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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『私でしかいけない街』

私には子どもの頃に作ったような秘密基地があった。
誰もいない、誰も来ないナイショの街があった。
そこでは化粧も、ヒールの高い靴も、食糧代よりも高いスーツも、全部いらない街だった。
私でしかいけない街に休みの度に訪れた。
私はありのままの自由を満喫した。
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『最終列車乗り過ごそうぜ』

君が「最終列車乗り過ごそうぜ」と言った。
「家に帰れなくなるよ」と私は言った。
「今から帰っても、どうせ怒られるんだ。それなら夜通し一緒にいようぜ」と君は笑顔で言った。
魅力的なお誘いではあった。
けれども私は首に横に振った。
独り最終列車に乗った。
『僕は僕をいそいだ』

僕はとてつもなく焦っていた。
僕が僕であることに自信もなければ、証明することもできなかった。
輝く一等星の君は君であることに揺らぎすらないのに、僕は違う。
外灯で消されるちっぽけな星ですらない。
だから、僕は僕をいそいだ。
再会する君の前で胸を張れるように。
手を伸ばす先なんてどうでもよかった
君の手を握り締めることなんて
臆病な僕にはできなかっただろうから
けれども『もし』僕が手を伸ばすことができたら
運命は違っていたのだろうか
一緒にどこまでもいけたのだろうか
「アーチェリーの言い換え言葉ってない?」紙の原稿用紙を走っていた鉛筆の音が止まっていた。
「洋弓?」私はいまいち納得できずに首をひねる。
「できたら口語で」親友は難しい注文をつける。
「アーチェリーはアーチェリーでしょ」私は読書を再開した。
鉛筆の音は止まったままだ。
「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

------

僕は、震えないように祈りながら最後の嘘をついた。
それはどうしようもない嘘だった。
「これ以上関わらないでくれ」と。
君の心が傷つくことを知っていて告げた。
これ以上、君を傷つけたくなくて、精一杯の嘘だった。
これが最後の嘘になる。
こんなことしか言えないなんて。我ながら馬鹿らしい。
少女はまるで葬式のような顔をして、青年の部屋に入ってきた。
パジャマ代わりのTシャツとジーンズ姿の青年は首をひねる。
少女は枕元の神剣・神楽をチラリと見た。
「ごめんなさい」と剣の巫女は謝る。
先日の大怪我を気にしているのだろうか。
「手放すつもりも、ないですけれど」と青年は言う。
うつらうつらと夢と現実の狭間を揺蕩っていた。
目覚まし時計が鳴る前のひとときは気持ちがいいものだ。
もう少し眠れるな、と思って毛布のぬくもりに包まれる。
再び夢の世界に入ろうとした瞬間、スマホが振動した。
目を開けて確認する。
メールが一通、届いた。
「おはよう」とそっけない文章。
誕生石でもあるガーネットの指輪をテーブルの上に置く。
指輪を貰った時の喜びは忘れられない。
いくら安物の石だとはいえ、誕生日プレゼントしてくれたことは嬉しかった。
震える声で「サヨナラ」と告げる。
数少ない荷物を持ち部屋から出て行く。
あなたは一度も振り返らなかった。
それが答えだ。
少女は青年から一番風呂を譲ってもらった。
お風呂は昼間のうちにピカピカと磨いたので気持ち良かった。
髪をタオルで拭きながら、青年のいる居間に向かう。
「お風呂ありがとうございました」少女はテレビを眺めている青年に声をかけた。
青年は振り返り優しく、少女の指を握る。
「あたたかいな」
『会えない距離を保った恋は』

ふと遠く離れたあなたのことを思う。
独り紅茶を飲んでいたからかもしれない。
向かい側にコーヒーを飲むあなたはいない。
こうして会えない時間を過ごしていると、自然と心はあなたの元へと向かう。
会えない距離を保った恋はハッピーエンドになるのだろうか。
『君の「好き」になりにいこう。』

顔を合わせる度に、君は「嫌いです」と言う。
その割には茶菓子の用意をしてあったり、お茶の準備をしていたりする。
それを君に訊いたら、素直に答えてくれるだろうか。
それとも、また「嫌いです」と言うだろうか。
よし、君の「好き」になりにいこう。
『桜前線をあげろ』

『桜前線をあげろ』と天の神様が命じたのだろうか。
今年の桜は駆け足に去っていった。
桜が見頃な季節は卒業式と重なった。
だからだろうか、よりしんみりと感じたのは。
散りゆく桜の中で、最後の約束をした。
『絶対、また会おうね』と級友と涙を流しあって指切りをした。
「iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「君が幸せなら、幸せだよ」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

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僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。
どうせなら覚めない夢であればいいのに。
現実はそうはいかない。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
「君が幸せなら、幸せだよ」と。夢心地で囁いた。
これが本音なら、楽だったのに。
君の幸せを祈っているのは嘘ではない。
僕がいないのが嘘だ。
幼なじみだから、いつも傍にいるわけじゃない。
ひとりの女の子だと見てほしいと思っている。
器用なのに言えない私と、不器用だから気付かない貴方。
ずっと好きだった、と告白してしまえばいいんだろうけれども。
そんなつもりではなかった、と言われるのが怖くて、私はなかなか言い出せない。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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