忍者ブログ
ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『君は死すとも、恋は死せず。』

僕たちの間に生まれた気持ちの名前は何だろうか。
それに君は『恋』と名付けた。まるで二人の間に産まれた子どものように、大切に育てた。
最初はおっかなびっくり、慣れてくれば時に手抜きを覚えて。
写真に残せなかったけれども。
君は死すとも、恋は死せず。
PR
「iotuは、穏やかに微笑んで最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「君が幸せなら、幸せだよ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

------

僕は、穏やかに微笑んで最後の嘘をついた。
それは歩き出すための嘘だった。
僕たちは、これから先も歩み続けなければならない。
その最初の一歩のための嘘だ。
「君が幸せなら、幸せだよ」と。
だってもう、仕方がないだろう?
二人そろって、手を繋いで歩いていくわけにはいけないんだから。
いつもお姉ちゃんからのおさがりだった。
それが就職を機にスーツを何着か購入することになった。
私のサイズに合うように、メジャーで計って作ったスーツだった。
私だけのもの。
それがたまらなく嬉しかった。
これから先、お姉ちゃんのおさがりを着なくてすむのだ。
心の奥底で私は大喜びした。
涙が虹色の結晶に変わる種族の生き残りの少女は、牢の中に閉じこめられている。
ありとあらゆる苦痛を与えられてきた。
少女はもう肉体的な痛みでは、泣くことはなかった。
精神的苦痛を与えることにした。
「助けに来たよ」スーツ姿の青年が少女を抱きしめる。
その青年の首を落とす。
涙が散った。
盛装をした青年は跪いて、首を垂れる。
正式な礼をされたデビュタントしたばかりの乙女は驚く。
「どうか、その手を取ることをお許しくださいませんか?」青年は淀むことなく言った。
乙女は驚きながら、手を差しだした。
青年の手は大きかった。
乙女のほっそりとした手を取り口づけた。
『愛おしい奴等』

「意外な感じですね」と部下が言った。
スマホに映ったフォトを見せていての会話だった。
「先輩は犬派だと思っていました」
「雨の日に子どもが拾ってきてな。今じゃ愛おしい奴等だ」と雑種の猫を見つめる。
ぐったりした猫を抱えて病院に駆けこんだのは、懐かしい思い出だ。
『君がくれた朝にて』

長い夜を独りで過ごすのが怖かった。
どこかに紛れこんでしまって、自分というものをなくしてしまうような気がした。
布団にもぐりこんで眠れぬ夜に怯えていた。
そんな僕に君は寄り添ってくれた。
長い夜が明けるのを一緒に見た。
君がくれた朝にて、僕は生まれ変わった。
『思い出手作らせて』

去り行くあなたに、何もできないなんて寂しいでしょう。
だから一つでも多く、思い出を手作りさせてもらえませんか?
あなたの旅の荷物に、そっと紛れこませてもいいですか?
今から、急いで、すぐに思い出手作らせてもらいます。
だから、その間、待っていてくださいね。
「iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「君にもらったものは全部返す」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

------

僕は、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
これ以上、気持ちを抱えていたら、僕の心は嘘で潰されてしまう。
「君にもらったものは全部返す」と。
初めて知った恋心も、眠れぬ夜を過ごす喜びも、君からもらったものは返す。
・・・泣いたりしないよ。
祝福を届けよう。
どんなものがいいだろうか。
お小遣いを出しあって、花束を贈ろうか。
想い出は今も色鮮やかなのだから、忘れることはないだろう。
愛する人と、僕と君と過ごした大切な時間だった。
愛する人が伴侶と共に永遠を誓う日がやってくるのだ。
だから、僕と君とで最大限の祝福を捧げる。
虚空にシャボン玉が吸いこまれていく。
透明な小さな泡はどこまでも飛んでいく。
風に吹かれて、生まれたての魂が舞っていく。
どこまで行くのだろうか。
シャボン液で泡が生まれていくのは不思議だった。
風よりも軽く、ふんわりと泳ぐように空に向かう姿は唄よりも軽やかだった。
終焉がくるのに。
まだ小さな君は、自分の感情を上手に言葉にできない。
喜びも、悲しみも、上手に表現できない。
ソファの上でくつろいでいた僕の元へとやってきた。
君は泣き顔で、僕の両手を握る。
小さなぬくもりは、柔らかな心が傷ついているような感じがした。
「もう大丈夫だよ」と僕は君の手を握り返した。
『君を騙しておきたい、たった一つのこと。』

君は単純だから、きっと騙しとおせるような気がする。
そんな余裕は、ただの強がりで、内心はドキドキしている。
君を騙しておきたい、たった一つのこと。
それは君よりも、僕の方が『好き』だということ。
僕の心の内がバレませんように、と祈る。
『お別れを切り分け』

ホールのケーキのように、お別れを切り分けましょう。
最後に味わう甘味は、忘れられないものになるでしょう。
綺麗に等分できるかしら?
飾られたイチゴも半分にしましょう。
心の痛みを分けるように、切り分けましょう。
どっちが悪かったわけではなかったのですから。
『蝶になれるのに蛹のままの君。』

予想以上に早く春がきて、あっという間に散ってしまった桜。
そんな早熟な春だった。
蝶になれるのに蛹のままの君。
どうして閉じこもっているんだい。
僕は君に問いかける。
けれども、君からの答えはなかった。
それが答えのようで、駆け足の春を見送った。
PREV ← HOME → NEXT
プロフィール
HN:
iotu(そら)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
フリーエリア
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH