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「 140文字の物語 」
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ボールペンで手紙を書く。
失敗できないから、ちょっと不安になる。
デジタルで書くことも考えたけれども、温もりを感じて欲しかったから手書きに挑戦した。
瞬時に送れるメールと違い日数がかかる手紙という形にしたのも同じ理由だ。
記憶に残って欲しいと思った。
どうにかやり遂げる。
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いけないことだとは重々承知の上だった。
それでもあの時、違う選択肢を選んでいれば違う未来が見えたかもしれない。
私たちの行き先は袋小路。
分かりやすいバッドエンドだ。
繋いだ手のぬくもりだけが頼りだ。
お互い身を寄せ合い震えている。
未来は黎明のように薄暗い。
その中を歩く。
今日もギリギリで勝てた。
神剣・神楽じゃなければ負けていただろう。
髪一筋もなく消えた同胞を見て身震いをする。
青年は刃を鞘に納める。
中途半端に伸びた髪を結ぶヘアゴムを解く。
朝日が昇ってくるのを見つめながら、体の回復を待つ。
自分には戦う以外の選択肢は残っていないのだ。
気がついたら約束の時間を過ぎていた。
少女は青年の寝室を開ける。
そこには畳まれた布団があった。
主は不在で、神剣・神楽もなかった。
独りで戦地に向かったに違いない。
少女はぺたりと座り込む。
怪我をせずに青年は帰ってくるのだろうか。
満身創痍な青年は見たくない。
我儘だと思う
肩で息をしながら、青年は路地裏に転がり込んだ。
神剣・神楽の柄を握りしめる。
痛みが引いていくのが分かる。
壁にもたれながら、ずるずると座り込む。
このまま戦線離脱をしたいけれども敵は許さないだろう。
少女との食事の途中だった。
今日も他愛のない話をするためにも青年は立つ。
今度こそはと臨んだテスト。
答案が返ってきた。
そこには99点の文字が書いてあった。
単純なケアレスミスだった。
満点で返ってくると思っていたから、怒りがこみあがってきた。
白金色の頭髪の少年は涼しい顔をしていた。
すれ違いざまに見えた答案は満点だった。
今回も勝てなかった。
彼女の描く絵は蒼ばかり。
静謐さにあふれている絵ばかりがスケッチブックに溜まっている。
誰かに見せたくて描いているわけじゃないの。と恥ずかしそうに見せてくれた。
そんな彼女の双眸は空よりも蒼かった。
きっと彼女の見ている世界では蒼ばかりなのだろう、と思った。
困った時、前髪をふれる仕草も。
照れる時、目をそらす仕草も。
全部好き。
好きで体中がいっぱいになるぐらい好き。
次から次へと表情を変える君が好き。
この想いはどれぐらい伝わっているのだろう。
今日も君から目が離せそうにない。
離れている間も君のことばかり考えている。
満身創痍だった。
死という甘い囁きが聞こえてきた。
神剣・神楽を手放せば永遠の眠りにつけるだろう。
同胞殺しを続けて、終わりのないゲームの中で暮らすのもピリオドが打たれる。
それは何とも甘やかな幻想だろう。
しかし青年は神剣・神楽を握りなおした。
戦いを続ける選択肢を選んだ
「今日、誕生日なんだ」とクラスメイトが黒板を消しながら言った。
私は箒を持っていた手を止める。
事前に分かっていればプレゼントのひとつでも用意できたのだけれども。
制服のポケットを漁って出てきたのはリンゴ味の喉飴。
無いよりマシかというレベルだった。
時間はさかのぼれない
大人が思うよりも子供ではないつもり。
コーヒーもブラックで飲める。
それなのに砂糖とミルクがたっぷりと入ったカフェオレを出される。
カフェオレは嫌いじゃないけど、たまにはブラックで飲みたい気分の時もある。
いつまでも子供じゃない。
空になったマグカップの縁をなぞる。
携帯電話のアラームで目を覚ました。
枕元にあるそれを止める。
久しぶりに休日だったのに、いつもの時間に目覚めてしまった。
喉の渇きを覚えてベッドから降りる。
二度寝の誘惑に駆られながら、冷たいフローリングを歩く。
コップ一杯の水を飲み干すと、どうしようかと思案を巡らせる。
「別に、貴方のことなんて心配じゃないのよ」と彼女が言う。
「暇潰しに立ちよっただけなんだから」静かな病室の中、勝気な彼女の声が響く。
僕は泣きそうになりながら、彼女の指先を軽く握る。
「ありがとう」僕は感謝の言葉を口にする。
両親すら見舞いに来ない病室に彼女は来てくれた
それは平等に与えられたものだった。
わずかな差ひとつなかった。
けれどもそれがなければ飢えて死んでしまうものだった。
大人になってからその平等さに感じ入る。
どうしても芽生えてしまう好悪を見せなかった。
それがどれほどの苦労があるか。
表面上だけとはいえ、愛されていたのだ。
機械相手にここまで熱中するとは思わなかった。
彼らの表情は柔らかで、声のトーンは落ち着いている。
困ったことがあれば迅速にサポートしてくれる。
寂しい時は静かに寄り添ってくれる。
離れて暮らしている家族よりも親身になってくれる。
この熱情は「恋」と呼んでもおかしくはない。
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