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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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二人は電車に揺られながら、他愛のない話を交わしていた。
そうでもしなければ退屈な昼下がり。
ふいに、僕はあくびをもらした。
すると君はそっと、両手のひらに爪を立てる。
話に集中していなかったことがバレてしまったようだ。
こんな昼間は、転寝をしながら夢でも見ていたい。
電車が揺れた。
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『黒ネコは何と踊る』

陽が暮れた公園に不吉の象徴の黒ネコが集まっていた。
ずいぶんと集まったもんだ、と僕は思った。
町中の黒ネコが集結しているんじゃないか、と感じさせるほどの数だった。
黒ネコは何と踊る?
日付が変わるまで闇夜の中で、見えない影と踊るのだろうか。
僕は通り過ぎた。
『私だって誰かのモンスター』

あなたは、私にとってモンスターのように感じた。
襲いかかってくる言葉の数々は、私の心を的確に傷つけた。
どうしてどんな酷いことをするのか、私には分からなかった。
私があなたを傷つけるまで。
私だって誰かのモンスターだ。
気をつけないと壊してしまう。
『夏坂、君の背中はとおく。』

僕は蝉時雨を受けながら坂を上っていく。
先に進む君は暑さを感じていないようだった。
君にだけ涼風が吹いているようだった。
君に遅れないように、足を動かすけれども、君は淡々と歩を進める。
追いつけない夏の幻のように、見えた。
夏坂、君の背中はとおく。
「iotuは、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「絶対にあきらめたりしないよ」、と。
どうか嘘だと気づかないで。」

------

僕は、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をついた。
いっそのこと泣いてしまえれば、どんなに良かったのだろうか。
泣けないから余計に辛い嘘だった。
それは前へ進むための嘘だった。
「絶対にあきらめたりしないよ」と。
心はグラグラ揺れているというのに。
どうか嘘だと君は気づかないで。
「別れよう」と僕は切り出した。突然のことに君は目を丸くした。
「君とは、幸せになれないから」ぼそぼそと理由を告げると、君は笑いだす。
「あなたと不幸せになる覚悟はとっくにできているよ。恋ってそういうものでしょう?」と君は言った。
「君が不幸になるのは見たくない」と僕は呟いた。
体温と同じか、それ以上の気温を叩き出した日。
君は仕事中だというのに、ゆらゆらと揺れていた。
備品の体温計で熱を測らせる。
その間にコップ一杯の麦茶を注いで持ってくる。
君は一気に冷たい麦茶を飲み干した。
体温計が鳴った。
君の平熱よりも少し高い。
熱中症の一歩手前だったのだろうか。
朝ご飯のフルーツをリンゴとバナナの狭間で揺れる。
食いしん坊の君なら、どちらを選ぶだろう。
『両方!』と元気よく答える姿を思い浮かべる。
そんな君を朝から想像できて、学校で会うのが楽しみになってきた。
早くリンゴかバナナかを選ばなければ。
どちらも美味しそうだから僕は困ってしまう。
旅行先というのは、何があるのか分からない。
このご時世だ、慎重すぎてもかまわないだろう。
遠く通り過ぎたら、笑い話になってもいいだろう。
それなのにマスクをつけた君は、あちらこちらに近寄ってふれていく。
だから僕は力強く、君の指先を両手で包む。
「約束は?」僕が睨むと君は縮こまる。
パジャマ姿で階段を降りる。
すでに母の作った朝食が並んでいた。
「今日はお昼、どうする?」母が味噌汁を温めながら尋ねてきた。
寝ぼけ眼で私は椅子を引く。
「ハンバーガーが食べたい」と目の前の幸せを眺めながら言った。
手作りを否定したわけではない。
「楽ちんね」と母は笑った。
『3倍希釈恋愛』

私の恋愛は、普通の恋愛よりも濃いのです。
他の人がする恋愛よりも重たいのです。
そんな私と恋愛をする覚悟はできましたか?
灼熱の太陽よりも熱い恋愛をいたしましょう。
でも、あなたから逃げられたくないから初めは3倍希釈からスタートをしましょう。
ほどよいお味です。
『私革命前夜』

私だけの革命を起こしてやる。
もう縛られるだけの人生は終わりにしたい。
声を上げて、自由を手に入れたい。
そんな私革命前夜は、刃が研ぎすまれたように静かだった。
鼓動だけが派手な音を立てる。
ほどよい緊張感が走り、手が武者震いする。
私はこれから革命を始めるのだ。
『天啓ありと死にゆく行軍に花束を』

「我らに天啓あり」と先陣を任された将軍が言った。
兵たちも、それに槍を挙げて応える。
彼らは知らないのだ。天啓がどれほど残酷なものだと。
勝敗はチェス盤をひっくり返すようなもの。
死にゆく行軍は続く。
その様子を眺めていた少女は花束を捧げた。
「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

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僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
それは相手の笑顔の嘘だった。
いつでも笑っていてほしかったから、嘘をついた。
幼子なのは僕の方なのかもしれない。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と。
できるだけ優しく、君のために僕は笑顔を浮かべる。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。
少しだけお洒落をしたくて、ヒールのあるミュールを買った。
今までスニーカーばかりを履いていた私にとって、驚きの買い物だった。
ミュールを履いて、デートに行った。
ドキドキしながら待ち合わせ場所で待っていた。
「今日は特別なの」と私が言うと「はいはい、可愛い可愛い」と子ども扱い。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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