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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『青春しながら考えたこと』

友だちと夕暮れ空を見ながら河原に立ち寄る。
少ない小遣いでは、カフェやコーヒーショップに毎度は立ち寄れない。
「夕暮れが早くなったね」と友だちがつぶやく。
「そうだね」と答える。
どうでもいいことが宝物で、大切だった。
まさに青春、真っただ中だった。
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「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

------

僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
これで最後だというのに、気の利いたフレーズは出てこなかった。
それはどうしようもない嘘だった。
「まだ一人で生きていける」と言った声が震えていた。
これが本音なら、楽だったのに。
君は真っ直ぐな目で僕を見つめる。
僕は視線から目を逸らした。
最後というの免罪符にして、許して欲しい。
まるで恋人同士のように堂々と、君の指先に僕の指を絡める。
最後だから手を繋いでみたかったんだ。
君は驚いたように、僕を見上げる。
けれども、振り払ったりはしなかった。
そのまま手を繋いで寂しい夕暮れ時間を過ごした。
心の中で涙が流れ続ける。
『余命宣告トライアル』

人間は余命宣告を受けて、どれだけ耐えられるのだろうか。
そんな冷酷なトライアルが開始された。
半数は健康な人間だ。
ちょっとばかり難があっても薬を投与すれば社会復帰できる人間たちだった。
もう半数はすでに手遅れになっている病人たちだ。
臨床試験は始まった。
『ヤリモクと知っていたけど好きだった』

私は彼の本当の名前も、住んでいるところも、仕事も知らなかった。
いわゆるヤリモクだったのだろう。
その場限りの恋愛に夢中になったのは、私の方だった。
淋しさに付けこまれたのかも。
一夜の情事の後、連絡が取れなくなったけれども、好きだった。
『雨露霜雪』

「人生は雨露霜雪だ」と窓を見ながら作家は言った。
「カッコいい響きですね!」と私が言うと「君は意味が分かっていない」とロマンスグレーの作家は振り返った。
「次の作品のタイトルに良さそうですよ」と私は誤魔化した。
気難しい作家はため息をついた。
「辞書を引きなさい」
いわゆるゴシップ紙の雑誌には、誰彼が不倫をした、政治の汚職といった罪になるようなことばかりが書かれていた。
そんなものが特集になるなんて、この世界はまだ平和なのだろう。
本当に大切なことは書かれない。
真実を知りたくて、僕は進む。
取材は棒に振ったものになるかもしれないけれど。
初めて二人で過ごした夜も明け、太陽が昇ってくる時間になった。
初めての朝はコーヒーでも入れておくものだろうか。
作法というものが全く分からなかった。
眠るあなたの顔を見て遠慮がちに、腕を触れ合わせる。
まだあなたのぬくもりの中にいたいから、掛布団をかけ直して、胸に耳を近づける。
『共通の言語を持たないぼく達のラブストーリー』

ぼくと君は共通の言語を持たない。[
それでも一目あった瞬間に恋に落ちたのだった。
気持ちを伝えるのも大変で辞書を片手に名前を知った。
一つずつ知っていく言葉で愛を伝えあう。
そんなラブストーリーだったけれどもけっこう気に入っている。
『平成解体』

「なんだかんだと平成って長かったよね」と君が言う。
「確かに」と僕は頷いた。
二人そろって平成っ子だ。
「もう令和。すっかりおばさん扱いされるのかな?」君は笑った。
「君がおばさんでも可愛いよ」と僕も笑った。
無事に解体された平成という時を僕たちは忘れないでいる。
『あいつが好きだった私へ』

白いレターセットを引き出しから取り出した。
ボールペンで書き出す。
何を書くかは決まっている。
『あいつが好きだった私へ』と過去の自分が未来の自分へと手紙を書く。
現在の私が書くのだから、不思議な感じがした。
それでも過去を忘れないために、書き始める。
「iotuは、愛を囁くように優しく最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

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僕は、愛を囁くように優しく最後の嘘をついた。
それは最初で最後の嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と僕は笑顔で言った。
君と過ごす日々には、くだらないことなんて一つもないのに。
「じゃあ、面白い日々にしよう」と君は言った。
僕はバレないように・・・うまく笑えたかな?
没落貴族の行く末は、成金相手と決まっている。
絶対に手にはらない爵位を欲しがる。
少女は家のために売られるのだ。
遊郭に売られるのと同じことだった。
今日、初めてお相手に出会う。
「子供相手も大変ね」と言ってやった。
すると相手は「素直じゃないとこも可愛くてよろしい。末永く」と笑う。
青年は珍しく朝早く目覚めた。
忍び足で階段を降り、台所を覗く。
少女が忙しそうに朝ご飯の支度をしていた。
青年にまったく気がついていない。
気配を隠して、少女の肩を叩く。
「ひゃっ!」少女が悲鳴を上げた。
予想通りの結果に青年は満足を覚えた。
少女は振り返り、青年を睨むように見上げる。
暗闇にリンゴの実がなっていた。
家から飛び出した幼い二人はお腹が空いていた。
少女の耳に囁くものがあった。
今こそ禁断の果実をもぎとるべきだ。
少女はその言葉に釣られるように、リンゴをもぎとった。
遅い収穫は、より甘かった。
「あなたも食べる?」と少女はかじりかけのリンゴを渡した。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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