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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『ストロベリーショートショート』

ストロベリーショートケーキのように、甘酸っぱく、柔らかなショートショートを生み出したい。
味わいは、いつか味わったケーキのように。
読後感は、どこか懐かしく。
想い出になるような、記念日になるような話を書いて大切なあなたにプレゼントしたい。
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「iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「怖いものなんてないよ」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」

------

僕は、さりげなさを装って最後の嘘をついた。
それは相手を楽にするための嘘だった。
「怖いものなんてないよ」と。強がりを口にした。
君が何も知らない無垢な少女からルージュが似合う女性になりつつある。
僕のちっぽけさが分かり離れていくだろう。
こんな酷い嘘は、二度と吐けない。と思った。
君と手と手を繋ぐと、世界中の幸せを二人じめしているような気がするんだ。
君と僕だけで世界は完結している。
君の瞳の中に映る僕は、どれほど間抜けだろうか。
幸せに酔いしれている。
君はそんな僕を見て、微笑んでくれる。
繋いだ手を離したりはしない。
それだけで僕は誰より幸せになれるんだ。
どうして神様は昼と夜を分けてしまったのだろう。
活動する時間を太陽が昇っている昼と決めてしまったのだろうか。
段ボールの中で夜を過ごす僕は、独りぼっちだ。
誰も彼もが夜は眠っている。
話し相手すら見つけることができない僕は、分たれた時間を恨む。
昼に起きている人たちには分からない。
掛け時計の秒針が滑るように走る。
それはまるで狂気沙汰のように、変わらずに。
音もなく進むそれをぼんやりと眺めていた。
後どれぐらい経てば、朝日が昇ってくるのだろうか。
夜の隙間に迷いこんでしまった僕は、秒針を追いかける。
一秒でも早く朝がくればいいと願う。
孤独ではなくなるから。
君は嬉しそうに、僕の両手のひらをぎゅっと握る。
今日は雨が降らなくて良かった、と僕は思う。
雨が降ったら、君の飛び切りの笑顔を見ることはできなかっただろう。
久しぶりのデートは気持ち良い屋外だった。
心なしか太陽まで僕らを祝福してくれているようだった。
それぐらい僕も嬉しかった。
『君が空を泣かせたくせに
 君は傘をさして。』

予報にない雨が降り出した。
傘なんて持っていない。
この時期、折り畳み傘の一つでも持つものだな、と後悔する。
隣で傘が開く音がした。
そちらに目をやれば雨女で有名な級友がいた。
「君が空を泣かせたくせに君は傘をさして。いい身分だな」
『泣いて終いな』

恋なんてものは泣いて終いな、と気風よく言われた。
泣いて泣いて、カラカラになるまで泣いて、お終いにしまおう。そんな気持ちになった
「ありがとうございます」と礼を言うと「恋なんて死ぬもんじゃあるまいし。次が待っているようなもんだ」とカラッと明るく笑われた。
『恋路、お気をつけて。』

暗闇を提灯ひとつで道案内される。
案内役がふと立ち止まった。
「ここからは一本道です。恋路、お気をつけて。提灯なんかでは足りないでしょうから」
風変わりな言葉を告げると、提灯を手渡された。
この先どんな恋路が待っているというのだろう。
期待が湧きあがる。
「iotuは、穏やかに微笑んで最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

------

僕は、穏やかに微笑んで最後の嘘をついた。
それは前へ進むための嘘だった。
こうでもしなければ、後ろばかりを振り返って、前進することはできなかっただろう。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」と。
「本当に?」君が僕を真っ直ぐ見つめて尋ねた。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。僕は思う。
どこまでも透明で、曇ることのがなく、繊細で、簡単に割れてしまう。
そんな片想いをした。
まるで硝子のような片想いだ。
一方的な片想いはたやすく熱を持ち、ふれると熱い。
冷めるまで待つしかない、と思いこんでいた。
伝えることなど考えたことはなかった。
心が透明になっていく片想いだった。
何度も、私はお姉ちゃんと違う、と言い続けていた。
お姉ちゃんのように、綺麗で、優秀で、優しくはない。
なのにお母さんは、お姉ちゃんにできたのだから、私にもできると思っている。
それは強固で、ちっとも揺らがない思いこみだ。
私とお姉ちゃんは別だと解って欲しいと何度、思っただろう。
街灯のないような暗闇の中を歩き続けていた。
帰る場所は安寧の場所ではなくなってしまった。
それを思い出して、涙を滲ませる。
泣くもんか、と空を仰ぐ。
僕の気持ちを知らない月が輝いていた。
それがあまりにも美しかったから、僕の頬を水滴が伝う。
素直に家に戻ろう、と思えることができた。
結婚旅行に来たのはいいものの、新妻はふらりと姿を消す。
慌てて探すと、スマホを片手に風景を撮っている。
インドア派の新妻にとって、この旅行は刺激的なのだろう。
あるいは記念的なのかもしれない。
だからといって、ふらふらとされるのは困る。
僕は無理矢理、楽しそうな新妻の指先を握る。
『見捨てた数式の証明』

誰もが見捨てた数式の証明を解いてみせる。
1+1=2という単純な数式。
僕と君とで2になると暴いてみせる。
誰もが諦め、誰も知らんぷりした数式を僕は解いてみせる。
君を想う気持ちは単純で、はっきりしているのだから。
リンゴでもミカンでもいい。
必ず2になる。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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