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「 140文字の物語 」
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誕生日が来るたびに、何を祝うのかが分からなかった。
ただ歳を重ねるだけだ。
それなのにご馳走を食べ、プレゼントをもらう。
それがとても不思議なことに思えたのだった。
友だちの誕生日を祝うときも、その奇妙さは変わらない。
違和感を感じつつ、オメデトウの言葉を告げる。
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手が震える。
上手く角と角が合わせられない。
造り慣れているはずの折り鶴。
何回、作っても不格好だ。
どうせなら綺麗な折り鶴を贈りたいと思う。
だけれどもそれがプレッシャーになるのか、折り鶴は個性的だった。
部屋いっぱいになってきたそれらを見て溜息をつく。
手を繋ぐタイミングなんて分からない。
隣を歩いているだけで、心臓が口から飛び出してしまいそうだ。
今まで平気だったことが、こんなにも困難なことだなんて想像したこともなかった。
世間一般でいわれるデート中なわけだ。
彼女がぎこちなく、俺の指を指先でつついてきた。
チャンスだ
まるでキャンディのように少女が涙を零す。
少年は少女の頬を舐めた。
少年は顔をしかめる。
涙は塩辛かった。
キャンディみたいに甘いと思っていたのに予想が外れた。
「しょっぱい」と少年は素直な感想を口に出した。
少女は泣き止み「びっくりした」と頬に手をやる。
しばし見つめ合った
「今、大きいの流れたよ!」隣で少女が笑う。
今日は流星群の極大だと知らされたのは、ついさっきだった。
あまり興味がなかったが、少女の期待に満ちた瞳に否と言えなかった。
近所のスーパーの駐車場まで歩いてきた。
考えることは皆同じなのか、ちらほら人影があった。
少女は空を仰ぐ
水着姿の彼女を見て、海に来て良かったと思った。
普段は隠されている腰のラインがたまらなく、セクシーだった。
早々拝めるものじゃない。
「あのね。私、金槌なの」と彼女は打ち明け話をする。
俺は腕を差し出す。
「掴まれよ」というと彼女は恥ずかしそうに、腕にしがみつく。
屋台の中に金魚すくいがあった。
童心に帰って金魚すくいに挑戦してみた。
結果は上々。
3匹の金魚をすくうことができた。
気分よく家に持ち帰ったのはいいが、金魚を入れておく水槽なんてものはない。
仕方なくステンレス製のボウルに入れた。
金魚を見ながら、どうしたものかと思った。
廊下に貼り出されたテスト結果を見て、少女は俯く。
今回も一番をとれなかった。
一番は白金色の頭髪の少年のものだった。
入学してから一度として変わらない不文律。
どうしても一番になりたかった。
それなのに少年がいるから、少女は一番をとれない。
今回も手を抜かずに勉強したのに。
冷めていく夕食にイラついた。
5分おきに覗く携帯電話の液晶画面には変化がなかった。
これ以上、待てない。
一人で全部食べてやる。
唐突に玄関のドアをが開く音がした。
「遅くなってゴメン」と差し出されたのは大好きなショップのケーキ。
生クリームを舐めながら、怒りをぶつけた。
台所のテーブルの上にヘアゴムが置かれていた。
飾り気のない黒いリングゴムだ。
パックに入ったそれを青年はしげしげと見る。
ちょうど先の戦いでヘアゴムが切れたことを思いだす。
消耗品だが妙に愛着が湧いてしまい、捨てられずにいた。
今も部屋の引き出しに仕舞ってある。
先に手を離したのは自分の方だった。
傷つけあうだけ傷つけて、お互い離れた方がいいと結論を出した。
過ぎ去った日々の中、繋いでいた手の温もりを思い出す。
街の雑踏の中、あの人の幻を見る。
今頃、他の誰かと笑いあっているのだろうか。
仕方なく、自分の両手のひらをぎゅっと握る。
少年の心にいつの間にか、少女が住んでいた。
夜、眠る前に少女を思い起こすと、胸の辺りがあたたかくなった。
最初はそれだけで満たされていたのに、月日は残酷だ。
胸に宿った温もりを少女にも知って欲しくなったのだ。
ある日の夕暮れ。
少年は少女を呼び出した。
胸の中の愛を伝える。
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夏が静かに去ろうとしていた。
それは二人の恋と同じようだった。
激しく燃え上がった恋の焔は小さな灯になろうとしていた。
僅かな風でも揺らめくような頼りのないものだった。
去っていくものをどうすることもできない。
ただ見送るばかりだ。
秋の気配に震えながら別れを予感していた。
今日は踏んだり蹴ったりの最低な一日だった。
上司の顔に辞表を叩きつけられたら、どんなに気分が良いだろう。
そんなことは出来ないと解っている。
無理難題を吹っかけてくる上司を除けば、社内の雰囲気はいい。
それに辞めても行く先がない。
明日も出勤するかと思うと気が重かった。
女の子は赤いランドセル。
男の子は黒いランドセル。
みんなでお揃い。
それが当たり前だって、ママが言う。
空も飛べそうな気がしてくる空色のランドセルは女の子だからダメだって、ママが言う。
売っているんだから買う人がいるはずだ。
ママはそれは変わったお家なのよ、とわたしに言う
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