合えたのに。
別れなんてそんなものなのね。
涙はいらない。
「iotuは、愛を囁くように優しく最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
君は何も知らないままでいて。」

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僕は、愛を囁くように優しく最後の嘘をついた。
それは相手の笑顔のための嘘だった。
君が離れていく事実があるのならせめて最後ぐらい笑顔で別れたい。
「寂しくないよ。大丈夫」と。
自分の心を知らんぷりして僕は笑った。
君は何も知らないままでいて。
大丈夫、僕も何も知らない振りをするから。
「結婚、やめにしない」と私はブライダル雑誌を読んでいた君に言う。
「何か、あった?」君は尋ねる。
「愛しているか、分からなくなっちゃったの」私の姿が迷子のように見えたのだろう。
君は優しく頭を撫でた。
「あくまで僕が、あなたを愛していたいんです。そのための結婚式だよ」と君は言う。
ボイスチャットというのだろうか。
まるで電話をかけるように、彼は楽し気に話していた。
私と喋っている時よりもワントーン高い声だった。
海外のユーザーなのだろう。
英語で会話していた。
学校の授業も散々たる成績だった私には話している中身の意味が分からない。
思わず、私は歯噛みする。
記念日を忘れていた僕に、君は遠慮がちに、僕の腕に爪を立てる。
子猫のような鋭さが、君を幼いものにする。
もっと我が儘を言ってもいいだよ、と思ってしまう。
けれども、君は「次はないからね」と言って、わずかな痕を残して、手を引っこめる。
僕らの大切な記念日だ。
もう二度と忘れないよ。
『この感情に名前をくれよ。』

「お前を見ていると、胸がズキズキと痛むんだ」級友が告げてきた。
「心臓病?」と思わず、まぜっかえしてしまった。
教室中の視線が集まるのを感じた。
面倒なことになったものだ、と他人事のように思った。
この感情に名前をくれよ。と言う。
「同情?」と笑う。
『須藤菜々の簡単な告白』

『冷蔵庫のプリン、食べちゃった』菜々は姉に告白した。
姉は玄関で崩れ落ちた。『楽しみだったのに』という言葉に菜々は財布を持って家を出た。
目指すはコンビニ。
同級生がレジ打ちをしていた。
『このプリンが好きなのか?』と尋ねられたから『貴方と同じぐらい』
『あの日に、もどれない。』

懐かしい土の匂いがした。
住宅地の中でも、畑があるのに驚いた。
匂いがする方向を覗いてみると、肥沃な土の中に野菜が植わっていた。
家庭菜園がちょっと規模を大きくしただけだろう。
そんな空間を見ていたら、目の奥が熱くなった。
もうあの日に、もどれない。
「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「ずっと君と一緒だよ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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僕は、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をついた。
それは相手を守るための嘘だった。
君の手を取り、笑顔を浮かべる。
「ずっと君と一緒だよ」と。
先に天国で待っているから、君はゆっくりと来てくれてかまわない。
もう、覚悟は決めたんだ。
最後の嘘に騙された君は、嬉しそうに微笑む。
彼が問題行動を起こすと、付き合っている私が呼び出される。
先生たちも彼の行動パターンが分からないらしい。
幼稚園児のように無邪気で、残酷なだけなのに。
先生に呼び出される度に、ためいきをついてしまう。
こんな君に恋した私が悪いんですが。
それでも納得がいかない。
自分のことは自分で。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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