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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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季節外れの大掃除をしていたら、懐かしいものが出てきた。
テレビで映像を再生する。
現在よりも幼い僕と君が映っていた。
君は一人っ子なせいか撮られるのに慣れていて楽し気だった。
かくいう僕は恥ずかしそうに画面から抜け出しそうにする。
「今の方が男前だろ?」と僕が言ったら君は鼻で笑う。
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いつもいたずらしてくる君にお返し。
僕は優しく、二人の両手を触れ合わせる。
君の両手は、僕の両手よりも冷たくて、ビックリしてしまった。
これではいたずらにならないな、と思っていたら、君が目を丸くする。
どうやらいたずらは成功したようだった。
「心臓に悪いよ」と君は笑いながら言った。
『鏡の貴方を笑わせるのは誰?』

一卵性双生児の姉が嬉しそうに笑っていた。
少し歳上の幼馴染が柔和な笑みを浮かべていた。
姉と自分は違うモノだと知っていたけれども、他人のように感じた。
鏡の貴方を笑わせるのは誰?
少なくとも私じゃない。
それに気がついて足早に、来た道を引き返した。
『自称神様と入れ替わってた話』

「お願い、ちょっとだけでいいから入れ替わって」と妙齢な女性が言ってきた。
学生鞄が私の肩からずり落ちた。
「別に大変なことをするわけではないのよ。座っているだけでいいんだから」と女性は私の手を握りしめる。
それが自称神様との珍妙な出会いだった。
『ばかやろうをやろう』

私は数合わせの飲み会に誘われて、部屋の隅でカシスオレンジを飲んでいた。
居酒屋で飲むよりも、家で飲む方が自分好みになると知っていて。
みんなだいぶ酔いが回ってきたらしい。
リーダー格の人物が「ばかやろうをやろう」と言い出した。
私は馬鹿々々しいと思った。
「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「ずっと君と一緒だよ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

------

僕は、震えないように祈りながら最後の嘘をついた。
それはどうしようもない嘘だった。
けれども、僕にとっては大切なことだった。
「ずっと君と一緒だよ」と声が震えないように落ち着いて言った。
僕の言葉に君はパッと顔を輝かせた。
それだけで報われた気持ちになった。
もう、覚悟は決めたんだ。
愛する貴方へ宣戦布告。
結婚記念日を忘れて、遅くに帰ってきた貴方とは謝ってくるまで口をきかない。
貴方が好きな料理が見る見る冷めていくのは、悲しかった。
この日のために、用意したワンピースは脱ぎ捨てて、ベッドに寝転がった。
いつになったら帰ってくるの、そんな言葉を私は飲みこんだ。
スマホのアラームで目を覚ました。
休日には早い時間。
仕事に行くのにはちょうどの時間。
どうやら疲れ切って寝落ちをしたらしい。
けたたましく鳴るアラームを解除する。
メールが一件、見知った名前で届けられていた。
『良い夢を。お休み』とメールが届いていた。
今、返事をしたら迷惑だろうか。
美しいあなたにお似合いな贈り物をしたかった。
もう大人の仲間入りのあなたに革靴を贈ろうと思った。
何件もの靴屋に立ち寄って、あなたにふさわしい革靴を見つけられた。
あなたと私が巡りあった、一番初めの記念日に無事に間に合いそうだった。
あなたはこの贈り物にどんんな顔をするのだろう。
君は楽し気に笑う。
僕はそれを見てすまない気持ちになった。
本当だったら、遠くまで旅行に連れて行きたかった。
せっかくの君の誕生日は日帰り旅行。
それでも君は嬉しそうに、僕の両手のひらを両手で包む。
そして、飛び切りの笑顔で「連れてきてありがとう」と言った。
僕は返事を言えなかった。
『面影スケッチブック』

君の面影をスケッチブックいっぱいに描いた。
君を忘れないように、君をいつでも思い出せるように。
鉛筆で荒々しく描かれた君は、月のような、夜のような、儚げな面影はなかった。
僕が望んだ太陽のような笑顔であふれていた。
この面影スケッチブックは宝物になった。
『夜が君の街を喰った日』

夜が君の街を喰った日は、これから朝は来ないと思っていた。
どこまでも続く常夜闇の世界で、誰も彼もが死んだ魚のような目をして、停滞するものだと思っていた。
けれども、夜がもたらしたのは永遠の安寧だった。
疲れた人々は、ようやく息を吐き出すことができた。
『無条件に会えていた私達の約束』

無条件に会えていた私達の約束は、他愛のないものだった。
『また明日』と未来を信じて別れることができたのだ。
だから『サヨウナラ』を告げる日が来ることは気がついていなかった。
また無条件に会えるのだと思いこんでいた。
最後になると思ってなかった。
「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「もう、迷わないよ」、と。
どうか嘘だと気づかないで。」

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僕は、まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
心の中は迷いながら、平然と嘘をついた。
「もう、迷わないよ」と笑顔すら浮かべて言った。
心の中では惑っているというのに、顔には出なかった。
最後の嘘にすると決めたからだろうか。
どうか嘘だと気づかないで。
別れることは切ないことだった。
巡り会って、愛し愛されて、付き合うことになった。
それは星の数ほどの偶然だろう。
それが必然になる前に別れを切り出された。
『もう一度好きになって』とは言えなかった。
運命のように決まっている別れだったから。
重荷にはなりたくなかった。
だから見送った。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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