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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『いつか泳いだ街角』

水没した街の中を人魚たちが笑いながら泳いでいく。
もう珍しい光景ではなくなった。
この街には人はいない。
人はもっと遠くに行ってしまったのだ。
最後に会った人といつか泳いだ街角を懐かしく思う。
また来年になったら会いに来るから、と人魚はレンガ壁を撫でた。
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『今朝も太陽が星を殺していく。』

定めのように、毎朝の儀式。
今朝も太陽が星を殺していく。
天鵞絨のようにしっとりとした夜空に撒かれたスパンコールたちは息絶えていく。
東の空から昇ってくる太陽が確実に仕留めていく。
弟君の月さえ例外でない。
ラベンダーブルーの空に、ほのかに晧く。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

------

僕は、目をそらしながら最後の嘘をついた。
視線があってしまったら、嘘だと気づかれてしまうかもしれない。
だから、君を見つめることはできなかった。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と僕は呟くように小さく言った。
だってもう、仕方がないだろう?
叶わない願いばかりが増えていく。
諦めきれない夢ばかりが増えていく。
歳ばかりが重なっていく。
夢ならいっそ覚めてしまえ、と現実を見つめながら思った。
そう思いながら、忘れきれない夢を心の中で描く。
ここまで思っているのだから、一生抱えていくのだろうか。
長く息を吐き出して苦笑する。
夜の公園に人影があった。
ブランコが定期的に揺れる。
不審に思って僕は公園に入った。
少女がブランコに座っていた。
「どうしたの?」と僕は声をかけた。
ブランコが止まった。
少女は泣きそうになりながら、自分の両手にブランコの紐に絡める。
そして「帰れないの」と寂しそうに少女は言った。
『たくさんの傷に布団をかけて』

満身創痍な私の心。
これ以上、傷つくことは耐えられそうにない。
そんな独りきりの夜。
今はいないあなただったら、こんな時どうすればいいのか教えてくれるだろう。
たくさんの傷に布団をかけて、夢も見ない眠りにつく。
痛がる心もぬくもりに落ち着くだろう。
『「サヨウナラ」と言う、
 旅立ちの合図を待て。』

君は旅立ちに急いている。
新しい世界に飛び出すことに、心を揺らしている。
そわそわとした足は町を飛び出しそうだった。
大切なものを忘れて、駆けていきそうだった。
そんな君に一言告げる。
「サヨウナラ」と言う、旅立ちの合図を待て。
『走る君の風のように』

走る君の風のように翼が欲しい、と僕は何度も思った。
短い髪を乱しながら君は通り抜ける風になる。
その姿が終わりゆく季節とリエゾンして、足音に耳を澄ます。
地を歩く僕では走る君を追いかけきれない。
幾度、君を見送っただろう。
君が立ち去った後、俯いただろう。
「iotuは、祈るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

------

僕は、祈るような気持ちで最後の嘘をついた。
どうかこの嘘を貫き通せますように、と僕は願った。
それは相手を守るための嘘だった。
「これ以上関わらないでくれ」と戦場を渡り歩く僕は言った。
「あなたについていきたいのです」少女が純真の瞳で見上げる。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
不死の肉体を持った少年。
その少年の傷を癒すことができる少女。
二人は戦場の中で巡り会うべく出会った。
少年の瞳には諦めた光を宿していた。
少女の瞳は潤んでいた。
どちらも道具のように扱われる宿命。
それほど二人は政の中で無力だった。
世界は彼らを手放さない。
少なくと戦が終わるまで。
あなたが困ったことがあると髪を混ぜっ返す。
今でも、そのくせは覚えている。
それだけの時間、一緒にいたのだ。
その日も、あなたは髪をさわっていた。
私は覚悟をした。
「悪いんだけど、別れてくれる?」あなたは言った。
コンビニでサンドイッチを買うような気軽さで。
私は俯いて唇をかんだ。
少女は瞬く星を指をさす。
少年はそれを見て、ためいきを飲みこんだ。
人が死ぬ、と星になるらしい。
そんな伝説めいたことを少年が思い出したからだ。
満天の星空を見上げると、それだけ星たちには物語があるのだ、と思い目を瞑る。
すっかり秋めいた夜風が二人の間を静かに通り抜けていった。
とうとうこの日がやってきた。
長い時間待っていた。
二人が契り交わす夜は酔いの中、進められた。
どこか幼さを残す花嫁は、花婿に微笑む。
嬉しそうに、花婿の指先を握る。
「末永くよろしくお願いいたします」と決めごと通りの言葉を花嫁は告げる。
あまりに愛しかった花婿は花嫁を抱き寄せる。
人類は毎日、進化している。
それが滅びに向かう一歩だとしても。
人類は壊れそうになっている明日に向かって歩き出している。
遺伝子は常に生まれ変わり、新しい種を生み出している。
それが今の人類のお終いだとしても、変わっていく。
それが怖いと感じることなく未来への夢を描こう。
獅子座の隣に煌めく星は何座だろうか。
夜空という五線譜に描いた夢のように奏でる。
今宵は雨が降って、貴方が引くヴァイオリンは聞こえてこないけれども、厚い雲の上は晴れ渡って澄んだ空があると願っている。
星座とそれにまつわる物語を教えてくれた貴方が輝いていると信じている。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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