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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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掠めるように夜風が頬にふれた。
陽が昇る前の早朝の風は気持ち良いものだった。
ふと思い出すのは君のこと。
遠く離れてしまったけれども、君は今でも元気にやっているのだろうか。
そんな心配は無用だ、と君は明るい笑顔を浮かべているだろう。
掠めた風が感傷を呼び起こす。
僕は君に会いたい。
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「僕が悪かったよ」と謝った。
すると涙をためた瞳でこちらを見つめていた君は「私もごめんなさい」と言った。
これで仲直りだ。
君は満面の笑みを浮かべながら、僕の腕に触れる。
やっぱり君は、笑っている方が可愛いや。
そんな僕の気持ちを知っているのか、君は穢れない真白な笑顔を浮かべる。
『核舞い散る夜わ』

男の隣にはいつも女の姿があった。
けれども、その女たちの姿は様々だった。
今日は赤いドレスとルージュが似合う女だった。
細い指がカクテルグラスを弄ぶ。
そして男にもたれるように耳元で囁いた。
「核舞い散る夜わ。もうすぐよ」秘密めいた言葉だった。
男はうなずいた。
『嘘は、本当を愛してる。』

嘘の話をすることで気を引こうとしていた。
嘘は大きければ大きいほどいい。
その方が嘘だと分かった時に、笑ってくれるから。
僕はそんな滑稽なピエロの真似事をしていた。
それでも言えない嘘があった。
それは『君を愛してる』という言葉。
嘘は、本当を愛してる。
『夏休みプールサイドストーリー』

夏休みにプールに行こうと仲良し組で決まった。
僕はそれをとても楽しみにしていた。
学校指定ではない水着をまとった君に恋に落ちた。
そうはいっても僕と君の恋はサイドストーリー。
物語の主役は違うところにいる。
だから恋が叶うかどうかは分からない。
「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

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僕は、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をついた。
心音が君に伝わらずに良かった。
これ以上ないぐらいに鼓動が高鳴っている。
それは相手を楽にするための嘘だった。
「欲しい物は手に入れたから、もういいんだ」と。
一番欲しかったものに言う。
「本当に?」
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
海に深く潜れば潜るほど、水圧はかかり息ができなくなる。
そんな苦しみを地上の上で、僕は味わった。
君は手のひらを返すように、簡単に僕を裏切った。
君には僕でなくても良かったのだ。
財布代わりになる便利な愛玩動物であれば、君は愛想を振りまく。
そうやってずっと君は生きてきたのだろう。
「寒くなかった?」君が質問をした。
「ちっとも」と僕は強がりを言った。
ほんの少し外に出ていたけれども、この冬の寒さには閉口した。
手がかじかんでいた。
君は満面の笑みを浮かべながら、僕の指を両手で包む。
君の温かいぬくもりが伝わってくる。
「嘘つきさん」と君は僕の手を握り締める。
『紙ヒコウキ雲』

君は返ってきた答案を紙ヒコウキにする。
それを教室の窓から、空に向かって投げていく。
上手いもので紙ヒコウキは沈まず飛んでいく。
「そのうちヒコウキ雲みたいに空に白さを残すかもね」と君は笑った。
それが眩しくて僕は目を伏せたから、紙ヒコウキ雲の行方は知らない。
『君恋サテライト』

「僕は君恋サテライトになる」と好きだった女の子の背中を押してたくて宣言した。
「サテライトってなぁに?」女の子は、あどけない目をして問うた。
「人工衛星とかのことだよ」僕が言うと女の子は「つまりお星さまの一つになってくれるってこと?」と純粋に尋ねてきた。
『夜風の帰り道』

「ほら、見な。夜風さまが帰っていきなさる」と祖母は言った。
「おばあちゃん、あれはカラスだよ」と手を繋がれていた私は言った。
「ここら一帯は夜風さまの帰り道なんだよ。よく覚えておきなさい」と厳しい言葉で祖母は言った。
私はうつむいて足先を見つめ続けた帰り道。
「iotuは、何もかも悟ったような顔で最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「すぐに追いつくから、先に行ってて」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

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僕は、何もかも悟ったような顔で最後の嘘をついた。
君はヒーラーだから、最後まで生き残っていなければならない。
僕はアタッカーだから生存順位は低い。
だから君が安心するような嘘をついた。
それは切望のような嘘だった。
「すぐに追いつくから、先に行ってて」と。
・・・泣いたりはしないよ。
話題作の映画を観て、カフェで感想を言いあっていた。
どこが見どころだったか、どこが感動したところだったか。
注文したホットコーヒーが冷めるぐらいに話しあった。
ふと私は思い立った。
「あの甘いセリフを君の口から、聴いてみたい」と言った。
すると君はむせたのか、咳をゴホゴホとする。
ガラスケースに貼りつくように、ゆらゆらと揺れるクラゲを見ていた。
半透明なクラゲの動きは見ていて、飽きることはない。
今の彼と初めてデートをしたのも、この水族館だったな、と感慨にふける。
彼がこの場所を選んだ理由は知りたくない。
私がクラゲを見ていたら何時間でもご機嫌だから、と。
遠く近く聞こえる声。
各々の場所に隠れて、鬼を囃したてる。
子どもたちは十字路に置かれた空き缶を虎視眈々と狙う。
親戚の子ども相手は疲れると、里帰りした青年は思った。
青年を嘲るように、昔ながらの遊びを提案してくる。
最初は可愛いところもあるんだな、と思っていた青年も限界だった。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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