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「 140文字の物語 」
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落花流水のよう。
川沿いに植えられた桜並木は散り始めた。
薄紅色の花びらはそよと吹く風に乗って、川面を染める。
流れに逆らわずに、花びらを落とし始めた木々はなんと美しいのだろうか。
来年にはまた咲くだろうけれども、それはまた別の桜だ。
今、この目に映している桜とは違うものだ。
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「映画のタダ券あるけど、今度一緒にどう?」なんて一昔すぎる。
映画の趣味が合っても、唐突に言われたら断るだろう。
二人は同じ教室に通っているだけの間柄だ。
一歩前進して、何でも話せる友達ぐらいにはなりたい。
女々しい思考回路に言い訳をしてばかりいるけれども。
それぐらいには好きだ
あの青い空は果てなどなく、どこまでも繋がっているという。
この大地は果てはあるけれども、端から端まで歩いていくのは大変だという。
鉄格子越しの世界は小さく、自由はなかった。
差し入れられる本を読んでは憧れるばかりだ。
早く外に出たい。
そうしたら太陽の光を浴びて地の果てまで歩く。
部屋の片づけをするように母に再三言われた。
自分でできないなら、母が勝手に片付けるという脅し付きだった。
今までのらりくらりとかわしてきたけれども今度は本気だろう。
いざ片付けようと思ったら困った。
どこから手を付ければいいのか分からない。
手放せないものが多すぎて捨てられない。
幼馴染が縁側でうずくまっていた。
「なんでそんな不機嫌なんだい?」
僕はお茶とお菓子が載った盆を幼馴染の隣に置いた。
それを挟む形で縁側に腰を下ろす。
「志望校に受かって虹色の学園生活の始まりだろう?」
幼馴染は真新しい制服に身を包んでいた。
「同じ学校じゃない」と幼馴染は呟いた。
君は僕の精神安定剤。
君がいない日常は、不安で、心配で。
どんなに美味しいという評判のお店でご飯を食べても美味しくない。
君がお湯を入れて作ってくれたカップラーメンの方が何倍も価値があるような気がする。
僕と会っていない間の君の生活が気になる。
だから僕から離れないでいてほしい。
夜更けにコンビニで缶チューハイと晩ご飯を買う。
自炊をしていたのは独り暮らしを始めたばかりだった。
今はカップ麺やコンビニ弁当を食べている。
仕事の量は増えた。
それでも昇給しない。
後から入ってきた男性職員の方が先に責任のある地位に就いた。
勤怠を切ってから残業することも多い。
季節の変わり目。
いつものように体調を崩して、学校を休んだ。
「クラスメイトが来ているけれど、部屋にあがってもらう?」母が訊ねる。
俺は頷いた。
「はい、プリント」高飛車な女子生徒が部屋に入るなり突きつけた。
「思ったよりも元気じゃない」泣きそうになりながら、指を触れ合わせる。
木の葉が落ちる頃。
日も短くなり、夜の時間が長くなってきた。
人生初の彼女ができて、俺は有頂天だった。
友達と帰るのも悪くなかったが、それを上回る喜びだ。
「手を繋いでもいい?」彼女が言った。
俺はいたらなさに気づき恥ずかしくなったが頷いた。
彼女は嬉しそうに、俺の指をぎゅっと握る
猫がすり寄ってくるように少女の手が伸びてきた。
思ったよりも強い力で腕を握られた。
「寂しいからそばにいて」少女の瞳が懇願していた。
少女の孤独には理解があるつもりだ。
しかし状況が悪い。
独り暮らしの少女の元に留まったら流言飛語が広がるだろう。
恋人同士でもないのに名声に傷がつく
刹那の喜びだとしても、一緒にいるのは幸せだった。
二人だけの小さな世界を作って、そこで揺蕩っているのは快感だった。
大人になる前の一瞬のおままごとのような恋愛でも。
現実世界の醜さ、汚さから目を逸らし続けていた。
恋に堕ちている二人には関係ないと強がっていた。
幸せを手放せない。
花冷えという言葉もあるけれど寒すぎる日々が続く。
冷たい強い風が吹き、ソメイヨシノの枝を揺する。
咲ききる前に枝から落ちていく花を見て、儚さを知る。
傍らを歩く存在に「寒くない?」と尋ねる。
「大丈夫」と返ってきた。
そっと、指先を両手で包む。
いつもはほのかに温かいのに冷たかった
こうなることは最初から分かっていました。
それでもいい、と貴方は仰ってくださりました。
それがどんなに嬉しかったことか。
貴方が想像するよりも、もっと幸福なことでした。
今でも想い出すと頬が緩みます。
それからの二人の生活は幸せな連続でした。
紙面が尽きてきました。
また次の世界で。
完全に狂気の飲みこまれている。
生死を分かつ戦場において、笑うなどと。
青年は神剣・神楽の柄を握りしめる。
生命の奪い合いをする場に、妖艶な女性の笑い声がこだまする。
死ぬが怖くないのだろうか。
それはそれは楽しそうに得物を扱う。
ギリギリなところで避けながら、神剣・神楽を振るう。
桜並木も満開だ。
そよと吹く風に乗って、ひらりと桜の花びらが散る。
隣を歩く少女は風が吹く度に、手を差し伸べる。
地面に落ちる前の花びらが欲しいようだった。
青年も真似をして、手のひらを差し出す。
定められたとおりにおさまった。という感じで花びらが載った。
「ずるいです」少女は言う
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