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「 140文字の物語 」
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どんなに手を伸ばしても決して届かない。
夜空を彩る星のようだった。
公平に地表を照らしているというのに、裏側を見せない月のようだった。
いつかは隠れて見えない本当の心を見てみたいと思った。
今は自分のことで精一杯だけれども。
宇宙船に乗って地上からは見えない部分を見るのだ
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僕から遠く離れていく君。
理由ひとつ教えてくれなかった。
大きな瞳からボロボロと涙を零して、ただ謝るだけだった。
僕は「それが君の幸せなら」と利口な言葉を紡いでいた。
幸せになって、なんて嘘だよ。
これ以上ないぐらいの不幸になればいい。
僕と別れるんだから当然だよね。
私と貴方は正反対。
初めて会った時は、こんなに惹かれるとは思わなかった。
いくつもの季節が二人の間を通り過ぎた。
器用なのに言えない私と、不器用だから気付かない貴方。
だから恋という甘い果実は実らないかもしれない。
今日も素直になれなかった。
不器用な貴方はまた謝罪をする。
-
今日、死にたくなったら明日死のう。
最後の一日は特別な日になるだろう。
白い便箋に別れの言葉をしたためて。
今まであったこと、喜びと悲しみを綴って。
誰にも言えなかった言葉で埋めよう。
美味しいお酒と美味しいご飯を食べて。
独り静かな時間を楽しもう。
きっと幸福で満たされる。
ここ数日、穏やかな生活が続いている。
神剣・神楽は退屈そうにしているが、ありがたいと思ってしまう。
生命のやり取りをしている生活が日常のように感じていた。
そんな異常な状態を普通と思っていたのは、心が麻痺している証拠だった。
このまま穏やかな生活が続けばいいと願う。
どんな喧嘩をしても、次の日は仲直り。
そんな二人が不思議だった。
自分も同じ立場になってみても、分からなかった。
だから訊いてみた。
親友は笑いながら言う。
「怒っている時間が無駄でしょ。ずっと一緒にいたい人だから」
そんなものだろうか。
いつか自然に許せる日が来るのだろうか
神剣・神楽を押しつけた。
その日から青年の日常を奪ってしまった。
自分の選択は誤ったと思えない。
傷だらけで帰ってくる青年を見つめられず、少女は俯く。
何もできない自分が歯がゆかった。
だから、せめて戦いが終わるまで結界の外で待ち続けると決めたのだ。
精一杯の誠意だった。
今年は春が来るのが遅い。
桜の花の蕾も固く、朝晩の冷え込みもきつい。
少年は待ち合わせの場所で、手をこすり合わせていた。
時間ぴったりに少女が走ってきた。
「転んだらどうする。もっと慎重に」と挨拶よりも小言が出てしまう。
少女は軽々しく、指先を軽く握る。
「冷たいね」と言う
代わり映えはないけれども、安定した毎日が続いていた。
明日は今日と同じ顔をして待っているものだと思っていた。
けれども、少女と出会い、神剣・神楽を振るうようになって普通から逸脱し始めた。
退屈だった日常は一変した。
また明日と約束ができない日々がやってきた。
それが辛い。
二人の間にあった赤い糸。
絡んだ糸は解けてしまった。
繋がっていたはずなのに、切れてしまった。
どれだけ手繰り寄せても、赤い糸は途切れてしまっている。
気がつくのが遅かったのが悪いのか。
それともこれも運命の一つだったのか。
分からないまま中途半端に伸びた赤い糸を見る。
「幸せになりたい」少女は口癖のように言う。
それを聞いて、何もできない少年は頭を垂れる。
大切な少女だからこそ力になりたいと思う。
けれども、現実は残酷だ。
無力な自分を思い知らされるだけだった。
少女をこれ以上ないぐらいに『幸せ』にしたいのに、思いはこんがるだけだった。
一緒にいるのが当たり前だった。
彼女が離れていくことが信じられなかった。
自分以外の誰かと仲良く歩いている姿を見ても、なお信じられなかった。
いつの間にか二人の間に距離が開いていた。
愛の言葉の一つでも、ささやけば違った未来が待っていたのだろうか。
今になっては分からない
明日のことを考えると鼓動が早くなって眠れない。
何度目かの寝返りを打って、眠ることを諦めた。
カーテンを開ければ夜空を渡る月が冴え冴えと輝いていた。
早く朝が来ればいいのに、と思った。
昼過ぎには彼と久しぶりの再会を果たしているだろう。
時間はじれったいぐらい進まない。
「キスして」と少女はストレートに言った。
青年は困ったように微笑んだ。
「じゃあ、目を閉じて」青年の言葉に少女は瞼を伏せた。
額に軽い感触が一瞬して、すぐ離れた。
目を開ければ青年の顔が間近にあった。
「唇にして」少女は再度、懇願した。
「マイスイートハート。まだ早いよ」
まるで覚めた夢の続きを見ているような気分だった。
ずっと昔から一緒にいたようなそんな気がしていた。
それぐらい自然に二人の時間が流れていく。
幸福というのはこんな気持ちを指すのだろうか。
できることなら、これからの季節も二人で過ごせればいいと思った。
それこそ夢のように。
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