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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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「iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「君にもらったものは全部返す」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。
それは前へ進むための嘘だった。
「君からもらったものは全部返す」と。
優しさも、ぬくもりも、愛情も。
それらは僕を縛りつけて、振り返りたくなってしまうから。
もう、覚悟は決めたんだ。
君は「分かった」と少し寂し気な笑顔を僕に見せた。
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どこにでも行ける鍵を手に入れた。
子供時代の終わりを告げる儀式だった。
これからは、どんなことであっても自分の責任になる。
それを象徴するようなアンティークな鍵だった。
一つ歳をとっただけで昨日の自分と違いは分からなかった。
けれども、もう守られるだけの子供ではないことは分かった。
足を鎖でつながれて、監視カメラが24時間モニタリングしている。
窓には鉄の格子がはめられていて、部屋の鍵は外からしか開かない。
逃げようとしても、逃げられない状況にあった。
それはすべて私を守るためだという。
小さな窓から月光が差しこんできた。
背中から透明な羽が静かに開き始める。
肝試し、というわけじゃないけれど、近所の寺まで歩くことになった。
こじんまりとした寺は明かりもなく、どこか異界にさまよいこんだような気持ちになった。
一緒に歩いていた君が立ち止まる。
「帰ろうよ」と言った君の声は震えていた。
仕方なく、君の指を両手で包む。
「大丈夫」と僕は微笑む。
『いつかの僕が愛したあなたへ』

最果ての地にて、僕はようやく腰をおろせることができた。
これからは落ち着いた生活を送るのだろう。
真っ白な便箋を取り出して、ペンを執る。
書き出しはずっと前から決まっている。
『いつかの僕が愛したあなたへ』
僕は緊張しながらあなたへの手紙をつづる。
『哀しいけれど決めたのです。』

あなたには内緒です。
私は哀しいけれど決めたのです。
あなたとサヨナラをそっとすることを。
言葉に出しては言いません。
あなたの隣からすっといなくなることを決めたのです。
あなたが悲しまないために、行方不明になることを選んだのです。
気がつかないで。
『サヨウナラと一緒に飛び乗った最終列車のゆくえ』

この電車はどこまで行くのだろうか。
サヨウナラと一緒に飛び乗った最終列車のゆくえ。
終着駅は見ていない。
今の気持ちの私には、どこだろうとかまわない。
あなたから離れれば離れるほどいい、と強がりを思う。
もう会えない愛しいあなた。
「iotuは、無理に笑顔を作って最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

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僕は、無理に笑顔を作って最後の嘘をついた。
それは前へ進むための嘘だった。
君には少し残酷かもしれない。
今まで二人で手を繋いで道を歩んできたのだから。
「まだ一人で生きていける」と。
だってもう、仕方がないだろう?
そんな言葉でも言わなければ共依存で負のループしてしまうのだから。
「ねぇ、好きだって知ってた?」と唐突に少女が言った。
それに少年は驚いて、飲んでいた炭酸飲料を吹き出すところだった。
これはいわゆる恋の告白なのだろうか。
だがしかし、突然すぎる。
「何が?」平静を保つように少年は尋ね返した。
「私が今の季節が一番、好きだってこと」と少女は言った。
青年は「お腹空いたな」と独り言を口にした。
「簡単なものなら作れますが?」独り言に返事が返ってきた。
声の方向を見るとエプロン姿の少女がいた。
そうだった。
家族を喪った代償のように、少女が神剣・神楽と共にやってきたのだ。
「お願いできるかな?」と言うと少女は嬉しそうに微笑んだ。
『ようこそ失恋。』

上等なワインを買った。
酒のつまみになるようにナッツやチーズも買った。
持ち帰るのには難儀したけれども、無事に持って帰ってこれた。
テーブルにキャンドルを灯す。
グラスは一つだ。
「ようこそ失恋。今宵はせいだいに泣きましょう」グラスの中のワインはロゼだった。
『サヨナラ手順書』

それは恋の終わりを知らせる手順書だった。
どうすれば痛みが少なく、サヨナラができるのか、事細かく書いてあった。
それを手に取りパラパラとながめて、ごみ箱の捨てた。
痛みがあっても、恋したことを忘れたくない。
だから、サヨナラ手順書なんてものはいらないのだ。
『どうせなら、君ごとく。』

できないことを思い描いて、できないことを願っている。
いつでも、別れはスッキリせず、だらだらと離れてはついてをくりかえしている。
どうせなら、君ごとく。
キッパリと別れを告げたいと思う。
できやしないことを夢想し続けることなく。
君のようにありたい。
「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」

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僕は、まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
自然に、君が気づかないように。
それは自分の幸せのための嘘だった。
このままだったら二人そろって駄目になる。
それが分かったから「まだ一人で生きていける」と。
何とも情けなく、貧弱な嘘だろう。
君よ、そんな言葉をいっそ笑い飛ばしておくれよ。
「ゆめみたいなんてゆめみたい」と親友が謎かけのように言った。
「何かあったの?」私はかったるく思いながら尋ねた。
「好きな人がいるって、この前言ったよね」親友は言った。
私には言葉の続きが分かったけれども、我慢強く待った。
「両想いだったの。ゆめみたいでしょ」と嬉しそうに言った。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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