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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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文化祭の後夜祭はダンスパーティー。
少女はなかなか相手が決まらない。
少女が片意地を張らなければ、カップルになってくれるような少年もいるだろう。
けれども、少女は妥協ができなかった。
白金色の頭髪の少年よりも相応しい相手を見つけたい。
そして見せつけてやりたい。
対抗心が邪魔をする。
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友だちは付き合いたての彼女の誕生日にダイヤモンドリングを贈ろうと思う、と言ってきた。
途方もない愛の深さに驚愕した。
いくら何でも愛が重たすぎる、と思った。
僕の気持ちを知ってほしいんだ、と友だちは照れる。
利用されるだけ利用される関係になりかねないので、遠回りに友だちを諭す。
空調の利きすぎた部屋で少女が「寒い」と呟いた。
しきりに指先を触れ合わせる。
暑がりな少年は、大げさなと思いながら設定温度を上げる。
そして、仕方なく少女の指先と自分のそれを触れ合わせる。
少女の指先が氷に触れたように冷たくて、少年は驚いた。
少女に熱が伝わるように手を握りしめた。
『季節の魔法使いが死んだ』

村の端に住んでいた老人が亡くなった。
眠るように穏やかな死だったらしい。
特に近親者がいない老人だったため、村長が喪主をした。
大人たちは困ったことになったぞ、とひそひそと話している。
老人が死んでからというもの季節が移り変わることがなくなった。
『この町の最後尾から』

天国へ必ず行ける町という言葉に惹かれて、訪れた。
考えるのは誰しも同じことだろうか。
町に入るための道には長々と列ができていた。
ちらほら若者の姿も見えた。
今が楽しい時期だろうに、思いつめているのだろう。
天からの扉が開くのが、この町の最後尾から見えた。
『天使撃墜作戦』

終末のラッパを吹くために天使たちが下りてくるのが見えた。
私たちの住む街を滅ぼすためにやってくるのだ。
そんな非情理は許されない。
私たちは練習した弓で天使を撃墜していく。
一人残さずに撃ち落とす。
終焉の扉は開かせない。
ラッパさえ鳴らなければ、私たちの勝利だ。
「iotuは、小さく笑って最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」

------

僕は、小さく笑って最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
「これ以上関わらないでくれ」と笑顔とはちぐはぐに冷淡に僕は言った。
君は驚いた顔をして、途惑ったようだった。
君に会えば会うほど、溺れていく。
君への愛が深まっていく。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。
『恋、キンキンに冷えています。』

うだるように暑い日だった。
アスファルトの照り返しがキツイ。
タオルで汗を拭っても拭っても、吹き出すようだった。
どこかでひと休みをしようとしたら、のぼりが目に入った。
「キンキンに冷えていたら恋は終わりじゃないか」と呟くと売り子と目が合った。
『地球、死してもなお青く。』

「これが故郷星」少女がうっとりとホログラフィを見つめる。
「あなたの瞳と同じ色ね」少女は唇が笑みを浮かべ、少年の瞳を見つめた。
「ご先祖様は地球と呼んでいたそうだよ」少年は優しく説明する。
「もう死んでしまった星だけれども」と少しだけ残念そうに。
『イニシャル交換』

「私はあまり自分のイニシャルが好きではないの」と秘密を打ち明けるように、一つ歳上の先輩が言った。
「素敵なイニシャルだと思います」私は一生懸命に言った。
先輩の顔は悲しげなまま。
「だったら、私のイニシャルと交換しませんか?」私は大胆な発言をしてしまった。
「iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」

------

僕は、さりげなさを装って最後の嘘をついた。
それはどんな茨道であろうとも前へ進むための嘘だった。
君とはもうお別れだ。
だから君の心に刻みつけてほしかった。
「世界で一番、大嫌い」と僕は嘘をついた。
君は悲しそうな顔をして、唇をかんだ。
嘘だと見破ってくれたらいいのに、と僕は思う。
君の吐く嘘をひとつずつ真に受けていたら、君は苦笑いをした。
そして『簡単な嘘ぐらい見抜いてよ』と言った。
それは無茶な話だった。
僕にとって君は完全なのだ。
その完璧な君が吐く嘘は手がこんでいる。
それに僕は、君を疑いたくなかった。
だから『ごめんね』と僕は首をかきながら、笑った。
片付けものをしていたらインスタントカメラが出てきた。
今でも現像ができるのか、試してみたくなった。
月光の中、揺れ動く君を一枚撮ってみた。
突然、シャッターを切った僕に君は怒ったけれども「現像したら見せるよ」と言うと文句は止まった。
写真のできばえが気になるらしい。
僕は苦笑した。
君はすやすやと眠りについた。
気が張っていたのだろう。
プツンと糸が切れたように、崩れ落ちた。
あれだけ泣いたのに、君の寝息は静かだった。
僕はぎこちなく、君の腕を軽く握る。
このまま寝かしていてあげたいが、縁側は寝るのに適していない。
てこの原理で抱き上げると、布団に連れて行く。
『あの日の君の嘘は
 キット君のせいじゃない。』

あの日の君の嘘はキット君のせいじゃない。
不甲斐ない僕が言わせてしまったんだ。
君は嘘なんかつきたくなかっただろう。
そしてその嘘ゆえに僕がこんなに混乱するとは思ってみなかっただろう。
だから僕は嘘をついた君を永遠に許すだろう。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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