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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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「iotuは、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

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僕は、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をついた。
それはたぶん最低なの嘘だった。
君に対して言うような嘘ではないことは、確かだった。
でも、この嘘を告げることで君が楽になるのなら、最低でも良かった。
「欲しい物は手に入れたから、もういいんだ」と。
僕の胸の痛みは消えやしないな。
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私の名前は透子。
『曇りなく、いつまでも透明でいられますように』と両親が願ってつけてくれた名前だった。
たくさんの愛情を注いでくれた両親には感謝している。
母の日にはカーネーション。父の日には黄色い薔薇。
それを恥ずかしいと思わずに贈れることができる。
そんな自慢の両親だった。
平穏という湯船に長く浸かりすぎていたようだ。
それとも策士が策に溺れたといった方がいいのだろうか。
あるいは、自分を上回る策士がいたのだろうか。
抜け道だと思った細い道に鉄砲隊が配属されていた。
それに撃たれる。
相手の練度が低かったから、生命だけは助かった。
撤収を余儀なくされた。
ソファの上に寝転がりながら、自由な時間を満喫していた。
仕事で追われる日常から解放された休みの時間だった。
ドタバタと君が駆けこんできた。
君は泣きそうになりながら、僕の腕を握る。
「虫が!台所に」と声を震わせて言う。
「分かった。退治してくるから離してくれないかい?」と僕は言う。
『昨日たちよ、
 明日をおしえて。』

「ずっと暗い中にいたの」カクテルグラスを覗くように君は言った。
「そこでおまじないのように唱えていたの」君はグラスの縁をなぞる。
「昨日たちよ、明日をおしえて。って」と君は僕を見つめた。
「願いは叶った?」僕は優しく尋ねた。
君は首を振る。
『失踪予防注射法。』

電信柱に写真付きの貼り紙をしていた時のことだった。
君は長々とためいきをついた。
僕はその横顔を見つめた。
「失踪予防注射があったらいいのにね」君は呟いた。
「それが法律化していたらもっといいね」と僕は笑顔を引き出すように言った。
写真には愛犬が写っていた。
『小銭みたいな恋。』

会計をすまそうと僕は財布を開いた。
すると君はためいきを零した。
それが気になって、僕は座り直した。
目の前には飲みきったコーヒーカップ。
「どうしたの?」と僕は尋ねた。
「まるで小銭みたいな恋。って思ったの」と彼女は言った。
僕らにはレストランは似合わない。
「iotuは、特別に優しい声で最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「今とても幸せだよ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

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僕は、特別に優しい声で最後の嘘をついた。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。
白いドレスに身にまとった義妹であり、かつての後輩である花嫁を見て微笑む。
「今とても幸せだよ」と。
白の礼装を着るのは自分ではなかったけれども。
「ありがとう」義妹は笑う。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
初めて好きになった人が、自分と同じ想いを抱いていることを知った時は嬉しかった。
二人は時を積み重ね、思い出を増やしていきながら、恋人同士になった。
そんな彼のことを好き、時々不安。
誰にでも優しい人だから、他の女性も彼のことが好きだって知っていた。
本当に私で良かったのだろうか。
白金色の頭髪の少年に勝たなければいけない。
そう思うことに、少女は疲れてしまった。
自分は自分なんだから、ありのままの自分を愛そう。
そんなことを考えるようになってしまった。
どれだけあがいても、少年に勝つことができないからだ。
「君も諦めちゃうの?」廊下ですれ違った少年が言った。
今日は法要があるからワイシャツを着た。
台所へと向かうと、テーブルの上には新聞が載っていた。
一面は惨殺な一家殺害事件だった。
青年は動揺する。
神剣・神楽を振るい、同胞を殺めても、こういう記事には慣れることができない。
「なにか?」少女が尋ねる。
「なんでもないよ」と取りつくろう。
僕たちは、またいつものように海へ来ていた。
わざわざ電車に乗り継いで、わざわざ電車に揺られながら。
いつもと違うのは、寄せては返す波打ち際を歩くのが君だけではないことだった。
たまには君の見ている景色を見てみたい、と僕が思ったからだった。
君は目を逸らしつつ、僕の指に指を絡める。
『脇役の恋にはせめて』

主役は良いよな、と万年脇役を務める僕は思った。
どんな経過をたどっても明確なエンディングが待っている。
それは悲劇的なものもあるかもしれないが、その経過には幸いが描かれる。
脇役の恋にはせめて一瞬の煌めきを与えてほしい。
できるなら幸福なエンディングを。
『痛みというより
 それは
 憧れに似て。』

好きな人にはすでに好きな人がいた。
私はその恋を全力で応援した。
やがて素敵な恋人同士ができあがった。
実らなかった初恋は、痛みというよりそれは憧れに似て。
いつかそんな風な恋がしたい、と思うようになっていた。
巡り会いに期待をする。
『君の唇に罪を』

棘花のように咲く花に恋に落ちた。
ふれれば指は傷だらけ、心も痛める。
嫌われているのだろうか、と痛む指に刺さった棘を抜く。
艶やかに咲き誇るさまは、鮮やかすぎて心に残って、離さない。
風に揺れる君。
今、君の唇に罪を重ねよう。
棘花の棘はもう恐れることはない。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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