忍者ブログ
ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『少しだけ書き足した思い出の蛇足と結末』

寂しい思い出に少しだけ書き足した。
すぐさま蛇足だと思った。
寂しいままでいられなかったのか、と結末に後悔する。
どんな思い出もそれだけで充分だ。
少しだけ書き足したのは、まだ未練があったから。
思い出は飲みこんでしまえばよかったのに。
PR
『私の頬を叩けよ』

あなたを泣かしてしまった。
そんな弱い自分が嫌になる。
いつでも笑っていてほしいのに、正反対のことをしている。
「私の頬を叩けよ」と私は言った。
「あなたを泣かしたんだ。その権利がある」と続けて言ったら、あなたは涙を流しながら笑った。
「そんなことできないよ」
誕生日には大きなホールのケーキ。
歳の数だけロウソクを立てて吹き消す。
ネームプレートには私の名前。
イチゴが載った白いケーキを家族で切り分けた。
それは子供時代のことだった。
独り暮らしを始めた私にはカットケーキ。
イチゴが載っているのは同じだけれども、一人分のケーキが寂しかった。
温もりを手に入れるためには、高い壁があった。
温もりを手に入れるためには、広い湖があった。
簡単には手に入れられない大自然があった。
どうしても温もりを手に入れたかった私は飛びこむ。
溺れかけて、もがいても。
冷たい水温に熱を奪われても。
仮初であったとしても温もりが欲しかったのだ。
彼が唐突に力強く、指先を触れ合わせる。
驚いて彼の顔を見上げると、いたずらが成功したような子供の顔をしていた。
「驚いた?」と彼が尋ねる。
彼のいたずらで心拍数は上昇中だ。
でも素直ではない私は「全然」と平気な顔をして言った。
私の答えに彼は思案顔になる。
次のいたずらを考えている。
『よろしく人類』

ペットショップで猫と目が合った。
もう成猫に近く、大きな猫だった。
このまま捨てられるのだろうか。
『お値打ち品』と書かれたPOPが悲しかった。
結局私はその猫を飼うことにしてしまった。
家につき、ホッと一息をつくと「よろしく人類」と猫が喋り出した。
幻聴だろうか。
『貴方の思い出に海はありますか』

静かに視線が問うた。
僕は落ち着きなく、コーヒーをかき混ぜていた。
『貴方の思い出に海はありますか?』囁くような声で君は尋ねた。
君とは何度も海に行った。
海へ行くたびに写真を撮った。
『もちろんあるよ』
僕はスプーンでコーヒーをかき混ぜ続けた。
『私よ愛を伝えよ』

絶好のチャンスだった。
彼女は一人きりで、降る雨をながめていた。
その横顔が泣いているような気がしたのは、雨が降っているからだろうか。
私よ愛を伝えよ、ただ一人の想い人に。
勇気を総動員して口を開いた。
「大好きだよ」と、彼女の耳にそっと囁く。
視線が交わった。
「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

------

僕は、まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
「これ以上関わらないでくれ」と。離れゆく君に告げた。
嘘だと気づかれないで欲しかった。
口から零れた言葉が、ただの強がりだと気づいてい欲しくない。
明るく立ち去っていく君へ僕の胸の痛みは消えやしないな。
どこにでもある噂話だった。
下校時間に鳴るチャイムの間、誰にも見られずに手を繋いでいたら、一生の恋人同士になれる。
よくある噂話を彼女は楽し気に伝えてきた。
つまり実行をしたいというわけだ。
条件が難しいと僕は思った。
下校する生徒が多い中、誰にも見られずに、手を繋いでいる、とは。
長い髪がボタンに絡みついた。
朝の時間がない時だった。
丁寧に髪を解く余裕はなかった。
髪を切るか、シャツを切り裂くか。
刹那の選択に、髪を切る方を選んだ。
ハサミでボタンにこんがらがった髪を切る。
切った痕をごまかすように髪を結ぶ。
急がないと朝食を食べている時間が無くなってしまう。
君が嬉しそうに、僕の腕にしがみつく。
僕の心臓はドキッと飛び跳ねた。
君から伝わってくるぬくもりに心拍は上がっていく。
勇気のない僕からは、手すら繋げないというのに。
君は気軽にスキンシップをしてくる。
ちぐはぐな恋人同士だった。
今度こそ、僕から君へとスキンシップができたらいいな。
「iotuは、情けなく笑って最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

-------

僕は、情けなく笑って最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
これっぽっちも、君のことを考えていなかった。
「これ以上関わらないでくれ」と。心で思っている正反対のことを冷淡に言った。
君は瞳を潤ませて僕を見上げた。
それだけのことで決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
「君が愛しすぎて、愛の言葉が思い浮かばない」と彼は困ったような顔をして言った。
愛の言葉をかけてくれるのは嬉しいけれども、無理をしてほしくはない。
「態度で示せばいいんじゃない?」深く考えずに私は言った。
彼は名案を思いついたかのように、晴れ上がった顔をした。
そしてキスをした。
「これから罰を与える」と主が言った。
また痛みつけられるのだ。
それが分かったから、反射的に走る。
逃げたら余計に罰が増えるというのに。
それでも、その場から逃れたかったのだ。
走って、走って、全力疾走して、捕まってしまった。
「悪い子にはより罰を与えなければな」主は楽し気に哂った。
PREV ← HOME → NEXT
プロフィール
HN:
iotu(そら)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
フリーエリア
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH