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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『顔も見せたくないからさ…』

スマホが振動する。
LINEでもメールでもなく、電話がかかってきていた。
アイコンは恋人の笑顔のもの。
いったい何があったのだろうか。
不思議に思って電話に出る。
『別れよう』と恋人は開口一番に言う。
『顔も見せたくないからさ…』それきり音信不通になった。
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『このクラス。本日悪魔裁判にて、授業中止。』

深刻な表情をして担任の先生がやってきた。
教壇で重々しいため息をひとつ。
「このクラス。本日悪魔裁判にて、授業中止。異論は認めない」と担任の先生は言った。
クラスはざわめく。
悪魔だって。ラッキー。冗談でしょ。
色んな言葉が飛び交う。
『ワインレッドの星占い』

ワインレッドに染まった星占い盤に、白い女の手が交差していく。
まるで血の色をしている星占い盤で何を占うというのか。
それは誰かの不幸せか、自分自身の幸せか。
占い師はワインレッドの星占いに集中する。
依頼人の望む答えを引き出すように、願いが叶うように。
「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」

------

僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
だからだろうか、罪悪感が胸を締めつける。
君のための嘘だったら良かったのに。
「すべて夢でも構わない」と君の瞳を見て言った。
嘘だと言えたら、どんなに楽になるだろうか。
自己満足の嘘は最後まで貫き通す。
喫茶店で寄り道をした。
僕はブレンド、君はホットココア。
マグカップを包みこむように持った君は少し憂い顔。
言い出しにくいことでもあるのだろうか、君は視線を落とす。
「好きだったのは、嘘じゃないけど」と言葉を言い淀む。
別れを切り出されるのだと僕は覚悟した。
「愛してるの」と笑った。
僕は高嶺の花を摘むことができた。
誰もが憧れる美して、優しい君。
そんな君にまつわる噂が心配だった。
高嶺の花を摘んだ人物は崖から落ちていく。
死を招く花だから、いつまでも孤高の高嶺の花だ、と。
そんな噂は冗談にするためにも、僕は生き続けようと思う。
高嶺の花の君は寂しそうに笑った。
君は「鬼なんていないよ。本の中の創作だよ」と嘲る。
そうだったら良かったのにね、と私は思った。
私の両親は鬼になって、互いをののしりあった。
それまでの優しい家庭は崩壊した。
どうして優しいままでいられなかったのか。
私には分からなかった。
鬼を知らない君にもきっと分からないだろう。
君は気づかずに、話に夢中だ。
僕は仕方なく、君の指先に触れる。
流れこんでくる君の気持ちが脳内を駆け回る。
接触テレパスとは厄介な超能力だったが、この場合は仕方がない。
君の髪を触れるように、トラックが走っていった。
これぞ、本当の危機一髪。
君は目を丸くして「ありがとう」と言った。
『大停秋』

いつまでたっても秋の奴が来ない。
当番制の季節の巡りだというのに。
夏は憤慨していた。
毎朝、青空を描き、雲を添えて、夕になれば大雨を降らせる。
夏らしい気温まで太陽を熱くする。
そのくりかえしだ。
秋の奴は何をしているのだろう。
これでは『大停秋』だ。
みんな困っている。
『青春、非売品。のハズでした。』

どんよりとした曇り空のような青春時代だと思っていた。
ただ息をして、ただ時間を消耗して、ただ終わらせていく。
生きるのですら難しい青春時代だった。
それがまた巡り来た。
青春、非売品。のハズでした。
あの青い空のような恋愛が音もなく訪れて来た。
『君は憧れたまま綺麗になったのに』

君は憧れたまま綺麗になったのに、僕は大人になっても変わらない。
すらりと綺麗になった君に、誰もが憧れる。
僕ですら君の心の綺麗さに憧れる。
蛹から変わらなかった僕は君を見ながら閉じこもる。
そんなの大人がすることじゃないと分かっていながら。
「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

------

僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
本当は堂々と告げたかったけれども、体は正直だ。
声帯は震える。
それは相手の笑顔のための嘘だった。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」と苦しい嘘をついた。
君から忘れられるなんて、辛すぎる。
僕に突き刺さった胸の痛みは消えやしないな。
恋人に好きな人ができた、と友だち伝いに聞いた。
ようやくできた最愛の人だったから、失うことには耐えられない。
「二番目でいいから、好きでいて」と僕は情けなく言った。
すると君は「手放すつもりも、ないですけど。あなたは私の一番よ」と笑った。
僕は噂話に振り回されて恥ずかしかった。
何もかもを忘れたくて杯を重ねた。
酔ってしまえば、思い出すこともないだろうと考えた。
その結果、悪酔いをした。
付き合ってくれた友達には悪かったが、天と地が覚束ないほど酔っている。
それだけ記憶から消したかったんだ。
「しっかりして」と友達が声をかける。
悪酔いから覚めたくなかった。
異世界転生のお約束。
トラックに引かれて、ゲームや小説の世界へと記憶を持ったまま転生する。
それを危機一髪で救ったのに、君は迷惑そうな顔。
軽々しく、命の恩人の両手に爪を立てる。
「もう少しだったのに」と君は呟いて歩き出す。
『そんなに現実は退屈かい?』僕は怖くて尋ねられなかった。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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