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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『生きている価値なんてないんだ』とあなたは地面を見つめながら呟く。
自己肯定感の低いあなたは、死にたがりだ。
風のように消えてしまいそうな淡い輪郭。
それを引き止める私は厄介だろうか。
「私の為だけに生きて」とあなたの傷だらけの腕を握る。
あなたは顔を上げて泣き出しそうな顔をした。
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唇が肌にふれる感覚は素敵なものだった。
どこもかしこも角ばっているあなたの、柔らかな感触。
手の甲から始まったくちづけは、熱を帯びたものになっていく。
もっとと我が儘になる。
息もできないくらいに、熱いくちづけをちょうだい。
あなたしか考えられないほど、情熱的なくちづけが欲しいの。
君の部屋は黄緑色のものであふれている。
君が選択したものではないのは、分かっている。
君が好きなのは、ちょうど今頃の空のような水色。
僕の知らない誰かの影を見つけて、心が疼く。
いつか僕の好きな色で、君の部屋を染めることができるだろうか。
それぐらい自信がなく、黄緑色を見つめる。
アイスが美味しい季節になった。
暑いと言いながら食べるアイスの味わいは格別なものだ。
君が上目遣いで、僕の腕に触れる。
暑い、と触れあうのを嫌がる君の気持ちは分かっている。
パピコを半分に切って、君に渡す。
「おごりだよ」と差し出すと、君の瞳はキラキラと輝く。
それで報われたと思う。
『戦う足に
 高いヒール』

女の武器は一つじゃない。
深紅のルージュを唇に乗せて、戦う足に高いヒール。
カッコよさは7cmから。
歩道をカツカツと鳴らして、歩く姿は戦闘機。
ミニスカートを履いて、足の長さを魅せつける。
誰もが立ち止まるけれども、振り向いてほしいのは、ただ一人だけ。
『せめて僕の人生に名台詞を』

凡庸な人生だった、と僕は振り返った。
もうすぐお迎えが来るのだろうか。
そんな予感を覚えながら、病室のベッドで横たわっていた。
最期が近いのだろうか。
成人してから顔を見せることが少なくなった孫もいた。
視界が薄暗い。
せめて僕の人生に名台詞が欲しい。
『初変身』

今まではお母さんが買ってきた服を適当に着ていた。
これからは違う。バイト代の入った袋を握りしめ、ショップに入った。
店内は明るく、キラキラしく服飾雑貨も飾られていた。
どんな洋服を買えばいいのか、その品揃えの多さから、すでに迷子になってしまった。
初変身は遠そうだ。
「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」

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僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
それは相手を楽にするための嘘だった。
「すべて夢でも構わない」と。
君の手を握ったぬくもりも、君の屈託のない笑い声も、優しくふれた髪の感触すら覚えている。
忘れることはできない。
一夜の夢にはできない。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。
一目で恋に落ちた乙女には婚約者がいた。
美しい乙女だったから仕方ない。
どうか幸せに、と祈った。
幼い頃からの婚約者同士で、仲も悪くないらしい。
恋ではなく、情だというのなら、婚約者の席を譲ってはくれないか。
そんなことを考えてしまうぐらいに恋に落ちた。
どうしても未練が出てしまう。
虹色に輝く宝石は幸福を招くという。
そんなおまじないのせいか、虹色の宝石を涙のように流す妖精たちは乱獲された。
痛みつけられ、涙を流させる。
外道ということがまかり通っていた。
本来、妖精を慈しむことで手に入れることができる宝石は、捻じ曲がってしまった。
呪いの宝石となったのだ。
家同士の結婚といっても、当人同士の相性が良くなくては、長続きしない。
初顔合わせということで、相手の家へと向かった。
挨拶訪問に娘も緊張していたが、花が咲き誇る庭園を見たら目を輝かした。
「ようこそ」と少年が出迎えてくれた。
娘は嬉しそうに、差し出された手の指先にしがみつく。
『6月のクリスマスツリー』

彼女の部屋には季節感というものがなかった。
それの最たるものが電飾で彩られたクリスマスツリーだろう。
季節はすでに6月。
仕舞い忘れたという言い訳は苦しいところだろう。
彼女の意志で飾られているのだ。
それを指摘すれば彼女の機嫌は斜めになるだろう。
『サヨウナラ前世で逢いましょう』

君からの別れの言葉は冷たいものだった。
『サヨウナラ前世で逢いましょう』と君はすまし顔で言った。
来世という希望ひとつ、持たせてくれなかった。
思い返せば、君との出会いは偶然というものではなかった。
まるで前世からの恋人同士のように巡り会った。
『少しこんがり焼いた失望』

トーストのように、少しこんがり焼いた方が味がある。
最初から希望なんてものを持たなければ、失望することはないだろう。
分かっていながら、くりかえす僕は間抜けもいいところだ。
きつね色に焼いたトーストをかじりながら、何度目かの失望を僕は味わった。
「iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

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僕は、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をついた。
それはたぶん最低の嘘だった。
笑顔を浮かべて「君の記憶から消し去っていいよ」と。言った。
僕のことで、君の重荷になってほしくなかった。
どうせ最期の嘘になるのなら、最低な方が君にとって気が楽だろう。
だから・・・まだ、泣いちゃだめだ。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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