忍者ブログ
ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『あいまいにあまいあいたいを』

眠っている間に恋人は帰っていったようだ。
一緒に夕飯を食べたダイニングには一枚の紙が置いてあった。
『あいまいにあまいあいたいを。こんどはいつあえますか?』ひらがなで書かれた恋文に苦笑する。
まるでおままごとみたいな恋だな、と朝焼けに思った。
PR
『散り際の恋も、紅く。』

咲き始めた恋は灼熱のように紅かった。
燃えんと欲するように、鮮やかな色合いをしていた。
その恋も華々しい終焉を迎えようとしていた。
どれほど想いを寄せても、恋は一人ではできない。
咲き始めた時のような色合いをしている想いだったけど。
散り際の恋も、紅く。
デートコースは初めてデートした時と同じだった。
今日は二人の大切な記念日でもないのに、どうしてだろうか、と考えを巡らす。
一つの結果になってお別れ前のカフェで俯いた。
「あのさ」とあなたは言った。
「分かってるから何も言わないで」と私が言った。
すると照れたように小箱を取り出した。
久しぶりのデートだというのに、あなたはずっと難しい顔をしている。
この日を楽しみにしていた私とは対照的な様子だった。
一緒にいられるだけで幸せ、と可愛らしく思っていた時期とは通り過ぎた。
私はもっと貪欲になってしまった。
どうすればあなたの顔に笑顔を呼び出せられるだろう、考えた。
少女の目の前には、戦で荒廃した大地が広がっていた。
かつては咲き誇った庭園も簒奪されて見る影もなかった。
ひとひらの風が少女の髪を揺らして、駆け抜けていった。
涙ぐみそうになり、少女は空を仰ぐ。
空の色だけは栄華を誇っていたかつてと変わらない。
この大地が復興することを少女は祈る。
君はぎこちなく、僕の指に触れる。
まるで期待するかのように、僕を見上げる。
困ったことになった、と思った。
厄介ごとを抱えこむのは、これ以上は御免だった。
それなのに指から伝わってきた熱に、訊いてしまうんだ。
「どうしたんだい?」と僕が溜息混じりに尋ねると、君の瞳は星のように輝く。
『痛みは傷つくよりも気がついた時が痛く』

痛みは傷つくよりも気がついた時が痛く感じるものだ。
それを実感した。
君が離れていった時、心に傷がついたけれども、痛みを感じなかった。
ふと君の誕生日に近いことに気がついた時に、プレゼントの用意をしなければと思ったら、痛みが増した。
『ひとりで行くから、ふたりで帰ろう』

「僕はひとりで行くから、ふたりで帰ろう。故郷へ」とあなたは言った。
ひとり旅立たせてしまうのは気が引けたけれども、少しだけ安心した。
私は家であなたの戻るのを待って、その足で故郷に帰ればいいのだ。
あなたの優しさにくるまれて、ホッとした。
『お前が神を導け』

雨続きで河川が氾濫しそうだった。
叩きつけられるような暴風に、誰もが祈った。
長老が私を呼んだのは、そんな時だった。
囲炉裏端であたたかい茶を勧められた。
それからしばらく沈黙が漂って、墨が爆ぜる音が響く。
長老は重たい口を開いた。
「お前が神を導け」と言った。
「iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

------

僕は、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をついた。
それは相手の笑顔のための嘘だった。
まるで飛び切りの魔法をかけるように。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と君の頭を撫でた。
「何それ?」君はようやく笑う。
君と過ごす日々にくだらないことはない。
・・・うまく笑えたかな?
薄暗いバーの中で酒を呑む。
ウィスキーのロックを舐めるように吞む貴方はため息をついた。
「愛しているのなら、告白すればいいじゃない」と私は言った。
今までのように、と心の中で付け足した。
「愛なんて綺麗なものじゃない」と貴方は酔いが回ったような口調で呟く。
そんな貴方が意外だった。
「君が好きだ」というあなたの声でビックリして振り返った。
私の言葉を待たずに「出会った日から好きだった」と続ける。
その手には演劇の台本。
どうやら読みこみをするのに夢中らしい。
大きな独り言は迷惑だった。
ドキッとときめいた心を返してほしい。
相手役が羨ましいと端役の私は思った。
どこの業界をもテレワークだ。
とうとうこの日がやってきた。
「パソコン越しで、水晶占いですか?」と私はできるだけ冷たい声で拒絶する。
「斬新でしょ」オーナーが言った。
雑居ビルの一室で色んな占い師を集めていたオーナーの懐も厳しいようだ。
「直接、顔を見なければ占いなんてできません」
私と一緒なのに、あなたは他の女の子たちを見ている。
もっと可愛い女の子はいるものね。
私に縛られるのは窮屈かもしれない。
でも、あなたの恋人は私なんだよ。
私は目を逸らしつつ、あなたの指を握り締める。
するとあなたは私の耳元で「どんな女の子より、君が一番かわいいよ」と甘く囁いた。
『夜にしかなれず』

星たちが輝くのは、夜にしかなれずに、今宵もひっそりと煌めく。
昼では輝くことはできない。
太陽の明るすぎる光に、姿を消し去られてしまう。
だから、月ともども光るのは、夜にしかなれずに、ひっそりと今日も空に溶けていく。
空に名残を惜しみながら、涙も零さずに。
PREV ← HOME → NEXT
プロフィール
HN:
iotu(そら)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
フリーエリア
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH