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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『再生ボタン』

君の笑顔を見たかったから、僕は再生ボタンを探したんだ。
記録の中、少し幼い君は、屈託なく笑っていた。
悲しい顔ばかりする、今の君とは大違いだった。
心の中にある再生ボタンを押したのなら、映像の中のように君は笑ってくれるだろうか。
それとも、もう笑顔は忘れたかい?
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『大切な貴方へ』
『大好きな君へ』

「大切な貴方へ、伝えたいことがあるの」と私が言ったら貴方は笑った。
「偶然だな、大好きな君へ告げたいことがあったんだ」と笑顔のまま貴方は言った。
「お先にどうぞ」と私は微笑んだ。
「6月の花嫁になる気はありませんか?」と貴方は甘くささやいた。
「iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」、と。
君は何も知らないままでいて。」

------

僕は、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をついた。
それは自分のための嘘だった。
君のためについた嘘ではない、と自分に嘘をつく。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」と。
いつまでも覚えていて欲しかったのに、笑顔で僕は言った。
君は何も知らないままでいて。
それが幸せだから。
蒸し暑い季節になった。
動くと、ほんのり汗ばむ時期の到来に少女は憎々しく思った。
夜の時間が短くなっていく。
それは勉強にあてられる時間が減っていく、ということと同意義だった。
少女は白髪の頭髪の少年を思い出し、心の炎を燃やし始めた。
今度こそ、一位になって驚かせてみたい、と思う。
つらつらと考え事をしながら歩いていた。
だから木の根が張っていることに気づかずに転んだ。
それが木まで嘲笑しているような気がして、うつぶせのまま憎んだ。
いっそのこと伐採してやろうか、そんな物騒なことを思った。
何もかもが思い通りにならない人生を許さない。
それぐらいの意志だった。
いつの頃からだろうか。
私は私以外として生きた人生を薄っすらと夢も見るようになった。
最初はおぼろげなものだったけれども、今は映画を観るようにはっきりとしている。
だから、彼との突然の出会い驚いた。
このままでは、赤の他人としてすれ違ってしまう。
遠慮がちに、彼の腕にしがみついた。
『私よ、春へ、ゆけ。』

季節が移ろうとしている。
それを合図にする雨が降る。
もうこの季節に留まってはいられない。
天気は確実に夏へと向かっている。
あの人が消えた夏がくりかえされようとしている。
そんな心が張り裂けそうなことはできない。
私よ、春へ、ゆけ。
もう一度、出会うために。
『わずか彼方』

ほんの少しだけ距離が開いてしまった、と感じるのは私だけでしょうか。
あなたと私の間にできた距離を埋めよう、とあがく私は愚かでしょうか。
わずか彼方に行ってしまったあなたと引き留めようとする、私は無駄な努力としているのかもしれません。
それでも隣にいたいのです。
『人間解散』

小さな星に人間だけがごちゃごちゃと住んでいた時代は、遠く過去のこと。
今や宇宙のあちらこちらから、人間ではない生き物がやってくる。
いわゆる宇宙人なわけだが好意的だった。
やがて人間は宇宙へと飛び立つ船を造れるようになった。
人間解散して星のように散り散りとする。
梅雨なんてない砂漠を渡る人たちは楽器を携えるという。
星が降るような夜に陽気な歌を唄い、寂しさを紛らわす。
歩き続けて、果てのない空の下、見聞きした噂話を語り伝える。
それが使命だというように。
砂原が熱い風によって零れていくように、旅人は同じ姿ではあり続けられない。
「iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「いなくなったりなんてしないよ」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

------

僕は、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をついた。
それは君の傷をいやすための嘘だった。
切りたての髪で僕の傍にいる君。
「いなくなったりしないよ」と。
僕は君に嘘をついた。
僕も時期にいなくなるだろう。
その時、君に胸を貸す相手がいないことが辛かった。
胸の痛みは消えやしないな。
僕を選ばなかった君に最後に「幸せになって」と言った。
君は飛び切りの笑顔で「ありがとう」と言った。
だから、君にすがりつくこともできなかった。
幸せになって、なんて嘘だよ。
僕の隣にいない君は寂しくなってほしい。
それでも、不幸になってほしいと思えないほど、君のことが好きだった。
気がついたら昼だった。
たまの休みだったから、したいことはたくさんあったのに。
疲れて昏々と眠ってらしい。
目覚まし時計代わりのスマホのアラーム音を止めた記憶がうっすらとあった。
どうして起きられなかったのだろう。
まだ昼だ。
これからでもできることはあるだろう。
まずは昼飯の調達だ。
林は人の手を入れなければ、すぐに荒廃する。
定期的に木を間引いていかなければならない。
そこが森とは違うところだった。
けれども林業の従事者をかばうわけではなけれども、限界に近づいていた。
後継者不足で、海外から安い材木が手に入る。
そんな世の中では、いたしかたがないかもしれない。
偶然君と修学旅行で同じ班になった。
僕はなんてラッキーなのだろう。
片想いとはいえ、好きな人と自由時間を過ごすことができる。
幸運はそれだけで終わらなかった。
修学旅行用のバスで隣の席になったのだ。
「よろしくね」と君は嬉しそうに、僕の手のひらを指先でなぞる。
文字を書かれたようだ。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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