『青春は泣いてしまう夏のように』
青春は泣いてしまう夏のように、通り過ぎた。
笑顔で終わらせたかったけれども、そうはいかなかった。
涙の分だけ僕らは頑張った。
流れる滴は青春の証だった。
こんなに純粋に泣くことはもうできないだろう。
僕らの夏は終わった。
それが無性に悲しかった。
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『汗を磨いた夏』
青春の中でも、一度しかない夏だった。
夢を追いかけるも、現実が迫り始めた。
そんな中、汗を磨いた夏がやってきた。
負けたらこれでおしまい。
引退試合になる。
ユニフォームに袖を通すのは、あと何回あるのだろうか。
誰もが熱狂する暑い夏がやってきた。
磨いた分勝ちたい。
『夢ごとき叶えてみせて』
「あなたは魔法使いなのでしょう?」少女が背の高い男に声をかけた。
男は愛想よく笑った。
「いかにも」男は頷いてみせた。
「じゃあ、私の夢ごとき叶えてみせてくれる?」少女は高慢に言った。
それに男は気にした風ではなく首をひねる。
「どんな夢があるのだい?」
「iotuは、無意識に緊張しながら最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」
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僕は、無意識に緊張しながら最後の嘘をついた。
声が震え、握ったままの拳は開くことができなかった。
それは現実逃避のための嘘だった。
考えることを停止した頭で君に告げる。
「君が居なくても何も変わらないさ」と空から星が落ちてくるように嘘をついた。
本音は仕舞い込んだまま笑顔を作った。
君はいつだって自分のことは後回し。
誰かのために尽くして、それで損をしても微笑んでいる。
君の柔らかな心は誰が守ってくれるんだい?
傷だらけの心に包帯を巻いてあげたい。
だから怖がらないで。
僕が、君を幸せにしたい。
そう言えばきっと君は、充分幸せだよと真っ直ぐに僕を見て笑顔を作る。
ひとひらの風が髪を撫でていった。
その風はどこから生まれてきたものだろうか。
遥か過去から吹いてきたものかもしれないし、身近な誰かの息吹かもしれない。
生ある身では計り知れない。
花びらのようにひとひら舞う。
それに私は震える。
明日を繋ぐ、今が風に揺れる灯火のようで儚かったから。
学校という窮屈な鳥籠に囚われている。
同じような制服を着て、同じようなカバンを持って。
監獄よりも厳しい言葉を浴びされて、自分の意志を持つことは夢のような空間だった。
黙っていれば何も起こらない。
そんないい子ちゃんを演じている。
両手を振り上げることなく、仕方なく、両手を握る。
『Lにゃんことの日々』
捨てられていた時は手のひらに乗るほどに小さかった。
鳴き声も小さく、目は半分濁っていた。
雨に打たれていた生命が潰えるのも、風前の灯火に思えた。
どこか似た者同士に感じた僕は子猫を拾った。
それが今やすくすくと育ちLサイズだ。
そんな日々は孤独を消し去った。
『どこまでもはゆかぬ』
ここでお別れだ。
どこまでもはゆかぬ。
君がたどる道をついてはいけない。
本当はどこまでも、それこそ此岸を渡るその瞬間までお傍にいられたらと願うけれども、そんな願いは叶わない。
所詮、造り物の人形に魂を吹きこんでも人間にはなれない。
ゼンマイが切れるまで。
『今週はもうサヨウナラ。』
君は秋になりかけている夕方に染まりながら、口を開いた。
「今週はもうサヨウナラ。短かったね」と微笑んだ。
君と会えない時間があるのは寂しかったが、また来週がある。
これでおしまいではない。
だから僕は笑って「また来週」と手を振った。
遠く離れゆく君へ。
「iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」
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僕は、さりげなさを装って最後の嘘をついた。
それは君に対して最初で最後の嘘だった。
こんな嘘が最後の嘘だと思ったら悲しくなってきた。
君はどう思うだろうか。
「世界は希望で溢れている」と僕は言った。
君の沈んだ瞳が輝きを取り戻す。
こんな酷い嘘は、二度と吐けない。
本当に最初で最後だ。
あなたと付き合いだしてから、知らないふりが上手くなった。
あなたの本音を聞きたいけれども、あなたは誤魔化すだろう。
それが分かったから、あなたが苦しい時も知らないふりをした。
本当は甘いココアを淹れて、その悲しみを分かちあいたかったけれども。
あなたは私が気づかない方がいいのだ。
小指と小指に絡められた赤い糸。
私には不思議とそれが見えた。
切れそうな糸、しっかりとした糸、こんがらがっている糸、結びなおされた糸。
様々な糸が見えた。
自分以外の糸だったら、解してあげることもできた。
じっと自分の小指を見る。
消えかかりそうな色の糸が世界のどこまでも続いていた。
僕は高すぎる壁に絶望して、壁にもたれかかった。
これを乗り越えるなんて、今の自分には無理だと分かった。
ひとひらの風が頬を撫でていった。
壁は乗り越えるだけでない、と気がついた。
立ち上がり、壁を押す。
壁は重いものの動いていく。
正解はここにあったのだ、と気がつき僕は笑顔になる。
声をかけるのにも勇気がいった。
ぼんやりとしているあなたのだらしなく置かれた手なら大丈夫だろうか。
力強く、あなたの両手のひらを私の指先でつつく。
あなたは、ハッとしてこちらを見る。
穴があったら入りたい気分だった。
「次、当たると思う」と言い訳のような言葉を発する。
あなたは笑う。