同じ高校に通っているお隣さんとすれ違う。
いつもだったら挨拶をして各々のクラスまで向かう。
昨日の一件があったので、一緒に登校する気になれなかった。
すると後ろに引っ張られた。
幼馴染が泣き顔で、手のひらにしがみつく。
「ごめんなさい」幼馴染が謝る。
溜息ひとつつく。
「こちらこそ」
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君は僕に勝てない。
いい加減思い知れば良いのに、鈍感な君は気づかない。
僕が恋した人は何事も一生懸命で諦めるという言葉を知らない人だ。
そんな君に振り回されて、一日が終わる。
それはそれで楽しい日常なのかもしれない。
思い知るのは僕の方か。
どうしようもないくらい君に惹かれている。
お菓子のパッケージにプリントされている数字を見比べている。
食べたいお菓子の方がカロリーが高いようだ。
棚に戻して、カロリーが低い方をカゴに入れた。
そんな少女の肩に手を置く。
「お菓子って時点で気にしても無駄だぜ」と言った。
「乙女心がわからないやつに言われたくない」と返された
「君のことは嫌ってほど好きで、憎たらしいくらい愛してる」と僕は言った。
君はきょとんとした顔でアイスティーを飲んでいた。
「つまり、好きってこと?」君はストローをタクトのように振る。
「自分でも信じられないぐらい好きなんだ。そして、そんな自分が嫌気がさす」
僕は心の底から告げる
「ねぇ、そんなに仕事してるけど大丈夫?」心優しい親友が言った。
久しぶりに一緒に夕食を食べている最中だった。
牡蠣のドリアが思ったよりも熱くて、なかなか食べ終わらない。
親友はドリンクバーで紅茶を飲んでいた。
「大丈夫だよ。頑丈なのが取り柄だし」私は笑う。
「そう」親友は呟いた。
約束は叶わない。
分かっているのに、どうして約束を重ねてしまうのだろう。
果たせなかった約束が重くのしかかってくる。
今度は大丈夫。
どこからその自信が出てくるのだろう。
また約束を破ってしまっても、笑って許してくれるだろう。
約束を守るために約束を交わす。
本末転倒だと知っている。
日が沈むのが早くなった。
吹く風も冷たいものになった。
少女は怒り顔で、少年の腕を握る。
「ちょっとは、こっちのペースに合わせるとかできないの?」
紅葉した葉よりも真っ赤な顔をして、少女は言った。
考え事をしたせいか、つい自分のペースで歩いていたようだ。
「ごめん」少年は謝った。
日が沈むのが早くなった。
吹く風も冷たいものになった。
少女は怒り顔で、少年の腕を握る。
「ちょっとは、こっちのペースに合わせるとかできないの?」
紅葉した葉よりも真っ赤な顔をして、少女は言った。
考え事をしたせいか、つい自分のペースで歩いていたようだ。
「ごめん」少年は謝った。
「好きな人ができたの」と恥ずかしそうに少女が言った。
嘘も秘密もない関係でいようね、と過去に言った自分にブーメランがかえってきた。
「へー、どんな人?」できるだけ声が震えないように気をつける。
「とても優しい人」少女ははにかんだ。
「協力するよ」うまく笑えてないのは自覚してる。
春眠暁を覚えず、どころから昼間でも眠い。
寝ぼけ眼でソファにもたれかかる。
キッチンから良い香りがする。胃が鳴った。
睡眠欲が満たされない代わりに食欲が増したようだった。
ほどなくしてクッキーと紅茶が運ばれてきた。
作り手に感謝しながら、それらをいただく。
魔法のようだと思いながら
小さなイベントごとにお祝いにプレゼントをくれる彼。
付き合う前はこんなこまめな人だとは思わなかった。
もらってばかりのプレゼントに恐縮してしまう。
そのことを告げると、彼は笑った。
「君は誰のものだとお思いで?」と言われてしまう。
「俺のものだとしっかり証明をしておきたいんだよ」
「サヨナラ」ばかりが上手になっていく。
出会ったばかりの人にも、別れる瞬間を想像してしまう。
永遠なんてものは頭の片隅に灼きつけられた記憶の中にしかない。
どれほど仲良くなっても、「サヨナラ」の時間がやってくる。
痛みを伴うそれを上手くやり過ごすことが出会いの悲しみを軽くする。
僕は君が君であるだけでも好きだ。
ケンカ中ですら、僕の心は君の方を向いている。
でもやっぱり一番好きなのは笑顔だ。
仲直りにカフェで頼んだパンケーキを見つめる君。
まるで小さな子供のように目をキラキラさせる。
この瞬間の君が好きだ。
アイスコーヒーを飲みながら、僕はそれを見つめる。
まるで掛け違えたボタンのように。
いつの間にかすれ違っていた。
あんなに愛し合っていたのに、過去の記憶になりつつある。
僅かにずれた心に冷たい風が通り抜ける。
出会った頃のように素直に好きだと言えれば違うのかもしれない。
そんな純粋な心はどこかに行ってしまった。
今は耐えるだけだ。
君はそれを「いらない」と放り投げた。
透明で、キラキラと輝く、宝石のようなそれは地面にぶつかった。
いつか壊れるシャボン玉のように、小さな音を立ててそれは壊れた。
一度壊れてしまったそれはそれでも輝いていた。
僕は拾い上げ君に差し出した。
二度と手放さないように傷だらけの『心』を