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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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「iotuは、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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僕は、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をついた。
それは未来へと歩き出すための嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と。
半分嘘で、半分本当だった。
これからは毎日を、くだらなく過ごさない。
一日一日を刻むように大切にしていく。
君には悪いけれどもう、覚悟は決めたんだ。
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好きだの、愛しているだの、くだらない。
そんなのは一瞬の戯れにすぎない。
永遠に続く愛なんてどこにもない。
それを知っていて神の御前で誓うのだ。
彼女が結婚式場のパンフレットを持ってくる度に、心の中で面倒だと思っていた。
彼女とは一緒にいて苦痛じゃない。
なんだ、答えはここにあった。
体育館の後ろの壁には、たくさんの落書きがしてあった。
何でもここに願い事を書くと叶う、というジンクスがあるのだ。
恋人たちが好きそうな噂話だった。
恋人たちの刹那の願いが書かれている。
「ずっと一緒にいられますように」か、と思わず口に出していた。
片恋の自分には高望みすぎる願いだ。
「ご褒美にこのお菓子をあげよう。だからどちらが水に浸かっていられるか勝負だ」と今の主が言った。
「まあ、面白いことですわね」と令嬢が言った。
隷属している身だ。
選択権はない。
私はまだ冷たい水の中に飛びこむ。
隣でも隷属している奴隷が飛びこんだ。
水は冷たく、早く上がりたかった。
ビルの屋上は思ったよりも風が強かった。
それだけで僕の決心は揺らぎそうになる。
ぎこちなく、君の腕を指先でつつく。
「本当に飛び降りるの?」僕は尋ねた。
「これだけの高さがあれば充分だと思うんだけど」君は固い決心を見せた。
この世に未練がないか、と問われれば嘘になるけど君と一緒だ。
『個性ぶりっ子』

「君は個性的なぶりっ子だな」と親の歳ぐらいの教授に言われた。
「いや、個性ぶりっ子の方がしっくりくるかな?」教授は首をひねる。
私は、また訳の分からないことを言いだした、と心の中で思った。
顔には出さない。
教授の思うつぼになるからだ。
私は曖昧な相槌を打つ。
『晴れときどき馬鹿』

君は、晴れときどき馬鹿みたいな太陽だ。
僕という地上をこれ以上ないくらいの灼熱で焼く。
明るすぎる笑顔は眩しくて、目をそらしてしまう僕の方が馬鹿なのだろうか。
とにかく二人は、晴れときどき馬鹿なのは変わらない。
いつの日か、お似合いの二人だと言われたい。
『ドールと私の数奇な運命』

家には、母が大切にしていたドールがあった。
私の生まれた日にやってきたドールだ。
けれども、両親の別離によってドールと離れ離れになった。
母は私よりも大切にドールを抱いて、家から出ていった。
そして今、そのドールが目の前にいた。
母が亡くなったからだ。
「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
・・・どうしようもないな。」

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僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
このままだと二人は、傷つき傷つけあうだけだと分かったから。
ここで別れた方がいい、と思って嘘をついた。
それは傷をいやすための嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と。
強がりもここまで来ると立派なもの。
・・・どうしようもないな。
君は僕に何も言わずに消えた。
君が何を思っていたのか、君が何を抱えていたのか。
僕にはわからなかった。
ある日、突然僕の前から消えたのだ。
もっと話せばよかった。
もっと想い出を作ればよかった。
君がいなくなってから、僕はずっと独りぼっちだ。
他の誰とも代えられない君がいないのだから。
今日は夜空に瞬く銀河を見たくなって、仮眠をとった。
スマホのアラーム音で飛び起きる。
室内は当然暗くて、液晶画面に映し出された時刻も深夜だ。
いつもと違う時間に起きて、心臓がバクバクとした。
息を整えると、電灯をつけて着替える。
今夜は晴天だったらいい。
望遠鏡を背負って家を出た。
『感情図鑑』

「あったら便利だと思わないか?」と一風変わった作家は言った。
次の原稿の打ち合わせのカフェで私はぎこちない表情を浮かべる。
「もうプロットもできているんだ」と作家は袋から原稿用紙を抜き出して、私の前に置いた。
几帳面な字で『感情図鑑』という題名が書かれていた。
『街、伏せ。』

ある日いっせいに街が伏せった。
『待ち伏せ』ならぬ『街、伏せ』だった。
ペタンコになった街の中に、僕は閉じこめられた。
君を待ち伏せなんかしなければよかった。
そうすれば、この伏せられた世界の中で、困ることもなかったのだろう。
いつまでも続く街、伏せ。溜息をつく。
『君が蹴り上げた真夏』

君が蹴り上げた真夏はボールのように弾んでいった。
僕はアイスを食べながら、それを眺めていた。
君が蹴り上げた輝きは、天頂まで飛んでいって太陽になるのだろうか。
日陰の中、汗を手の甲で拭いながら、僕はそんなことを考えていた。
君は明るすぎる、と影に思う。
「iotuは、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「全部忘れていいよ」、と。
頼むよ、ごまかされてください。」

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僕は、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をついた。
それは相手の笑顔のための嘘だった。
どんな時でも笑っていてほしい君だから、心が張り裂けそうな嘘でもつくよ。
「全部忘れていいよ」と。
今までの思い出が塵芥になるなんて耐えられない。
それでも願う。
君よ頼むよ、ごまされてください。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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