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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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「行っちゃ嫌だ」幼い妹が駄々をこねる。
上目遣いで、僕の手のひらにしがみつく。
僕はすっかり困ってしまった。
なんといっても、僕は歳の離れた妹が可愛くてしかたがない。
真っ直ぐに甘えられると、無下にできない。
僕よりあたたかい手を振り払うことなんてできない。
僕は困り果ててしまった。
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『「好き。」をゆずってください。』

唐突な言葉に「は?」と感じ悪く、返事をしてしまった。
「失礼」紳士然とした人物は、帽子を取り、会釈をした。
そして、もう一度、同じ言葉をくりかえした。
「好き。」をゆずってください。と。
「この方、誰かを好きになったことがないのです。だから」
『爽やかにサヨウナラ』

炭酸が入った清涼飲料水のようだった。
のど越しが爽やかで、にじむ汗を拭きとってくれるようだった。
緑の木々越しの太陽が眩しくて、今の季節を祝福しているようだった。
だから、ちょうど良いのかもしれない。
めそめそと泣くことはないだろう。
爽やかにサヨウナラ。
『こんにちは。孤独です。』

明るい声でそれはやってきた。
こんにちは。孤独です。と。
長いこと寄り添いあっていたものだから、こちらも慣れている。
膝を抱えたまま、会釈をした。
すると孤独は心なしか喜んでいるように見えた。
孤独も寂しかったのだな、と思った。
そんな孤独と二人ぼっち。
「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

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僕は、まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
それは本音とは真逆の嘘だった。
嘘をいうものは常に心とは正反対のものなのだから、当然なのかもしれない。
「これ以上関わらないでくれ」と。君に告げた。
だってもう、仕方がないだろう?
もう君を傷つけたくないんだ。
それなら方法は一つしかない。
古臭いかもしれないけれど、初めての給料は両親へのプレゼントだった。
ゆっくりと温泉にでも行って欲しいと、旅館代と交通費を包んだ封筒を用意した。
それが無駄になってしまった。
血まみれの家族の姿を見て、茫然としてしてしまった。
それからの記憶はひどく曖昧で、記録といった方がいい。
新聞の見出しの『一家殺人事件』という文字が目に飛びこんできた。
血まみれの家族の姿がフレッシュバックした。
あの日、バイトから帰ってきたら、家族は息をしていなかった。
「どうかしましたか?」と少女が青年に尋ねた。
「お腹が空いたみたいだ」と青年は取りつくろう。
今なら気がついた。
君と出会ったのは、春だった。
受験番号が張り出されたボードの側で、友だちと笑いあっていた。
それが始まりだった。
三年という月日を積み重ねて、別れの季節も春だった。
見知らぬ他人から恋人という関係になっていた。
その君が優しく、僕の指先をぎゅっと握る。
春なのに君は笑っていなかった。
『イフ サマー。』

人生には何度も分岐点がある。
選ばれなかった道は消失するだけだった。
そんなことをくりかえして、生きていく。
後悔を共に抱きながら。
流れていく時には『もしも』はない。
それでも思い返してしまう、夏。
イフ サマー。
あの時、君の手を取ったら変わったのだろうか。
『こんな朝に君はいらない。』

最悪の目覚めだった。
昨日の酔いが体中に残っている。
久々の深酒だった。
酒でごまかしてしまいたい、そんな理由がある夜だった。
耳元でスマホが鳴る。
着信画面には君の名前。
こんな朝に君はいらない。
だから、着信音を無視して目を瞑った。
会いたくなかった。
『マリンブルー・シンドローム』

海のように揺蕩うように、心が揺れる。
世界は海の青のように染まっていた。
こんなにも美しいものを見て、心は固まってしまう。
そんな人々たちが増えているという。
それはまるでマリンブルー・シンドローム。
生まれた時からわずらっているようで、懐かしい。
「iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

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僕は、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をついた。
君以外が、この嘘を聞かないように、耳元で囁いた。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。
「君を、信じきることができなくてごめん」と。
これで、君は自由の身だ。
僕から離れても、誰からも文句を言われない。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。
正論はいつだって人を傷つける。
正しいことが正義ではない。
時には優しい嘘が涙を拭うことがある。
正論を振りかざして、嘘を払拭しようとする。
それがどれほど傲慢なことか、正論を信じている人には分からない。
傷つく人がいることを想像できない。
私はそんな人にはなりたくないと思った。
あれも駄目、これも駄目。
母は厳しかった。
同級生が許されていることも、私には許されることはなかった。
それもこれも、私の未来のためだ、と母は言う。
母がいけないということをしたくなる。
青春は一度しかないのだから、後悔はしたくない。
手始めにナイショで『恋』というものをしてみる。
冷たい石牢の暗闇に閉じこめられて、震える。
それが今、日差しを浴びることができる。
少女は幸せを満喫していた。
それも、神剣・神楽を振るえることができる青年と出会えた幸運のおかげだった。
青年にとっては災難だろう。
そこが少女が幸せどまりで幸福を感じることができないところだった。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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