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「 140文字の物語 」
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ちょっとした口論になった。
いつもは楽しい帰り道も無言で足を進める。
自分から謝るのは悔しい。
でも、言葉を交わさずに帰宅するのはもっと悔しい。
スマホが振動した。
ラインに通知が来ていた。
一言「ごめんね」と送られてきた。
本当に悔しい。
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和やかな微笑みを浮かべる。
心の中では嘲笑していた。
自分よりも劣っている人間を見るのは、楽しい。
優越感に浸れて、心地よいぐらいだった。
そのためになら、どんな作り笑いも浮かべられる。
きっと話し相手は気づかない。
それが喜びを増す。
思い返せば子供時代はわがままだった。
気に入らないことがあればすぐに拗ねた。
一緒に遊んでくれる友達にも酷いことをした。
堂々と、両手に爪を立てる。
それで気を引こうとした。
他の友達よりも一番でいたかったから。
痛いぐらいに爪を立てて泣かせたこともあった。
今でも思い出す。
白尽くめの部屋で少女は浅い呼吸を繰り返していた。
ベッドの側にいる青年は少女の手を繋いでいた。
そうしていれば別れずにすむと言わんばかりに。
強く握り締めていた。
少女はそんな青年を見て微笑んでいた。
永訣の時が来た。
「また次の世界で会いましょう」
それが少女の最期の言葉になった。
真っ赤な夕暮れが窓から差しこんできた。
白金色の頭髪が鮮やかに染まる。
それは美しい光景だった。
少女は一瞬、見蕩れた。
神様は不公平だ。
頭脳明晰な少年に、美しい外見を与える。
今回のテストも2位だった。
次こそ1位になって少年を見返してやる、と少女は心の中で誓った。
絶対に勝つ。
初めてのデートだった。
昼過ぎに駅に集合をして映画を観る予定だった。
背の高い彼はコンパスも広い。
一歩の大きさが違った。
置いていかれそうになる。
小走りになって着いていく。
子どものようにはぐれるからという理由で手を繋ぎたくない。
抵抗する心があるのは隠せない。
不器用な恋心だった
帰り道、友達と別れる時が来た。
今日は部活動のせいでいつもよりも帰りが遅くなった。
ほんの数メートルだ。
家族に迎えに来てもらうなんてバカバカしい。
月が冴え冴えとして道を照らしてくれる。
ちょっと湧いてきた勇気を閉じこめるように。
恐る恐る、両手のひらをぎゅっと握る。
大丈夫だ。
毎日、見上げる月が膨らんできた。
中秋の名月と呼ばれる満月までもう少しだろうか。
ただの月だ。
それなのに、少女は天気予報を気にしていた。
二人揃って観たいと和菓子屋に団子を予約していた。
平穏な毎日に忘れ去りそうになる。
二人が出会ったのは偶然ではない。
妖刀の神剣・神楽が繋いだ。
ダイニングテーブルに置いてあった新聞を手に取り、青年は椅子を引く。
台所で忙しそうに働く少女が「おはようございます。寝癖がついていますよ」笑う。
幸せそうな様子に「おはよう」と返した。
手元を見ると腕時計は6時を指していた。
少女が目覚めて朝ご飯の支度をしていることに感心した。
修学旅行の定番。
京都の清水寺についた。
同じ班の幼馴染はバスが下りた時は楽しげだった。
だが坂道を上り、門をくぐったあたりから、言葉が少なくなった。
真っ青な顔色に「大丈夫か?」手を差し伸べた。
絶景といわれる清水の舞台を見ようとした。
幼馴染は怒り顔で、両手のひらにしがみつく。
一つの恋を終わらせた君は、別れの時泣かなかった。
それを僕は何もできずに見ていた。
笑顔で別れて「幸せだったよ」と僕に告げた。
僕は君の頭を撫でた。
アスファルトにポツリと涙が零れる。
君は静かに泣いた。
君の涙の味はどんな味がするのだろう。
興味が惹かれて頬をなめる。
塩辛い味がした
今日は両親の結婚記念日だ。
お祝いにホテルのディナーを予約した。
今年のプレゼントだ。
社会人になったのだ。
これまで育ててくれた両親に感謝するのも悪くない。
それに広い家に一人というのもワクワクする。
両親の視線を感じず、ゆっくりできるのは貴重だ。
「よし、楽しむぞ」独り言を呟く。
秒針よりも正確な紳士は電車のいつもの席で本を読んでいた。
ちらりと中身を見れば、内容はてんでばらばらだった。
実用書もあれば、思想書もあれば、詩集の時もある。
そのギャップが楽しくて紳士の前に立つようになった。
紳士の降りる駅が近づいてきた。
「失礼」会釈をして紳士は立ち上がる。
暑い夜が続き、退屈していた。
そんな時にするのは一つ。
肝試しだ。
ペンライト一本で墓地を一周してくる。
他愛のない遊びだった。
くじ引きで二人組になる。
少女は「やめようよ」と小さく訴えるが楽しむ声の方が大きかった。
無理矢理、組になった少年の指先をぎゅっと握る。
怖くて仕方がない。
「君は努力家だね」白金色の頭髪の少年が声をかけてきた。
万年首位様に声をかけられて、少女の心に怒りが湧いてくる。
「1位おめでとう」少女は笑顔を作りながら言った。
最低な気分だった。
どうやっても目の前の少年に勝てない。
それなのに相手はことらを慮る余裕がある。
次こそ勝ってやる。
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