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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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遊園地もそろそろ閉まる時間だ。
「最後にどれに乗りたいの?」と尋ねると、君は渋い緑色の観覧車を指さす。
意外に恋人らしいことをするんだな、と僕は思った。
二人そろって日本茶色の観覧車に乗る。
空がどんどん近くなっていく。
にんじん色の夕焼けが綺麗で、永遠を信じたくなった。
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『お前の価値は納税額に比例する』

「所詮、お前の価値は納税額に比例する」と言われて娘は殴られた。
両親を失って、上に納税を果たせなかったから、何をされてもおかしくはないのだろう。
お金持ちの娘に生まれて、たくさん税金を納められていれば、こんなことにはならなかったのだろうか。
『見殺しにされた鶴です』

美しい娘がやってきたのは、雪が降る季節だった。
雪のように真白な衣をまとって『ここに置いてくださいませ』と言った。
家族を喪った男は、言葉なく頷いた。
その晩に男は苦しさを覚えて目を開けた。
娘が男の首を絞めていた。
『見殺しにされた鶴です』と娘は言う。
『星の詩とみさき烏』

星の詩に寄り添うようにみさき烏が飛んでいく。
色なき風に吹かれたみさき烏の身体の色は黒一色。
それは神の使いか、それとも邪霊の化身か。
それすら分からずに見上げる子どもたち。
星の未来を託された幼子たち。
星の詩が本当ならば、いつかやってくる終焉を見る烏。
「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
君は何も知らないままでいて。」

------

僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
自分だけでも手いっぱいなのに、君の分まで面倒を見られない。
君を喪うぐらいなら、嘘をつく。
「これ以上関わらないでくれ」と言った声は情けないほど震えていた。
君は何も知らないままでいて欲しいと願う。
「お願いしていく?」と僕はできるだけ軽い口調で言った。
地域に親しまれている稲荷神社だ。
「神無月だから神様は出張中だよ」と君は笑った。
「じゃあ、出雲までいく?」僕は笑って言う。
「せっかくだからお参りしましょうか」君は言った。
僕は『君が誰のも物にもなりませんように』と祈った。
「あなた恋愛している?」と朝っぱらから母に訊かれた。
父はお味噌汁を飲んでいたのか、むせて咳きこんだ。
「こいつは恋よりも、食い気だろ?」と2杯目のご飯を食べていた兄が言った。
「良いお相手がいないなら、ご紹介してもらいましょうか?」と母は言う。
「自分で決めるよ」と私は言った。
今日の夜会も壁の花。
平民から成りあがった男爵令嬢と踊るような貴公子はいない。
そんなことは分かっている。
けれども社交界に出るのは大切だ。
色々な情報が飛びこんでくる。
それを父に知らせるのが役目だ。
今日も耳を澄ませていた。
すると一人の男性がやってきた。
アメジスト色の瞳が光る。
学校の屋上は貸し切り。
先生が屋上に入らないように鍵をかけているからだ。
僕たちは秘密を知っている。
その鍵が壊れていることを。
だから、今日も屋上に入りこんだ。
いつもは楽しそうな君が一言も喋らない。
それどころか怒り顔で、僕の指先を軽く握る。
「他の子と喋っていたでしょう」と言う。
『懐かしく思うほど昔じゃない恋』

僕は自然に恋に落ちていった。
それは懐かしく思うほど昔じゃない恋だった。
まだ胸の奥でロウソクのように灯っている。
でも、真新しい恋でもなかった。
もう終わってしまった恋だった。
少なくとも君の中では、そうだろう。
思い返しては切ない気持ちになる。
『青い星のピエロ』

笑顔の道化師が風船を配っていた。
手を繋いでいた子どもは手を振り払って、嬉しそうに道化師の元へと駆けていく。
それにためいきをついて、ついていく。
「どこから来たの?」と風船を貰った子どもが尋ねる。
「ナイショだよ。僕は青い星のピエロなんだ」と道化師は言う。
『悪意を煮出したハーブティー』

狭い店内は薄暗く、独特な雰囲気があった。
カウンター席しかないのも、今日の気分にぴったりだった。
高らかにバロック音楽が流れていた。
マスターがメニューを差し出した。
私は「本日のお勧めは?」と訊いた。
「悪意を煮出したハーブティーがおススメです」
「どんな君も好きだけど、笑顔の君が好き」と僕は告げた。
すると君は頬を赤くした。
「気安く『好き』なんて言わないで」と君は頬に手をやる。
僕はちょっと意地悪な気分になった。
「どうして?本当に思っていることなのに」と尋ねてみる。
「だって恥ずかしい」と俯いた君の語尾が小さくなる。
猫にDeleteボタンを踏まれた。
今まで入力していたデーターの一部が消えた。
こまめにバクアップを取っていたからいいものの、消えたデータは頭の中だ。
早く入力しなければ忘れてしまう。
キーボードの上に鎮座した猫をどけようとする、が、ちっとも動かない。
このまま記憶すら盗む気か、と怒る。
『おたまじゃくしに帰る』

どこで取ってきたものか、家の小さい子は水槽におたまじゃくしを飼っていた。
そして毎日、観察日記をつけていた。
「早くカエルにならないかな」と小さい子は目を輝かせて言う。
そんな日が来たら面倒だと思った私は小さい子が寝ている間におたまじゃくしを帰した。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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