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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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今の主は、お腹を空かせて路地で縮こまっていた俺を拾うだけでなく、ラーメンという魅惑の食べ物を食べさせてくれた。
冷たくない食べ物を食べるのは、いつぶりだろうか。
慈悲深い御仁に救われたものだった。
巡り会わせに感謝しながら一杯のラーメンを食べつくした。
それに主は笑みを浮かべる。
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それはもう半年前の冬のことだった。
雪がちらついた日のことだった。
いつもの私だったら、雪が降っただけで喜んだことだろう。
けれども、その日は違った。
泣き顔で、自分の手のひらを握る。
体温と同じ頬を流れる滴はすぐさま冷たくなった。
そんな私にあなたは、真新しいハンカチを差し出した。
八月二十八日
夢の中に住んでいる青春を見つけた。僅かな苦しみに聴こえた。

覚めない夢はないとは言うけれども、一瞬の煌めきの中にある存在は、夏のように儚い。
君が苦しんでいる姿は見ていて痛々しい。
息を吐き出すように君は僕に笑った。
『好き。すき、ズキズキ。』

貴方のことが好き。すき、ズキズキ。
何故か貴方の笑顔を見ると、心がズキズキと痛む。
最初は病気にでもなってしまったのだろうか、と思ったけれども。
それが不治の病だと告げられたら、悲しいから病院にはいかなかった。
今日も貴方のことが好きと胸がズキズキ。
『終末ごはん』

とうとう人類にも鉄槌が下される日がきた。
そんな終末なのに、並ぶのは僕の大好物のおかずたち。
最後の晩餐になるのかもしれないのに、特別感はなかった。
湯気が立つ味噌汁を一口。
心まであたたまる味がした。
終末だと悲観することなく、僕はごはんを美味しくいただいた。
『嘘解けを待つよ』

嘘が得意になってしまった悲しいあなた。
いつもニコニコ笑顔で優しい嘘をつく。
それを横目で見た私はためいきを噛み殺す。
私がためいきをついた姿を見たら、あなたは嘘に嘘を重ねるだろう。
いつの日にか来る嘘解けを待つよ。
きっと真っ白な雪のように解けるだろうから。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「今とても幸せだよ」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

------

僕は、君から目をそらしながら最後の嘘をついた。
君の真っ直ぐとした視線に、嘘だと見破られそうだったから。
だからさりげなさを装って嘘をついた。
それは切望のような嘘だった。
「今とても幸せだよ」と砂を噛むような感覚を味わいながら言った。
これが本音なら、楽だったのに。
そうじゃない。
「今度こそ大丈夫」少女は呟いた。
「何が?」と返事が返ってきた。
独り言のつもりだったので、驚いた。
しかも白金色の頭髪の少年だったから、余計に。
表情にあまり感情が乗らない少年は、悠々と教室に帰っていく途中だったのだろう。
それで結果が分かってしまった。
次こそは勝つと少女は思う。
会釈する程度の関係でも、正月には脇差しを腰に佩き、挨拶しなければならない。
自慢するように互いの脇差しには見事な彫り物がされる。
たとえ、そのために刀としての強度が落ちるとしても。
上司はお金持ちだ。
素晴らしい脇差しを佩いているだろう。
けれども何の飾りもない脇差しに引っかかる。
コトンッと物音がした。
私は訝しげに感じ、ドアノブを回す。
部屋の前にトレイが置かれていた。
皿の上に、おにぎりとお味噌汁があった。
私は泣きそうになりながら、それを堪えるために、両手を軽く握る。
受験勉強をしていた私は、ありがたくいただいた。
堪えた涙の分だけ、塩辛い夜食になった。
『家族の終わり』

家族を繋げていたのは幼い妹だった。
無邪気な笑顔で手を伸ばしてきた妹は、こんがらがった糸で家族を繋げていた。
そんな妹が星になってから、家族を繋げていた糸は自然とハサミで切られた。
バラバラになった人たちはもう家族じゃない。
そうして家族の終わりを向かえた。
『風の女王は、風の子をどこへ向かわす。』

強い風だった。
風の子たちが集団で、蒼穹に向かっていく。
目的地はどこだろう。
それが知りたくて青空を見上げるけれど、突風はすでに去っていた。
風の女王は、風の子をどこへと向かわす。
命令を受けた風の子は、任務に忠実だから寄り道をしない。
『新海魚』

海の深いところまで行ったら君を見つけることができるのだろうか。
浅瀬の岩で隠れている君を見た時から、恋に落ちた。
僕だけのマーメイド。
誰にも教えてなんかやらない。
だから、もう一度だけ僕に姿を見せて。
君の名前を知りたいんだ。
名前がないのなら僕がつけてあげるから。
「iotuは、無理に笑顔を作って最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
頼むよ、ごまかされてください。」

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僕は、無理に笑顔を作って最後の嘘をついた。
それは本音とは真逆の嘘だった。
君を傷つけるだろうか。
そんな心配をしながら口を開いた。
「君の全部を忘れたいんだ」と崩れそうな笑顔のまま言う。
頼むよ、ごまかされてください。
僕の強がりを気づかないでほしい。
君とはここでお別れなのだから。
僕は天涯孤独になってしまった。
マッドサイエンティストと陰で叩かれていた祖父が天寿を全うしてしまった。
穏やかな死に立ち会えたから、寂しくはあったが痛みはなかった。
遺品整理をしていると棺サイズの木箱が出てきた。
蓋を開けると機械音がした。
「どんな私がお好みで?」機械人形が言う。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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