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「 140文字の物語 」
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テスト用紙が返却された。
満点ではない答案はゼロ点と一緒。
白金色の頭髪の少年はミスなどしないのだから。
今回も2位確定だろう。
少女に一番じゃなくても許される方法なんて誰も教えてくれなかった。
だから少女は常に一番を目指した。
たとえそれが絶望的であっても、少女は諦めない
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どっちが先に落ちるか、真剣勝負だった。
好きになった方が負け。
ゲームみたいな恋は始まったばっかり。
成就する日が楽しみだった。
絶対に、負けない。
好きだの一言を引き出してみせる。
何回目のデートで勝敗は決まるだろうか。
ちょっとしたことが面白くなってきた
道を歩いていれば夕餉の匂いがした。
忙しく料理を作る音がする。
陽も傾きはじめ、飴色の光線が周囲を照らしていた。
少女は優しく、青年の指に指を絡める。
青年は振り払わず、握り返した。
特に会話はなかった。
靴音だけが二人の間にある音だった。
風がそっと駆け抜けていった。
やがて、ぽきりと折れてしまうのではないのか。
そんな不安が過った。
少女はあまりに無力だった。
青年の背を見送ることしかできない。
神剣・神楽から選ばれた青年は文句ひとつ言わずに、今日も戦いに向かった。
同胞同士の戦いは激しさを増すばかりだ。
怪我を負うことも少なくない。
命のやりとりをするのも慣れてきた。
命を奪う感覚が麻痺してきていた。
最後の敵を屠ると、神剣・神楽を鞘に戻す。
遺体は砂のように溶けて霧散した。
結界が揺らぎ、日常が戻ってきた。
少女が泣き顔で駆け寄ってきた。
神剣・神楽を持つ腕にしがみつく。
あと、何度泣かせるのだろうか。
無風の室内で版画を作っていた。
汗が背を流れるが、扇風機を回すことはできない。
木くずが舞い上がってしまうためだ。
一彫り一彫り、慎重に削っていく。
ただの板切れが百花繚乱の一枚になるのが楽しみだ。
目に入りこんだ汗を手の甲で拭う。
完成まであと僅かだ。
板から木くずを払う。
「大丈夫ですか?」今朝は淡い光を届けてくれる太陽だった。
味噌汁をすする青年は「何が?」と問いに問いで返した。
「寝不足じゃないですか?最近ぐっすりと眠れてないみたいなので」少女は言った。
「睡眠は大切です」少女は席に着く。
青年に任せきりなのだから体調管理ぐらいしたい
-
世界は「好き」で溢れかえっていた。
綿あめのようにふわふわとして甘い。
とても居心地が良かった。
お日さまの輝きも、雨の静けさも同じように好きだった。
だから「嫌い」と言われて傷ついた。
気分が悪くなった。
どうしてそんな酷い言葉を言えるのか不思議だった。
「好き」が崩れそう
白金の頭髪の少年に、また負けた。
どうしても勝てない。
学問に勝ち負けはない、というのは綺麗事だ。
廊下に貼り出されるテストの結果がはっきりと主張する。
少年の名前から始まる紙を少女は睨みつける。
「次は勝つ」と小声で言う。
少女は紙に向かって決意を新たにする。
風に揺れる花のような人だった。
折れないように、見守っていた。
雨に濡れて俯く姿は一輪の花を思い起こした。
声をかけるのも躊躇われて、風に揺れる姿を網膜に焼きつける日々が続いた。
いつか暴風が吹いて折れてしまうのだろうか。
何もできない自分に未来を予想することは許されない
山盛りあったクッキーも最後のひとつになった。
どちらが食べるか、妙な間が開いた。
「半分こにしよう」と幼なじみが言った。
「いいの?」思わず訊いてしまった。
幼なじみは器用にクッキーを半分に割った。
同じぐらいの大きさのクッキーを示して「どっちがいい?」と訊ねられた。
美容室に行って髪を切ってもらった。
縛れるぐらいの長さにしたのは久しぶりだった。
「これぐらいで大丈夫ですか?」美容師さんが訊ねる。
鏡にはだいぶ髪が短くなった自分が映った。
似合っているだろうか。
「もう少し、切りますか?」美容師さんの言葉に頷く。
目を瞑って完成を待つ。
明るい気分になりたくて、真っ白なワンピースを下した。
汚さないように気をつけながら、待ち合わせ場所に向かう。
約束の時間の5分前だというのに彼は待ち合わせ場所にいた。
軽く手を挙げると、彼と視線が会った。
今日の私はどう見えるだろう。
「綺麗だ」と彼が言った。
頬が染める。
珍しく取れた平日休みに、姉は敏感だった。
姪っ子の世話を頼んできたのだ。
どうにも断ることができずに、しぶしぶ引き受けた。
姉の家に着くと、すでに姉は出社支度をすませていた。
姪っ子はぐずりだしていた。
母親が仕事をに行くのが分かるのだろう。
嫌々ながら、姪っ子の指先を握る
「明日はお休みなんですよね」少女は再確認する。
「そうだ」少々、投げやりな返事が返ってきた。
「丸一日、家にいるんですよね」少女はつい何度も確認する。
「どこか食べに行くか?」青年は提案した。
「いいえ、ご飯は作ります」少女は楽しそうに言う。
「そうか」青年は言った。
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