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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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外出ついでに、洋菓子店に立ち寄った。
こじんまりとした個人運営のお店だが、お手ごろな値段と確かな味で、ひそかに人気があった。
青年は迷った末、苺のショートケーキと抹茶のロールケーキを買った。
出迎えた少女に紙袋を見せると、真ん丸な笑顔を見せた。
思わず守りたくなるような笑顔だ。
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植林を追いかけるドキュメンタリー映画を家で観ていた。
知らないことばかりで、それなりに楽しめた。映画が終わる時間がちょうど眠る時間だった。
家族に『おやすみ』を告げて自室に戻る。
布団にもぐったけれども眠れない。
映画の中の木は家になるために伐採された。
痛くはなかったのだろうか。
幼馴染に背後から抱きついた。
「暑い。くっつくな」と幼馴染は私の手を叩く。
それがいつもよりも冷たい様子だった。
離れてみると、寂しさが募った。
私は泣きそうになりながら、自分の両手を軽く握る。
その気配を感じたのか、幼馴染が振り返った。
「なんて顔をしているんだよ」と頭を撫でる。
旅行先で何が一番、楽しいかというとお土産を買うことだろう。
お留守番をしてくれた夫のために地ビールを購入した。
味が複数あったので、全部購入した。
呑んべの夫はどれが美味しかったか、判定を下すだろう。
酒の肴は柔らかな春キャベツ。
酒の邪魔をしないという。
夫の帰りを待つ。
『周回遅れの恋だけど、そばにいさせて。』

恋に落ちた人には、すでに相手がいた。
諦めきれずに、二人の近くで、恋の成り行きを見守った。
私にも好きだと言ってくれる人がいたけれども、全部断った。
二人に永遠の別れがやってきた。
「周回遅れの恋だけど、そばにいさせて。」と私は願った。
『盗作恋愛』

僕は恋に落ちた親友が羨ましくて、こっそりと他人様から恋を盗作した。
それはスリルに満ちた瞬間を僕に与えてくれた。
バレないように、すまし顔で恋愛をする喜びを味わった。
一度、禁断の味を味わってしまうと、次から次へと欲しくなるものだ。
僕は盗作恋愛を続けてしまった。
『幕間恋』

僕と君の恋は、まるで幕間恋のよう。
観客の目から隠れて、忙しく衣更えをして、変わる舞台装置に立ち位置を確認する。
どんなに情熱的に愛し合っても、幕が上がれば配役通りの赤の他人。
いったいつになったら、主役になれて恋を実らせるのだろうか。
僕はためいきを飲みこんだ。
「iotuは、情けなく笑って最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

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僕は、情けなく笑って最後の嘘をついた。
それは悪あがきのような嘘だった。
嘘でもいいから、とすがりつくような渇望だった。
「すべて夢でも構わない」と。
本音は仕舞い込んだまま。
僕は君を優しく抱き寄せた。
君がこの腕の中で、雪のように溶けてしまえばいいのに。
そんな栓のないことを思う。
後宮三千人、麗しい佳人であっても、なかなか皇帝にお目通りできない。
一夜の夢を賜ったとしても、それきりになることも少なくない。
院子に咲く花のように、姸を競い合う。
その中、皇帝から愛され、男御子まで授かった。
身分の低さが気に食わず、他の妃からいじめにあうことになってしまった。
新緑の中、ガーデンパーティを開くことになった。
私は薄紅色のドレスの裾をいじりながら、時間が止まってしまえばいいのにと思っていた。
今日、初めて婚約者に会うのだ。
そんな私の緊張に気づいたのか、兄が優しく私を頭を撫でる。
「とっても素敵な方だから、大丈夫だよ」と私に微笑みかける。
通学路の途中、僕はようやく君を見つけた。
僕は怒り顔で、君の腕を握り締める。
夕方の残照の中、君は悲しいぐらい美しかった。
君が先に帰って僕を置いていったことを忘れ去るぐらいに。
一緒に帰ろう、という約束を破って、僕が怒っていたことを忘れるぐらい。
夕陽に照らされた君は美しかった。
あ あなたとなら
い いつでも
う 俯かないで
え 永遠の時を
お お終いの日まで待っている
『好き妬き』

君はテーブルに肘をついて、ため息をついた。
「スキヤキみたい」君の呟きに「今日の晩ご飯は豪勢だね」と僕は言った。
君の手が伸びてきて、僕の頭を叩いた。
意外に痛かった。
君は紙切れに『好き妬き』と書いた。
「あなたがもてるなんて想像してなかった」と君は小さく呟いた。
『タダコイ』

目の前に少女が駆けてきた。
揺れるポニーテールが、まだ幼さを残していた。
「タダコイ、しませんか?」と少女は言った。
「タダコイ?」聞き慣れない言葉にオウム返しをしてしまった。
「はい。今なら無料で私と恋ができます」少女は言った。
色んな商売もあるものだ、と思った。
『水溜りの生花』

昼から夕方にかけて降る、と天気予報が言っていた雨は、結局上がって傘が荷物になった。
水溜りに映る青空が憎たらしい。
「ねぇ、見て」と君が手を引く。
水溜りには、どこから飛んできたのか、花びらが浮かんでいた。
「水溜りの生花みたい」と君は嬉しそうに微笑んだ。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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