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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『名前という呪いを超えてゆけ』

ネット社会に出るにあたって、初めて自分で自分の名前を付けた。
それまでは親が選んだ名前だった。
いわゆるキラキラネームは読むのも書くのも難解で初対面の人を困らせていた。
だからハンドルネームは誰もが読めるひらがなにした。
名前という呪いを超える。
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「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「今とても幸せだよ」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」

------

僕は、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をついた。
落ち着いて、声の震えに気づかれずに、話せば大丈夫。
それは相手の笑顔のための噓でした。
「今とても幸せだよ」と君を安心させるために笑った。
嘘だと言えたら、どんなに楽だろうか。
君には嘘をつきたくなかったんだ。
君は微笑んだ。
僕らが僕ららしくあれないのならば、それは僕らにとっての世界の終わりだった。
泣きじゃくる君の手を繋ぎながら、今までの人生とお別れする。
新しい世界は優しいだろうか。
君がいないのなら、どんな世界であっても哀しいだろう。
それが分かっていたから、残された時間にしがみついてもがく。
帰宅すると母から「あなた宛ての手紙が来ていたわよ」と言われた。
心当たりは一人しかいない。
母から手紙をひったくるように受け取ると、自分の部屋に戻る。
制服から着替えるのももどかしくて、封を開ける。
整った文字の便箋が出てきた。
近況報告だけしか、書かれていない手紙でがっかりした。
通学路の途中で冴えない風貌の男性と出会った。
馴れ馴れしくしゃべりかけてきた男性は未来から来た僕自身だという。
このままでは不幸な将来が待っているから、運命を変えに来たという。
僕はそれを無視した。
不幸、上等じゃないか。
タイムパラドックスを起こすほど愚かではない。
心から笑う。
公園の木陰に置いてあったベンチに座る。
蝉の鳴き声がいっそ激しくなった。
「こういうのなんて言うんだっけ?」と僕が問えば、涼しい顔をした幼馴染が「蝉時雨じゃない?」と答える。
会話は切れて、僕はぼんやりと公園の姿を眺めていた。
幼馴染が力強く、両手を指先をつつく。
構って欲しいと。
『ハッピーエンドは誰も待たない』

小説やドラマの中ではない。
端役なんていない。
誰もが主役の人生だった。
だからハッピーエンドは誰も待たない。
自分自身の力で永くも短い道を駆けていく。
たとえはたから見たらバッドエンドの人生でも、最後の瞬間に笑っていられればハッピーエンドだ。
『世紀末のサンタクロースが
   変えてしまったものたち』

世紀末の子供たちはサンタクロースなんて信じていない。
良い子にしていればご褒美がもらえるなんて思ってもいない。
それは世紀末のサンタクロースが変えてしまったものたちだった。
嘘つきの大人たちのように子供は夢を見ない。
『君は傘をかたむけて濡れていた』

長雨続きで、外に出ることも億劫な日々だった。
僕は、ふいに窓の外を見た。
それは偶然の産物だった。
君は傘をかたむけて濡れていた。
まるで天からの祝福を受け取るように、笑っていた。
初めて心から綺麗だと思った風景だった。
僕は窓を開けて声をかけた。
「iotuは、感情を抑えながら最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「君にもらったものは全部返す」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

------

僕は、感情を抑えながら最後の嘘をついた。
それは傷をいやすための嘘だった。
君の言葉の刃で、これ以上傷つきたくなかった。
「君にもらったものは全部返す」と言うと、「そっか」と君は微笑んだ。
傷つくだけの恋ではなかった。
それを教えてくれた君に、返したくない。
本音は仕舞い込んだまま。
「お願いがあるんだ」白金色の頭髪の少年から声をかけてきた。
いったい何があったのだろうか。
訝しがりながら「お願いって?」と少女は尋ねた。
「下級生を教える係だろう。この日、交替してほしいんだ。君にしか頼めない」と少年は言った。
立派に係を務めてみせる、と対抗心が湧いてくる。
同胞殺しの妖刀神剣・神楽の刀身はカメラに映らない。
青年の目に見え、確かにふれることができるのに、刀身だけが透明だった。
青年は歌うように律動し始めた刀を睨みつける。
刀身を鞘に納めると立ち上がる。
敵対している同胞が近くに結界を張ったのだろう。
青年ひとりの戦いの始まりだった。
貴方が「手を繋いでくれないのなら、一歩も歩かない」と言い出した。
いつも決まって言うわがままだった。
そんな可愛らしいわがままに「恋人と思われてもいいのですか?」と私は尋ねた。
「今日、一日ぐらいはいい」と貴方が言った。
私は手を差し出した。
貴方は恥ずかしそうに、私の指に触れる。
『ソファの余白に、君の余熱。』

君は来た時のように、気軽に帰っていった。
特に用事もなかったのだから、当然なのかもしれない。
独りで晩ご飯を食べなかっただけ、マシなのかもしれない。
持ちつ持たれつといったところだ。
ソファの余白に、君の余熱。
君にふれられなかった分だけふれる。
『今日も太陽と月の戦争』

今日も太陽と月の戦争が起こった。
蝕が始まったのだ。
太陽が見る見る月に飲みこまれていくのが、地面の影で分かった。
一時的なものだと分かっているけれども、常夜に行くようだった。
じわりじわりと月が太陽を食む。
直接見たら目玉が潰れる、という苦言に習う。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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