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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『君を愛せていました』

愛というものは難解だ。
どうやって量ればいいのだろうか。
どうやって確かめればいいのだろうか。
目には見えない、けれども確かに存在している感情だ。
僕は君を愛せていましたか?
尋ねても、もう二度と返ってこない返事に、二人の愛は消えてしまったのだと思った。
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「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「今とても幸せだよ」、と。
本当に、ごめんね。」

------

僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
歳よりも幼く見える君が、歳相応だとは知っている。
だから、この嘘も見破られるかもしれない。
それは自分が楽になるための嘘だった。
「今とても幸せだよ」と不幸の中で言った。
「本当に?」君は疑いの眼差しで僕を見上げる。
本当に、ごめんね。
幼馴染は決意を決めたらしい。
ずっと見つめていた相手に告白する、らしい。
答えは分かりきっているのに、諦めきれないらしい。
相手は優しく微笑んで、断った。
幼馴染は未練がましく去っていく様子を見ていた。
僕はそんな幼馴染にハンカチを差し出す。
「なんでここにいるの馬鹿」と怒鳴られた。
帰り道スマホが律動した。
妻からのLINEだろうか。
タップすると『あなたが好きな花瓶を買ってきて』と可愛らしいスタンプと共に、液晶画面に表示された。
駅中の花屋でお勧めの花瓶を買った。
「ただいま」と玄関をくぐると「お帰りなさい」と妻は微笑んでいた。
その手には小さなブーケがあった。
無惨な最期を迎えた兵士の冷たい躯が月光に照らされていた。
その中、動く者があった。
戦場に立つにはまだ幼い少年が泣きながら、墓を掘っていた。
兵士たちはこの国を守ろうと選んだ。
それが自分の生命と等価交換だとしても。
幼い少年にはできることは少なかった。
守られるだけの存在だった。
出会いは戦場。
今ではありきたりな出会いだっただろう。
息絶えた者とまだ微かに生命を繋いでる者の中を少女は歩く。
自分とそう年頃の変わらない少年を見つけた。
夕陽色に染まった体の少年は起き上がる。
少女は嫌々ながら、少年の腕を両手で包む。
少女に与えられた癒しの異能が少年の生を繋ぐ。
『まぎれもない、正しい、サヨウナラ。』

君は終点の駅までの切符を買った。
反対に僕はホームに入場するための切符を買った。
君は楽し気に僕に話しかける。
終わりが来るのを先延ばしするように、未来の話をする。
僕は聞いている振りをして心を塞いだ。
サヨウナラを言わず、列車は出発した。
『星は朝に洗われて消えた』

星が流れるのを待って、夜空を眺めていた。
久しぶりに雨が上がった夜だった。
窓からは生温い風が入ってきていた。
扇風機だけ回して、熱心に夜空を見つめていた。
けれども、一向に星が流れる様子はなく、東の空から強い光がやってきた。
星は朝に洗われて消えた。
『YES.を言ったのは、君か?』

とっておきの非日常にぶちこまれたのは、君と出会ってからだった。
僕の住む星と同じ色の瞳の君はチャーミングだった。
一目で恋に堕ちても不思議ではなかった。
だから「ずっと一緒にいてくれる?」と尋ねられて、僕は返事をした。
その結果、拳銃を向けられた。
「iotuは、特別に優しい声で最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

------

僕は、特別に優しい声で最後の嘘をついた。
それは僕が前へ進むための嘘だった。
「欲しい物は手に入れたから、もういいんだ」と。
今にも泣きそうな顔をした君に嘘をつく。
一番欲しかった君は手に入れられなかったけれども、それも運命だ。
君は目を潤ませる。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
私は耳の近くでドンという音を聞いた。
そろそろと顔を上げてみれば、真剣な表情のあなた。
私を閉じこめて「そう簡単には逃がしてやらない」と告げる。
あなたの凛とした顔立ちが近い。
それだけで私は真っ赤になってしまう。
「どんなご用事でしょうか?」と私は尋ねる。
「君を独占したいんだ」
曲がり角すら直角に曲がる真面目なあなたから、告白された。
いつも浮気な恋をしてばかりいる私のどこを好きになってくれたのだろう。
疑問を持ったけれども、嬉しいという感情は変わらない。
「喜んで」と告白をOKすると「軽々しくないか」とお説教を受けた。
「あなたが好きだから」と私は言う。
花弁が散らないように甘く囁く。
勝手に咲いて、勝手に散る花だから、目を離せない。
二人の恋が永久になりますように、と二人の間に咲いた花に願いをかける。
それを君は滑稽だと笑うだろうか。
それとも、そんなことをしなくても大丈夫と微笑むだろうか。
僕にとっては大切なことなのだけれども。
秘密の恋をするように、二人は路地裏に滑りこむ。
建物と建物の間にできた薄暗い空間は、二人にはお似合いだった。
君は遠慮がちに、僕の手のひらを自分の手のひらと触れ合わせる。
すると光が灯り紋章が浮かび上がった。
これから狂った敵を討伐するために、君を置いて僕は路地裏から飛び出した。
『君がせめて思い出さないように
     ダンスを。』

これが最後だと、交わった視線が物語っていた。
静かに始まったオーケストラの演奏に合わせて、僕は君の手を取る。
想い出にならないように、そっけなく、自然に。
君がせめて思い出さないように、ダンスを。
ラストダンスは僕以外を。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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