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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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「iotuは、祈るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「ずっと君と一緒だよ」、と。
どうか嘘だと気づかないで。」

------

僕は、祈るような気持ちで最後の嘘をついた。
それは相手を楽にするための嘘だった。
ここに集まってくるのは、不幸な子どもたちばかりだった。
どこか斜にかまえて、素直になれない子どもたちが多かった。
その中で心を閉ざした少女に「ずっと君と一緒だよ」と言った。
どうか嘘だと気づかないで。
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君は泣きながら「嫌い、って言ってよ」と告げる。
僕にとって大切な君にそんな酷い言葉を言うことはできなかった。
「私は私が大嫌いなの」君はしゃっくり混じりに言った。
「あなたからも嫌われれば、嫌いな自分を認めらるでしょう?」と涙を流しながら言う。
「僕はそんなところも大好きだよ」
当たり前の生活が当たり前ではないことをつい忘れてしまう。
お父さんが残業しながらも働いているのも。
お母さんがあったかいご飯とお弁当を用意してくれるのも。
ケンカもするけど、すぐに仲直りする兄弟も。
全部が全部、感謝することだった。
それが当たり前だったから、とても幸せだと思った。
一般的な価値観からすると不幸の下に生まれてきたのだろう。
満足に食事を与えられなかった。
母が彼氏を連れこむ時は外に追い出された。
普通の家に生まれてこなかった悔しさに目頭が熱くなった。
自分の肩を抱き寄せて、夜空を仰ぐ。
薄手の長袖が寒かった。
生まれ変われたら、と考えるしまう。
お風呂掃除をした時だった。
泡だらけのスポンジを踏んだ。
後は想像にお任せという展開だった。
するりと滑って、床にしたたかにお尻がぶつかった。
派手な音を立ててしまった。
兄がお風呂場を覗く。
「頭は打ってないか?」と兄が尋ねる。
「大丈夫」と答えた。
仕方なく、差し出された指先を握る。
『君と1000回目の日曜日』

できもしない約束だと思った。
それでも僕たちは真剣だった。
「君と1000回目の日曜日までに、答えを出そう」と僕は言った。
途方もない日数だった。
それでも君は嬉しそうに笑った。
そして、とうとう1000回目の日曜日がきた。
それだけ長いこと君は待っていたのだ。
『今日は上弦の地球が綺麗で』

月に兎がいると信じていたころよりも、もっと進歩して、人工衛星が当たり前になった。
そこで人々はコロニーを作り、暮らすことも常識になった。
とっておきのホテルのラウンジで「今日は上弦の地球が綺麗ですよ」と乗務員が言った。
太陽光を浴びて綺麗だった。
『ふりむけば、鯉』

幼馴染に声をかけられて、ふりむけば、鯉がいた。
正確には鯉を持った幼馴染が立っていた。
「これから、調理するんだけど食べていくか?」幼馴染は言った。
鯉違い、もいいところだった。
こんな幼馴染とはロマンスは始まりそうになかった。
私はそっとためいきをついた。
「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
・・・どうしようもないな。」

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僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
見えついた嘘だっただろうか。
それは自分の幸せのための嘘だった。
君のための嘘ではなかった。
「欲しいものは手に入れたから、もういいんだ」と僕は君の頭を撫でた。
「泣きそうな顔をして言うこと?」と君は言った。
・・・どうしようもないな。
あなたは眩しい笑顔で私に手を差し出した。
「はぐれないように」とあなたは真っ直ぐと言う。
恥ずかしくてその手を取れなかった。
あなたは理由を訊かなかった。
まるで恋人同士に見られるんじゃないか、そんなことを思ってしまった。
「そっか」とあなたは笑顔のまま言った。
そのことを後悔した。
僕は椿の青々とした葉を撫でる。
今年の冬は、どれだけ花を咲かせてくれるだろうか。
椿は花期が長いから好きな花だった。
首から落ちる様も、潔くて好きだった。
そんなことを君は覚えているだろうか。
それとも忘却の彼方に押しやってしまっただろうか。
まだ蕾もつけない花を僕は見つめ続ける。
二人は並んで読書をしていた。
国語の課題のためだった。
こんな時期だけれども、読書感想文を書くことになった。
その課題図書を読んでいる最中だった。
ふいに小さな痛みが走った。
君が満面の笑みを浮かべながら、僕の手のひらに爪を立てる。
いつもの君の悪ふざけに、僕は長くためいきをついた。
『一生幸せになれない人』

母は私が小さな頃から、愚痴が多い人だった。
何をしても駄目だと嘆くばかりの人だった。
文句を言うことも多かった。
だから目の前を通り過ぎていく幸せを見つけられない人だった。
一生幸せになれない人だった。
私はそんな可哀想な人にはなりたくないと思っていた。
『人間ブリーダー』

「本当にあなたのところにいる人間は見た目も良く、優秀で、助かっていますのよ」と火星人が言った。
「また素敵な人間たちばかり。どれがいいかしら」と反吐がでるような言葉を続ける。
五十歩百歩だとは分かっている。
人間ブリーダーという職は褒められたことではない。
『ズドンと恋よ!』

教室に忘れ物をして、面倒だけど学校に戻った。
教室に向かう廊下で明るい声が聞こえてきた。
女子が何人か残っているようだ。
できるだけ邪魔をしないようにと、教室のドアを開ける。
「そこでズドンと恋よ!」と力説する女子がいた。
ズドン?ずいぶん形容詞だなと思った。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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