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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『割れた時計』

表面のガラスが割れた時計をいつまでもしていた。
「新しいの買ったら?」と友だち連中は、親切に言ってくる。
その度「ありがとう」と私は礼を言った。
新しい腕時計を買わない理由を説明しないまま、笑顔で。
頑固な私を構うのに飽きたのか、友だち連中は言ってこなくなった。
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うっかり好きになったのに

もう

すっかり好きだった。

どうやら手遅れのようです。

もう元には戻れないと

私にも分かります。

だから このまま

好きで良いと思います。

夢中にした責任をとってくれますよね?

うっかり屋の私のために。

その代わり 永遠の好きを

あなたに捧げます。

#詩
『君が傷だという勲章』

すっかりふさがった傷を君の細い指がなぞる。
そして悲し気に瞳を半ば伏せる。
君は傷だという勲章に水滴が落ちる。
君を守ってできた傷の上に静かな雨が降る。
俺にとって勲章そのものだというのに、君はいつまでも気にする。
雨は音という音を吸いこんだように静かだ。
「iotuは、痛みを堪えながら最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」

------

僕は、心の痛みに堪えながら最後の嘘をついた。
それはどうしようもない嘘だった。
何故こんな嘘をつくのか、痛がる心に問うような嘘だった。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」と。
本当は数々の思い出を永遠に刻みこんでほしいのに。
嘘だと言えたら、どんなに。
痛みから解放されるだろう。
君は虚ろな目をして、部屋の片隅でうずくまっていた。
「明日なんて来なければいいのに。もう生きていることに疲れたの」君は呟く。
「明日の朝は一緒にご飯を食べよう。飛び切りのオムレツを焼いてあげる」僕は言った。
君が僕を見た。
「生きている理由なんて、そんなものだよ」と僕は微笑んだ。
あの日、別れ際に君の手を取らなかったことをずっと後悔していた。
だから、数年ぶりに帰ってきた君と再会して、どれほど嬉しかったことだろう。
今度こそ、君を手放さない。
「ここも変わったね」と変わってしまった君が言う。
「君がいなくなってから、僕も変わったよ」とそっと言葉をささやく。
みんなが気づかない神様に向かって、会釈する。
すると神様も和やかな微笑みを返してくる。
小さい頃から見えていたから、今さらビックリしない。
それどころか神様と通じあえることは嬉しいことだ。
「何しているの?」と隣を歩くクラスメイトが尋ねた。
「なんでもないよ」と僕は処世術で言った。
ようやくとれた休みで小旅行に出かけた。
街は閑散としていて、マスクをする人たちと時折すれ違うだけだ。
かくいう僕たちも使い捨てマスクだ。
日帰り旅行でも、厳重に注意しなければならない。
ふらふらと歩く君にハラハラする。
僕は目を逸らしつつ、君の指先をぎゅっと握る。
君を捕まえておく。
『初恋いただけませんか』

「恋とはどんなものかしら?」と世間知らずの姫君は呟いた。
「恋をしたことはないのですか?」教育係の青年が微笑んで尋ねた。
「あったら、こんなことを言わないと思うんだけど」姫は頬を膨らませる。
その可愛らし仕草に「初恋いただけませんか?」青年は言った。
『今日から全部ラッキーにします』

「今日から全部ラッキーにします」と幼馴染が宣言するように言った。
「なんだそれ?」課題に取り組んでいた俺は顔を上げ、幼馴染を見た。
輝くような瞳を見て『よくわからないが、本気だ』と悟った。
「どんなことでもラッキーだったと思うようにするの」
『君の勇者にたる者』

退屈で本をめくっていた姫君の部屋に、兄王子がやってきた。
朗らかな兄王子に表情に、姫君はきょとんとした。
「君の勇者にたる者が現れたよ」と兄王子は告げる。
姫君は擦り切れだらけの本をテーブルの上に置いて「本当ですの?」と喜色を浮かべる。
まるで本のように。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」

------

僕は、ひどくためらいながら最後の嘘をついた。
それは現実逃避のための嘘だった。
君のことを真っ直ぐには見つめられない。
僕は自分のためだけに嘘をつく。
「君を、信じきれなくてごめん」と。
今でも君が裏切ったなんて思っていない。
そんな滑稽な僕を太陽のようにいっそ笑い飛ばしておくれよ。
君は僕には勝てない。
勝つことにこだわって本質を見逃している君は目隠し鬼状態だ。
いい加減思い知れば良いのに、と僕は思った。
君は僕の言葉では動かないことは知っている。
より意固地になるのが分かっているから、僕は口を閉じる。
可哀想な君にしてあげられることはない、と思うと切ない。
生まれたての種を心の中に埋めた。
嬉しいことがあった日も、悲しいことがあった日も、毎日水やりをした。
あなたから分けて貰った種だったから、枯らしたくはなかった。
やがて種からは双葉が生えてきた。
それが嬉しかったから、あなたに「ありがとう」と伝えた。
あなたは不思議そうな顔をした。
クッキーが上手く焼けたから、幼馴染にお裾分けに行くことにした。
玄関のドアを開けたら雨が降っていた。傘を持っていくか、悩んだけれども『隣の家だ、大丈夫だろう』と判断した。
インターフォンを鳴らすと幼馴染が出てきた。
私の髪にふれて、水滴をハンカチで拭う。
「次からは傘を差すこと」
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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