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「 140文字の物語 」
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「好き。嫌い。好き。嫌い」少女は呟きながら、花びらをむしっていく。
「好き」花びらは無くなった。
茎だけになった花を見て、ようやく微笑んだ。
初めての恋だから占いに縋りつきたくなる。
どう思われているだろう。
ただの友達?気の合う話し相手?それとも恋人候補?悩みは尽きない
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彼女の白い手を取る。
小さな手のひらに唇を押しつける。
すると真白な頬が赤くなった。
素直な反応だった。
唇を重ねあうようになったら、いったいどんな仕草を見せてくれるのだろうか。
それが楽しみになる。
だから、もう一度働き者の手のひらにくちづけを贈った。
振り払われなかった。
掃除をしていたら、アルバムが出てきた。
懐かしくなってそれを居間に持ってきた。
窓を掃除中だった彼女が寄ってきた。
ページをめくると小さな自分が写っていた。
あやふやな記憶を頼りに思い出話をする。
彼女は少し羨ましそうに相槌を打ってくれた。
当然ながら彼女の写真はまだない。
彼はいつも、しかめっ面をしている。
難しい顔をして毎日を過ごしている。
私とは対極にいる人物といってもいい。
そんなんで人生、楽しんだろうか。
疑問符が浮かぶ。
そんな彼にささやかな悪戯を思いついた。
すると、彼は笑みをこぼした。
もう一度、見てみたいと思えるような笑顔だった
居心地が良かったから、距離を縮めようとは思わなかった。
友達以上恋人未満。
何でも話せる大切な相手。
約束もせずに別れても平気な人物。
また、明日があると思っていた。
好きだと伝えなくても大丈夫だと考えていた。
けれどもそれは思い違いだった。
遠回りをしたけれども、今言おう。
少女は泣きそうになりながら、青年の両手に触れる。
肉刺だらけの両手にいつも守られている。
本当は戦って欲しくはない。
神剣・神楽を押しつけたのに、そんなことを考えてしまう。
傷だらけの青年の姿を見る度に、胸の奥ので焼けつくような思いに囚われる。
わがままだとは分かっている
彼は遠い目をしながら、かつての幸福を語る。
それは蜜のように甘く、劇薬のようだった。
今の彼は間違いなく不幸だった。
周囲の人間とも疎遠で、大切な人をなくしたばかりだった。
それでも彼は耐える。
過ぎ去った時間が幸福だったから、それを思い出せば辛くないと。
微笑すら浮かべる
過ぎ去ってから気がつく。
彼女はまさしく青春だった。
一緒に過ごした季節は胸の奥底で今も眠っている。
たまに目覚めて、チクリと心を刺す。
元気にしているだろうか。
笑顔でいるだろうか。遠く離れて、思い出になってしまったから心配になる。
記憶に残る日々はいつまでも美しい。
いつだってそう。
ブランコに座りながら時間を潰していた。
ゆらゆらと揺れるブランコと気持ちがシンクロする。
心が行ったり来たりする。
もう子供じゃないんだから、家に帰らなければならない。
日はとっくのとうに沈んでいる。
今日もまた両親は口論をしているのだろうか。
聞きたくない
深夜、僕と彼女は待ち合わせをした。
頼りない外灯の下、大きめな鞄を持って彼女が待っていた。
「行こうか」と僕が言うと、彼女は泣きそうになりながら、手のひらを指先でなぞる。
少しくすぐったい感覚に、僕は笑った。
彼女の指先を力強く握り締めた。
「大丈夫だよ」と僕は言った。
いつの日か別れがくることは、分かっていた。
ひとところに留まることはないと知っていた。
まるで風のように心の中を掻き乱していった。
出会ったことを後悔したくはなかった。
だから、去り行く彼を笑顔で見送った。
それだけが私に出来ることだったから。
少女は夜更けにもかかわらず起きていた。
気がついたら神剣・神楽と共に青年が姿を消したからだ。
一人では行かないと約束をしたのにあっけなく約束は破られた。
一刻も早く帰ってきて欲しい。
音もなく回る秒針を見つめながら少女は願った。
神剣・神楽があるのだから無事に決まっている
それはありふれた感情。
一人で孤独だったから、彼女が与えてくれた優しさに縋りついた。
甘えだと実感している。
寄りかかっていると、このまま時がすぎて永遠になってしまえばいいのにと思ってしまう。
こちらにはメリットばかりだけど、彼女が優しくしてくれる理由は未だに分からない
私と彼は、手を繋いで歩くのもやっとの出来たてほやほやの恋人同士。
照れて、並んで歩くのもためらいがち。
彼の唇はどんな感触がするのだろうか。
ファーストキスもまだまだな私は今日こそは、と思うけれどもなかなか上手くいかない。
どんな顔をしてキスするのだろうか。
気になる。
あの時、勇気を出して言っていれば、違う運命が待っていたのだろうか。
それとも変わらない未来が待っていたのだろうか。
あの時に戻ることが出来ないから、より考えてしまう。
もっと違う未来があったのかもしれない。
過ぎ去った過去に「もしも」はない。
分かっていても囚われる。
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