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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『うたおうよ、どうせかなしいのだし。』

二人揃って、夕陽が沈んでいく土手に腰をかけていた。
一日の終わりを無言で見送っていた。
君は唐突に立ちあがった。
『うたおうよ、どうせかなしいのだし。』と幼子が告げるように言った。
確かに哀しい情景だ。
歌えば違う世界が見えるのだろうか。
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「iotuは、痛みを堪えながら最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「ずっと君と一緒だよ」、と。
君は何も知らないままでいて。」

------

僕は、痛みに堪えながら最後の嘘をついた。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
「ずっと君と一緒だよ」と。そんな嘘をついた。
ずっと一緒にいられるわけがないことは分かっていた。
永遠なんて紙切れよりも軽く、永久なんて羽よりも軽い。
それでもと願ってしまう。
君は何も知らないままでいて。
どうすればこの想いを完璧に伝えることができるのだろう。
貴方がどんなことをしていても、貴方がどんな言葉を投げつけてきても。
貴方の全てが愛おしいの。
貴方が貴方であるということだけで、私の心臓は高鳴るの。
そして『愛している、愛している』と告げるの。
だから貴方は貴方のままでいて。
『彼氏が浮気をしているんじゃないか』と共通の友人から教えられた。
心の中で、教えてくれた友人に感謝した。
私は悲しい顔を作り「そう」と小さく呟いた。
「まだ決まったわけじゃないし。気を落とさないで」友人は優しく慰めてくれた。
今の彼氏に飽きてきたところだったからラッキーだった。
どれだけ姿が変わっても、どれだけ声が変わっていても、君に出会った瞬間、魂が揺れた。
君と過去世で出会っている。
そんな確信があった。
過去世でも君に惹かれた。
今世でも愛しあう関係になるのだろうか。
時計の針は確実に進む。
今を君も僕も生きている。
過去世で惹かれあっても現実は違う。
君と口喧嘩した。
その日は謝らないまま、お互いの家に帰った。
しかし学校というのは罪作りだ。
嫌でも顔を合わせることになる。
クラスメイト達が探ってくるのも不快だった。
廊下に出ると君とすれ違う。
「ごめん」と僕は謝る。
君はさりげなく、指先を折れんばかりに握る。
まだ怒っているようだ。
「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「今とても幸せだよ」、と。
頼むよ、ごまかされてください。」

------

僕は、震えないように祈りながら最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
「今とても幸せだよ」と。
これからやってくる不幸せに僕は耐えられるだろうか。
一瞬の幸せが遠ざかっていくことだけは分かった。
頼むよ、ごまかされてください。
この先も僕らは幸せでいると。
祈るから。
テレビを観ていたら、子ども時代にやっていたアニメの再放送が始まった。
テレビは一台しかなかったら兄弟とチャンネル争いをしたな、と懐かしく思った。
今頃、兄弟はどうしているのだろうか、追憶する。
観たかったアニメだというのに楽しくなかった。
もう帰ってこない過去を思って、唇を噛む。
「ここから先、電車が揺れるから」とあなたは手を差しだしてきた。
その手を取るのには勇気が必要だった。
あなたと私は友だち同士。
その関係が変わってしまうような気がした。
電車が傾き始めた。
揺れるというのは嘘ではなかった。
仕方なく、両手のひらを折れんばかりに握る。
しかめっ面をした。
「iotuは、特別に優しい声で最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

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僕は、特別に優しい声で最後の嘘をついた。
これから君に告げる嘘は辛いものだから、至極優しく。
愛を語った時のように。
それはたぶん最低の嘘だった。
「君の全部を忘れたいんだ」と。
言葉はどれほど、君の心を傷つけただろう。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。と僕は自分勝手なことを思う。
叶わぬ夢を追いかけ続けていた。
いつかは叶う日が来るとほんの少し信じながら、夢を見続けていた。
両親が許した時間までカウントダウンが始まった。
諦めるしかない、と分かっていながらすがりついていた。
夢ならいっそ覚めてしまえ。
まぶたを開け、現実を見据えて歩きだせ。
何故か涙が零れた。
少女は気分転換に、学校の周りを囲う森林を散歩していた。
白金色の頭髪をした少年を見かけた。
隣には愛らしい女の子。
少女は思わず、樹に身を隠した。
二人は親し気に語りあって、それからキスをした。
少女にとって衝撃的だった。
家族と挨拶のキスしかしたことがないのに、少年は慣れていた。
愛とは安らぎのはずだった。
他人を思いやり、広い心を持つことだった。
けれども、今の私は鎖で繋がれている籠の鳥。
小さな窓から外を眺めて、飛び出していきたいと願う。
変わってしまったあなたを思い涙を流す。
流れた涙で石の床に文字を書く。
『それでもあなたを愛している』と未練がましく。
人の動きが活発になったような気がする。
いつもだったら座れる電車内も、立つ乗客がまばらにいる。
人混みが苦手な君は、そっとためいきをつく。
急カーブになったレールを走る電車が揺れた。
吊革につかまれない背丈の君は他人と接触しそうになる。
君は恥ずかしそうに、自分の両手のひらを握る。
『結末ありきの、高校恋愛。』

卒業が縁の切れ目。
進む道が違えば、それきり。
綺麗な想い出という額縁に飾られたサヨウナラ。
結末ありきの、高校恋愛。
最初から分かっているから、その涙も別れの言葉も飾り物のようだ。
それでも、してみたかったから恋愛に踏みこんだのだ。
僕は次へと進む。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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