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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『夕闇ごっこ』

「もういいかい?」「まだだよ」くりかえされる鬼ごっこの声。
夕闇に紛れて、姿を隠す。
何度も問いかける声が路地に響く。
「もういいよ」と空地に返ってきた声。
鬼は夕闇に隠れている子どもたちを刈る。
それは危険な夕闇ごっこ。
それを子どもたちは知らないで無邪気に遊ぶ。
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『ソフトクリームリップス』

魅惑的なソフトクリームリップス。
君の唇は甘くて柔らかで溶けていきそう。
まるでソフトクリームを食べるように、素敵な味わい。
だから今宵も、君の唇をいただいてもいいかな?
今日のフレーバーはどんな味?
僕は楽しみでワクワクするよ。
君の唇をいただきに。
「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
・・・泣いたりしないよ。」


------

僕は、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をついた。
それはたぶん最低の嘘だった。
傷ついている君に対して言うべき台詞じゃなかった。
「世界は希望で溢れている」と。
君の瞳に溜まった涙が頬を伝う。
君は静かに泣いた。
僕までつられそうになる。
二人で不幸せごっこだ。
・・・泣いたりしないよ。
君が僕を想ってくれないのなら僕は一生、恋をしない。
恋というのは非生産的なものだ。
どれだけ想っていても、叶うとは限らない。
痛みと苦しみをお供に連れてやってくる。
辛いだけの恋なら僕は一生、君に恋をしない。
なんという二律背反。
すでに僕は君に恋をしているというのに、消しきれない。
しっとりしたガトーショコラ。
それに合わせるようにアールグレイの紅茶を淹れる。
久しぶりの休日の目覚めは、スッキリとしたものだった。
洗濯機を回しながら、チョコケーキをいただく。
奮発した甲斐があって、どっしりとした触感が美味しかった。
あっという前にケーキを食べ切ってしまった。
悪い言葉を使えば、そのまま言葉は返ってくる。
それが言霊なのだ。
だからできるだけ悪い言葉を使わないようにしていた。
そんな日々の中で捨て猫を拾った。
自分自身の分身のような気がしたからだ。
雨に撃たれる心が自然に動いたからだ。
言いようのない寂しさを抱えた一人と一匹。
雨は止まない。
君は満面の笑みを浮かべながら、僕の両手を折れんばかり握る。
どうやら怒っているようだった。
物理的に感じる痛みよりも、笑顔の下にある心に痛みを感じた。
僕はほとほと困ってしまった。
君にどんな言葉を投げかければいいのだろうか。
どんな言葉だったら君に受け止めてもらえるのだろうか。
『魔法使いの中で、
 君だけは魔法を使わない。』

「今日こそ、どうしてと尋ねさせてもらうよ」上から目線の言葉にため息をついてみせる。
「魔法使いの中で、君だけは魔法を使わない。どんな理由があるんだ?」聞き飽きた言葉だった。
「普通の女の子になりたいからです」と答えを重ねた。
『マスクだってクラゲになりたい。』

白い不織紙のマスクの群れの中に飛びこむ。
吊革につかまって、今日は座れなくて運が悪かったな、と思う。
言葉のない電車の中は、次の駅を知らせるアナウンスばかりが賑やかだった。
まるでここは海水の中のようだった。
マスクだってクラゲになりたい。
『酒ばかりがうまい日』

せっかくの晴れ予報も外れて月見酒を堪能することはできなかった。
雨音を肴に杯を傾ける。
雲の上はいやになるぐらい晴れているのだろう。
青空ばかりを見つめているのは飽きるだろうか。
尋ねてみても答えは返ってこない。
何もかもに呆れて酒ばかりがうまい日だった。
「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「君が幸せなら、幸せだよ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

------

僕は、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をついた。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。
「君が幸せなら、幸せだよ」と。
君には幸福になってほしい。
それは嘘じゃない。
けれども、僕以外の誰かと幸福になってはほしくない。
それは僕のわがままだと気づいている。
・・・うまく笑えたかな?
例えばカマキリのように、例えばクモのように。
自分が死ぬと分かっていて求愛をすれば、君は信じてくれただろうか。
命がけの愛情表現をするほど、僕には度胸はなかった。
君を愛しているけれど、命を失ってもいいとは思えなかった。
君と一緒に恋愛をしたいのだ。
だけど、それでは君は足りない。
胸元が大きく開いたドレスに、豪奢な羽のついた仮面をまとって娘たちは集う。
仮面舞踏会の始まりだった。
一夜の恋を求めて、紳士淑女たちはダンスをする。
仮初の愛の言葉を口にして、泡沫のダンスを踊る。
手を離した瞬間に忘れるような儚さの中、紳士熟女たちは熱のこもった瞳で見つめあう。
ロケットペンダントを貰ったのは慈悲だったのかもしれない。
写真一枚もない亡き母の肖像画が入っている。
若くして亡くなった母は、祖母にとってご自慢の娘だった。
だからこそ、私を引き取ってくれて育ててくれた。
大人になって祖母には人形遊びの延長線上だ、と理解して打ちのめされる。
少女がお風呂掃除をしている時だった。
後は泡を流すだけ、というところで青年がやってきた。
「どうかしましたか?」少女が問いかける。
青年はそっと、少女の手のひらに触れる。
「泡がつきますよ」と少女が言うと「小さな手だな」と青年は呟いた。
少女よりも大きな手のひらも泡だらけになる。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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