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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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少女の二つ名は『真昼の照明器具』。
儚げない少女には似合わないあだ名だった。
そう思っていたのは僕だけだったようだ。
何があってもめげず、明るい少女を見て納得をした。
まさに『真昼の照明器具』だった。
無駄だと感じるほどに少女は明るかった。
あだ名の通りの少女に僕はためいきをついた。
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クルーたちは全員無事だった。
それを確かめてから、艦長のもとに向かった。
「全員無事です」と僕が言うと「当然だろう」と艦長は鼻で笑う。
それに僕はカチンとなって詰め寄る。
「一歩間違えれば、責任問題になっていたかもしれないのですよ」と僕は艦長に言った。
「俺の船ではないさ」と笑う。
ずっと君を見ていた。
同じ時間の同じ車両の窓際で本を読む君を。
そんな君に声をかけたくて、その勇気もない僕は、さりげなく、自分の両手を握る。
神様が縁を結ぼうかと、君の細い手から栞を落とさせた。
僕は素早く拾い上げ「落としましたよ」と君に声をかけた。
それが僕と君の出会いになった。
『コピペ彼ピ』

今まで彼ピと呼べるような相手はいなかった。
なのに、見栄を張って空想の彼ピを作り上げた。
そして友だちの輪で彼ピ自慢をしていた。
彼ピの写真を見せ合うことになって、とても困る展開になった。
私は無難な写真をネットから拾い上げコピペをした。
会ったこともない人だ。
『そうして、貴方が空に還るその日まで』

ずっと一緒にいましょう。
想い出をたくさん作りましょう。
私が貴方を忘れ去るまで、約束を交わしましょう。
そして、貴方が空に還るその日まで、他愛のない言葉を言いあいましょう。
貴方は独りで空に還るのですから、たくさんを持っていきましょう。
『鮮血、与えゆ。』

鮮血を浴びても、決して自分自身の血を流さない将軍がいた。
陰では『鮮血の将軍』と呼ばれていた。
自軍にいてもなお恐ろしい将軍だった。
そんな将軍が裏切った。
幾度の戦いに立っても、褒賞に姫君を与えない国王に業を煮やして。
「鮮血、与えゆ」と国王の首を落とした。
「iotuは、愛を囁くように優しく最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」

------

僕は、愛を囁くように優しく最後の嘘をついた。
最後の嘘だから優しく嘘をついたのかもしれない。
それは本音とは真逆の嘘だった。
「君の全部を忘れたいんだ」と告げた。
君と交わした言葉を一つも忘れたくない、僕が言った。
嘘だと言えたら、どんなに。
心が痛まなくなるのだろうか。
僕は思った。
「お別れしましょう」と彼女が言った。
「理由を聞かせてほしい。改善できるのなら直すから」と僕は食い下がった。
「あなたの全てに嫌気がさしたの」彼女は冷え冷えとした声で言う。
「僕のことが嫌いになったの?」と尋ねると、彼女の瞳に動揺が走った。
「理由を言ってくれなきゃわからないよ」
どんな生き物にも尊厳があって、終わりがくるものだ。
長年、家族の一員だった猫が息を引き取った。
私が幼い頃に拾ってきた猫だ。
猫が亡くなった理由は老衰だった。
たいていのペットは人間よりも長くは生きられない。
その死を適当に扱うことができず、庭の片隅に軽くなった亡骸を埋めてやった。
ある日、背から生えた羽根の付け根が痛む。
どんな古書にも書かれていなかった。
人口のおよそ半数がかかった奇病だ。
飛ぶには小さすぎる白い鳥のような羽根が生えてくる。
暫定的に『天使症候群』と名付けられた。
人類の終末が近いのかもしれない。
今日も、また一人病にかかった人間がいる。
青年は力強く、己の手のひらを折れんばかりに握る。
遠く通り過ぎた過去を思って。
それを見ていた佳人は「そんなに力強く握ると痛くありませんか?」と問うた。
青年は答えられなかった。過去を思うのが痛いのか、握った手が痛いのか、区別がつかなかったからだ。
佳人は青年の拳を優しく握った。
『泪準備指示書』

「はい、これ」と姉が私に渡してきた厚めの本。
「彼氏、できたんでしょ。おめでとう」と姉は笑った。
本のタイトルは『泪準備指示書』。
「女の武器は泪って言うでしょ?準備しておいて損はないよ」姉は言った。
「計画的な泪なんて嫌だな」私が言った。
「今の内だけだって」
『左右の姪』

感染症は降って湧いた長期休暇なようなものだった。
暇を持て余して、手土産を持って実家に帰った。
出迎えてくれた母の白髪が目立っていた。
もう、そんな歳なのだと実感した。
土産を仏壇に捧げる。
俺の側に近寄ってきた左右の姪が土産に手を伸ばそうとする。
俺は溜息をついた。
『オーダーメイドラブレター』

小説家の叔父が変わった副業を始めた。
その副業の看板が完成した、ということで見せに来た。
私は看板に書かれた文字を読む。
「オーダーメイドラブレター」と声に出すと、どこか安っぽい響きがした。
「どんな恋にも相応しいラブレターを引き受けるよ」と言う。
「iotuは、痛みを堪えながら最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

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僕は、胸の痛みを頃えながら最後の嘘をついた。
それは相手を楽にするための嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と。
それで君の笑顔が見られるのなら、嘘でも良かった。
君との毎日はくだらないものは、一つもなかった。
綺麗な想い出だった。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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