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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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君は何も感じないと思っていた。
僕が他の女の子と仲良くしても、物わかりのいい笑顔を浮かべていると思っていた。
嫉妬なんてしないと思っていた。
それは僕の思いこみにすぎなかったと知らされた。
君は泣き顔で、僕の指先を両手で包む。
「この手を握れるのは私だけ」と君は嗚咽混じりに言った。
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「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

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僕は、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をついた。
そうでもしなければ、心が揺れて、涙が流れそうだ。
それは本音と真逆の嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」と。
本当に欲しかった君を前に言った。
これが本音なら、楽だったのに。
永遠に僕は君を手に入れられない。
僕たちは家出することにした。
もう耐えられない家庭崩壊に、僕も君も未成年だというのに、家を出えることにしたのだ。
辛うじて貯めたお小遣いを握りしめて、街を目指す。
見つかったらどうしよう、という不安はあった。
また元の家に戻されるのだろうか。
「全部僕のせいしていいよ」と言った。
「これなんか、面白そうじゃない?」買い物に付き合ってくれた先輩には嬉しかったけれども、奇抜なものを勧められる。
「誕生日プレゼントなんですよ、先輩」と僕は言った。
「ありきたりなものよりも記憶に残るプレゼントになると思うよ」先輩は悪びれもせずに笑った。
僕は人選に誤ったと思う。
図書室で借りる本がクラスメイトと被った。
「次の課題で必要なんだ」と僕が言えば「こんな高い本、買う余裕なんてない」と君が言った。
その後も、こっちが借りる、成績がいいんだからなくても大丈夫だろう、と堂々巡りになった。
下校時間のチャイムが鳴った。
クラスメイトは諦めて遠ざかる。
ようやく天気は例年並みを覚えたようだ。
眩い夏を連れてくる梅雨らしい雨が降る。
僕も君も傘を差して登校する日々だった。
「いつになったら梅雨が明けるんだろうね」と君が言った。
差した傘の分、君との距離が遠い。
そしてそっと、君の指先を僕は指先でつつく。
濡れるのもかまわず手を繋ぐ。
『恋は結局やまなかった』

それは、ほんの少しだけ雨のようだった。
前触れもなく降り出して、いつやむかわからなくて、起きたらやんでいた。
違うのはその恋は結局やまなかったことだろうか。
胸の中にくすぶって、霧雨のように、全身を包みこむ。
気がつけば恋に瞳が濡れていた。
雨のように。
『結構そうやって死ぬんですよ。』

最近、退屈していませんか?
外には出ていますか?
結構そうやって死ぬんですよ。
人というのはあっさり、死ぬんです。
雨が降るだけで、死亡率が高くなる。
なんて繊細な生き物だと思いませんか?
群れていないと生きていられないので今は、生きづらいですね。
『夜をこじらせておりました。』

その日も、夜をこじらせておりました。
昼は雨が降っていて、ようやく止んだ時には夜になっていました。
それなのに、私ときたら駄々をこねていました。
そんなことをしても解決するはずもないと解っていました。
それでも夜だけ晴れていても意味がないのです。
「iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

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僕は、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をついた。
最後ぐらいは明るくお別れしよう。
それは悪あがきのような嘘だった。
「これ以上関わらないでくれ」と。
声のトーンは明るいのに、発言した言葉はひどく冷淡だった。
「わかった」君はうなずいた。
僕は・・・うまく笑えたかな?
自信がなかったよ。
「俺が悪かったよ。言い過ぎた」その言葉に、君は涙を流した。
「もう、喋ってくれないかと思った」と君は嗚咽混じりに言った。
「不安にさせて、ごめん。仲直りをしよう」と言った。
堂々と、言ってみたけれど不安が過って自分の手のひらをぎゅっと握る。
君は涙を流しながら、それでも笑った。
「おにぎり持って、木蓮を観に行きたい」と私が呟いたのも無理からぬことだった。
デスクの上の書類の山に現実逃避をしたのだ。
「先輩。もう木蓮の時期ではありませんよ」可愛げのない後輩がツッコミを入れる。
「今年は春が短かったなぁ」と私はぼやく。
「書類を溜めたのは先輩です」
『君に歌れた私の頬に』

文化祭の軽音楽部の発表に行ったのは、ただの気まぐれ。
偶然の産物だった。
体育館の即席ステージの上で、普段は聞かない曲を演奏をしていた。
大音響で、君に歌れた私の頬に感じたものはしびれる感覚だった。
初めて君をちゃんと見た気がした。
翌日に入部届を出した。
『気持ち替えの日』

6月に入って梅雨がやってきた。
衣更えをしたばかりの半袖は、少し寒くて腕をさする。
雨は降ったり、止んだりのくりかえしで、ちょっと前の暑くもキラキラしい初夏の香りはどこかへ行ってしまったよう。
そんな時こそ、気持ち替えの日。
梅雨にしかできないことをしよう。
『こんな町だって誰かの青春』

「早く大人になっりたいなぁ」幼なじみが口癖を言う。
「私は反対だなぁ」と私もいつものように返す。
「こんな町にいたくないよ」と幼なじみが寂しいことを言う。
「そう?こんな町だって誰かの青春かもよ。想い出は今しか作れないんだから」と私は遠くを見る。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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