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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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僕は海岸沿いに植えられている松を写生した。
下手の横好きだと分かっている。
風が強くなってきたから、彩色するのは諦めた。
スケッチブックは家のダイニングテーブルに置いて風呂に入った。
回収しようと思ってスケッチブックを開くと、松は修正されていた。
僕はそんなことをした君を許さない。
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まるで生きていることを確認するように。
君はさりげなく、僕の腕を指先でなぞる。
君のひんやりして指先が深まった秋のようで、少しばかり切なかった。
君の指先がぱたりと止まった。
だから、僕は紅葉のような君の手を握りしめた。
君は目を丸くして驚いたようだった。
僕は気にせず熱を分ける。
『光にも影を』

光だってずっと見られていたら、疲れてしまう。
輝いてばかりではいられない。
だから光にも影を与えてあげて。
日蝕が起こるように、薄暗い闇に包まれるように。
また光が微笑んでいられるように。
ほんのひとときの影を造ってあげて。
きっと光は涙ながら感謝するだろうから。
『私を変えた天才』

あなたはもっと自信を持って良いと思う。
なんだって、私を変えた天才なんだから。
あなたに出会う前の私は夢なんか見ず、足元ばかりを見つめていた。
何かに熱中することもなく、毎日のタスクを消化しているだけだった。
あなたが教えてくれたんじゃない。
世界をの色を。
『花瓶に何をつめましょう』

花瓶に何をつめましょう。
そこで花屋さんへ、と思ったあなたは真っ直ぐな人。
庭に咲く花を手折って、と思ったあなたはあたたかな人。
ドライフラワーを、と思ったあなたは優しい人。
私なら花瓶に夢を活けるでしょう。
空想で描くこの世にはない花をつめましょう。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「永遠を信じている」、と。
どうか嘘だと気づかないで。」

------

僕は、君から目をそらしながら最後の嘘をついた。
それは自分の嘘をいやすための嘘だった。
自分勝手で、君のことをこれっぽっちも思っていなかった。
「永遠を信じている」と水に文字を書くように言った。
どうか嘘だと気づかないで。
祈るような気持ちで僕は都合よく思った。
君の瞳は見られない。
「君のことを愛していない」途惑ったように青年は切りだした。
「だから、永遠を誓うことはできない」せめての誠実に少女に向かって言った。
「そう」と少女は頷いた。
「いつから嘘だってわかっていた?」青年は尋ねた。
すると少女は「出会った日から」と答えた。
ずっと騙されていてくれたのだ。
「欲しいものありませんか?」少年は少女に問う。
少女は笑顔で「あなたのそはにいることが幸せだから、ないわ」と言った。
少年の心臓がチクリと痛んだ。
いつまでも少女のそばにはいられない。
その日がきても、少女は笑顔で見送ってくれるだろう。
それが分かっているから、少年は哀しかった。
すっかり忘れていた結婚記念日。
いつものように残業をして、終電に飛び乗った。
煌々とついたダイニングの蛍光灯で、僕はようやく結婚記念日だということを思い出した。
冷めた数々のごちそうに僕は「ゴメン」と謝った。
君は怒り顔で、僕の手のひらの爪を立てる。
まるで子猫のような仕草だった。
「こんなごみ溜めから現れるのかね」と疑心暗鬼に老婆は言う。
龍を探すにはかっこうの夜長月だ。
きっと龍は現れると少年は信じて、ごみ溜めの頂に陣取る。
それに呆れながら、老婆はごみ溜めの周りを歩き回る。
少年にはため息すら届かないだろう。
二人を照らすように月が輝いていた。
『君の嘘を傷つけてまで』

僕は君の嘘を傷つけてまで、真相を暴きたいとは思わなかった。
君がついたのなら、それが真実になれば良い、とさえ思った。
優しい君がついた嘘は、きっと優しさに包まれている。
だから、君は最後までその嘘を貫き通してほしい。
僕はその嘘にむかって微笑むから。
『月がないこの街も』

僕は月がないこの街も慣れてきた。
一生をこの街で過ごすことになるのだろう。
故郷星にはもう帰れない。
月の代わりに人工衛星が星のように輝いている。
それを僕は窓から眺めていた。
故郷星でも月が見えない夜があったのだから、月がなくてもそれほど違和感はなかった。
『君の昔人』

引っ越しを間近に控えて、整理整頓をしていた。
ですわでるわ、用途の知れない物たち。
ゴミ一歩手前の思い出たち。
本棚から見たことのないアルバムが落ちてきた。
まるで隠すように置かれたアルバムを広げる。
僕の知らない幼い君がいた。
隣で笑っているのは君の昔人だろうか。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

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僕は、目をそらしながら最後の嘘をついた。
膠着状態に陥った今を解決するために。
それは現状打破のための嘘だった。
僕は意を決して君を見つめた。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」と、君を困らせないために僕は最後の嘘をついた。
君はホッとしような顔をした。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。
親友が深刻な顔をして呟いた。
「大嫌い、って言えないの」
「何かあったの?」と私が尋ねると、親友は首を振る。
「だったら、言わなくても良いんじゃない?」私は言った。
「何でも許しちゃう自分が嫌なの」と親友は言った。
完全なのろけ話だった。
私は心の中で溜息をつきながら笑顔を浮かべる。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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