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「 140文字の物語 」
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少女が怒るのがわかっていながら、つい意地悪をしてしまう。
「好きだ」と素直に表現できない。
怒った顔の少女も好きだから。
こちらを真っ直ぐ見て本気で怒ってくれる。
そんな少女を見れるのは自分だけ。
その特別感が捨てきれない。
だから、今度はどんな意地悪をしようか考えてしまう
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心の芯まで凍えるような日は、ホットココアを淹れる。
鍋にちょっぴりの牛乳とココアの粉を混ぜて、木ベラで練る。
よく母が作ってくれたように、手順は完璧だ。
いい香りがしてきたら、牛乳を少しずつ足していく。
もうすぐ出来上がりだ。
お気に入りのマグカップに甘いココアを注ぐ。
少女は泣きそうになりながら、青年の腕を指先でなぞる。
「ごめんなさい」と少女は呟いた。
神剣・神楽のおかげで傷は癒えている。
さほど大きな怪我ではなかった。
それでも少女にとっては大怪我に映ったのだろう。
乾いた血の上から傷跡があった場所を優しくなぞる。
涙が双眸に宿る。
今日は流星群がピークを迎えるらしい。
青年に伝えたら、鼻で笑われた。
流れ星には興味がないとにべのない言葉。
少女は瞬く星を見上げる。
いつ流れるとも分からない星に目を凝らす。
そんな少女に青年はマフラーを渡す。
さり気のない優しさに少女は微笑んだ。
仲良く並んで空を見上げる
些細なことで口論になった。
せっかくの休日が台無しになった。
このまま喧嘩別れをするのかと思うとやるせなくなった。
「ごめん」という代わりに、彼女の手をぎこちなく触れる。
自分とは違う温度の指先を両手で包む。
彼女は驚いたようにこちらを向く。
それからゆっくりと微笑んだ。
風になびく少女の長い髪。
中途半端に伸びた青年の髪とは違う。
手入れをされた髪に触れたいと思ってしまった。
今までそんなことを考えたこともなかったのに。
二人の関係が変わってしまったのだろうか。
巫女と神剣・神楽の使い手という関係を乗り越えようとしているのかもしれない。
吐く息も白く凝る。
早く家に帰って雑煮でも食べたい。
どこに隠れていたのか、人々の群れは小さな神社をごった返していた。
賽銭箱まで出来た列は長く遠い。
自分たちの番が回ってくるまでしばらくかかるだろう。
彼女がぎこちなく、俺の指先を触れ合わせる。
冷たい指先を握り締めた。
-
当たり前のように今日が来た。
明日も当たり前のように朝が来るのだろう。
変わらない日常の中、特別だと思える日。
今日は一年の終わり。
明日は一年の始まり。
目に見えない区切りがつく。
不思議と心地よい。
台所の狭い窓から青い空を見上げながら思う。
平穏無事に過ごせたことに感謝を
無題
二人で初めて迎える朝。
ベッドの上で見る彼はメガネがないだけで、まるで別人のように見えた。
自分とは異なる心音に耳を澄ます。
自分とは違う体温に頬が緩む。
彼は嬉しそうに、私の指先に触れる。
もっと触れて欲しいと思った。
どうしようもなく愛しくなって、彼の指にキスをした。
根が張ったようにパソコンの前から離れない。
正確には離れられない。
眠れない夜は同士を見つけるように液晶画面を見続ける。
眠気がやってくるまでの時間の潰し方としては、よろしくないのは知っている。
でも一人きりの寂しさを埋める方法は知らない。
今日も朝が来るまで時間を埋める
毎朝、決まった時間に届くメール。
モーニングコール代わりのそれを楽しみにしている。
定型文に添えられたちょっとした文章。
制限された文字数の中、ささやかな幸福が滲んでいる。
今日も一日、頑張れそうな気がしてくるから不思議だ。
今日はどんな驚きが待っているのだろうか。
無我夢中に立ち向かった。
それは魂に刻み込まれて、決して忘れない。
駆け抜けていった日々を振り返る。
人の人生はこんなにも短い。
だからこそ輝くのだろう。
歴史という大河に飲み込まれていったとしても、煌く。
こんなにも懐かしい記憶を思い出という言葉で一括りにしたくはない。
-
君は誰にでも優しい。
太陽の光が公平に降り注ぐように。
月の光が闇夜を照らすように。
その優しさは僕ひとりに向かっているわけじゃない。
そんなことは初めから分かっていた。
けれども、独占したいと思ってしまうんだ。
その双眸に写るのは僕ひとりで充分だ、と思ってしまうんだ。
これが最後だと思いたくなかった。
だからいつものように、優しく、指にしがみつく。
この手を離したら、本当のお別れが待っている。
そんな単純なことが心に重くのしかかってくる。
いつまでも一緒だと思っていた。
今日の続きが明日だと無邪気に信じていた。
そんなことあるはずないのに
息を切らして走った。
右手には剣。左手には宝。
闇夜の中、ひたすらに走った。
本当は逃げ場所なんてどこにもない、と知りながら。
この乱世の時代、弱いことは罪だ。
残されたのは末の姫君だけ。
その生命も終わりを告げようとしていた。
それでも少年は走るのだった。
暗い世界の中を。
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