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「 140文字の物語 」
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前をとぼとぼと歩く君にかける言葉が見つからなかった。
アスファルトの反射で熱くなった空気が喉をふさぐ。
どうすれば良かったのだろう。
一つの恋を終わらせた君は、夏の終わりの向日葵のようだった。
僕はそれを見つめるだけだ。
君のためにしたいのに出来ることは少ない。
せめて涙を拭いたい
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仕方ない。
心の中でくりかえす。
仕事をしなければ生きてはいけない。
どんなことをするのにもお金は必要だ。
職場では信頼厚いらしい。
断れない案件を頼まれることもあるだろう。
それでも、と思ってしまう。
二人が一緒の時間が短くなっていくのが寂しい。
我が儘だって承知だ。
我慢ができない。
学生時代から付き合っていた彼氏と別れた。
原因は彼氏の浮気だ。
しかも初犯ではない。
くりかえされる浮気にとうとう怒りが爆発した。
やけ酒に友達を呼んで、どれだけ我慢したのか語った。
「本当に泣きたいの?」友達は尋ねた。
「正直、分からない。すっきりしたような気がする」と答えた。
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あんなに愛し合ったのは夏が見せた幻だったの?
永遠だと信じたのは私だけなの?
それなら二人が出会えた意味も、誓い合った愛も偽りだったの?
蝉時雨の中、燃え尽きる愛だったの?
どこにでもある夢だったの?
この恋が最後の恋だと思ったのは間違いだったの?
貴方にとって都合の良い恋だったの?
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「サヨナラ」ダケガ人生ダ 、と昔の人は言った。
その通りだと思った。
二人で見上げた桜も散って、葉桜になっている。
君も僕から離れていくのだね。
幾度くりかえしても別れに慣れない。
上手に最後の言葉を紡ぐことができない。
本当は「サヨナラ」なんて言いたくない。
君にだけは言いたくない。
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君は素直じゃないから、思っていることの反対を言う。
君は僕に対して「大嫌い」と言う。
それに僕は笑顔で受け止める。
「大嫌い」の反対は「大好き」だから。
僕は君の耳元で囁く。
「そんな君も大好きだよ」
僕の言葉に君はみるみる顔を赤くする。
「だから、そんなことを簡単に言う貴方が嫌い」
帰りたい、帰りたいと心が言う。
暗闇の中、目覚めて縁側に座っていた。
止まることのない郷愁は二度寝をさせてくれそうにない。
心の奥底で幼子のように叫んでいる。
自分の体を抱きしめる。
少しでも、ここに馴染むように。
もう帰ることはできない場所を求めないように。
涙が零れないように。
あの日からずっと思っている。
君が消えた日から、僕に出来ることがあったのではないかと。
君は何も言わずに、小さな町から出て行った。
僕にすら教えてくれなかった。
君はいつも「どこか」を探していた。
だから、その「どこか」を探しに行くのだろうという予感をしていた。
一言ぐらい残してよ
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君は「独りが嫌いなの」と囁くように言った。
僕たち二人ぼっち。
狭い世界の中で二人きり。
話すことは尽きて、無言の時間が漂っていた。
これでは独りなのと変わらない。
僕は話題を探して、頭をフル回転させる。
君に嫌われたくない。
それだけのために。
どうすれば君の笑顔を取り戻せるだろう。
いつになったら家に帰れるのだろう。
見知らぬ光景を見ながら僕は思った。
君に引きずられて帰り道を歩く。
君は興味が湧く方に進んでいく。
寄り道もいいところだった。
それが嫌じゃない僕もどうかしている。
君は僕が知らない世界を開いてくれる。
沈む夕日を見ながらついてきて良かったと思う。
君と手を繋いで歩く。
君が僕と同じぐらいの「好き」を抱えている。
それを伝えてくれた。
まるで夢心地だった。
夢ならいっそ覚めてしまえ。
こんな僕に都合の良いことが起きるなんて信じられない。
やけっぱちな気持ちになってしまう。
どんなに頬をつねっても夢は覚めない。
現実だと知って笑う。
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君を大切にすること。
教科書には書いていない重要なこと。
君が悲しい時は傍にいて分かち合うこと。
君が嬉しい時は一緒に笑うこと。
だれも教えてくれない。
僕は君と出会って初めて知った。
他人をこんなにも愛せること。
自分よりも優先させることができること。
これからも知っていくのだろう。
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君がいないと僕は独りぼっちだ。
他の誰かといても寂しさを感じる。
それぐらい君は大きな存在だ。
それなのに君は気づかず、僕を置いていく。
君に君の道があるように、僕には僕の道がある。
それを知らせるように、冷淡なぐらいに置き去りにする。
僕はまだ独りで立てないのに。
君が必要なのに。
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僕の手はあまりに小さいから、全てを零さずに掬えない。
指と指の合間から滑り落ちてしまう。
それでも諦めずに僕は両手で掬おうとする。
君が零れ落ちないように。
一番はじめに救いたいのに零れ落ちてしまう。
どうすればいいのか分からずに掬おうとする。
全てか君か選ばなければならないのに。
君が微かに笑ったから、僕は道化師役をやめられなくなった。
まぁ、涙を知らない道化師役は退屈ではなかった。
僕の性に合っていた。
何より、君の笑顔を独占できるのは大きかった。
いつも寂しそうにしている君が道化師前では微笑む。
きっと君は他人には言えない悩みを抱えているんだろう。
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