君は不幸自慢をする。
生まれてきて、どれだけ辛い人生を歩んできたか。
そんなことばかりを言う。
そんな君とは、幸せになれないから離れると決めた。
君は必死になって、僕にすがりつこうとする。
でも僕はこれ以上、君を幸せにしてあげられないから。
どうか他の人と幸せになって欲しい
PR
「好き」って言ったら、「好き」って返ってきた。
「嫌い」と言ったら、困ったような笑顔で「それでも好きだよ」と返ってきた。
どうしたら嫌われることができるのだろう。
いつでも「好き」を返してくれる彼。
鎖で繋がれているようで、窮屈さを覚えることがある。
「好き」が重い。
昔、世界は暗闇でできていたそうだ。
太陽も月もない世界で人々は暮らしていたそうだ。
それを哀れと思った若い神様は、世界の半分を照らすように光を盗み出したそうだ。
この柔らかな日差しは若い神様のおかげでもたらされたものだ。
奢ってはいけないよ。
また暗闇になるかもしれない。
君は優しすぎるから、今日もまた雨が降る。
僕は涙の止め方が分からないから、ただ見つめる。
君は誰にも頼らずに、独りで頑張ろうとする。
傷だらけになったハートを守る方法はないのか、と僕は考える。
一緒にいるだけでは君を救うことが出来ない。
僕は自分の無力さに嫌気がさす。
ちょっと制服のスカートの丈を短くする。
靴下をくしゅくしゅと短くする。
流行のリュックサックを背負う。
みんなと同じ格好をする。
個性なんてない。
それなのに可愛いって褒められる。
世界で一番、可愛いって言われる。
みんなと同じなのに、彼の眼からは違って見えるようだった。
たいした怪我じゃなかった。
少年は保健室に向かった。
部屋には常連の少女がベッドで横たわっていた。
また貧血を起こしたのだろう。
クラスも名前も知らない少女だが顔見知り程度になっていた。
少年を見ると少女は起き上がり救急箱を取り出した。
手馴れた様子で手当てをしてくれた。
一生の忠誠を誓い剣を捧げた。
まさかこんな苦労をさせられるとは思わなかった。
今日も主の姿を探し、城中を走る。
体のいいお目付け役にさせられている。
主は一所に留まってはくれない。
王族に相応しくないぐらいだ。
護衛役をおいてふらふらと出歩くこともしばしば。
そこも魅力だが。
僕と君は友だち同士。
二人でいることが長くなってきた。
どちらかに恋人が出来るまで、続くのだろう。
いつまでも一緒にいるから、勘違いしたんだ。
居心地の良い関係を崩しても伝えたかったんだ。
知ってたよ、君の答えは。
僕は軽率な一言で、一生続くかもしれない友情を失ったんだ。
まるで魔法の言葉のようだった。
愛してる愛してる、愛していたかった。
気がつけば君を縛りつけていた。
誰よりも自由が似合う君だから、魔法の言葉はこれでおしまい。
いつまでも一緒にいたかった。
でも「さよなら」だ。
二人で過ごした時間は想い出という言葉の中で永遠に煌いている。
いつの頃からだろう。
駅までの短い道のりを相合傘で帰るようになったのは。
クラスメイトは雨の予報があっても、傘を持ってこない。
雨に濡れて帰る姿を何度、目撃しただろうか。
あまりに頻繁だったから傘に入るか尋ねてしまった。
それ以来、雨の日の約束になった。
今日も雨だといい。
「今日も星空は見えないみたいだ」と残念そうに少年は言う。
空は分厚い雲が覆っていた。
灰色の空は世界をモノクロームに引きずりこむ。
最後に星空を見たのはいつだったか。
この季節特有の天気といえばそれまでだけれど。
スッキリしない空を見上げて溜息をつく。
明日の空はどうだろう
冷たい雨が降るように君は涙する。
頬に伝うそれを拭いもせずに、真っ直ぐとこちらを見つめる。
微かな希望にすがりつくような視線に僕は何も言えなくなる。
こんなとき、言葉は無力だ。
安心させるのは簡単だ。
けれども何を言っても嘘になる。
言葉を紡ぐ代わりに小さな体を抱きしめる。
恋しちゃいけない。
誰が決めたんだろう。
想うだけは自由だと自分に言い聞かせる。
君は僕以外のもの。
出会うのが遅すぎた。
仲の良い友だちごっこは、正直ツラい。
愚痴という名ののろけを聞かされながら思う。
「好きな人いないの?」そんな問いに「いないよ」君が好きで、嘘をついた。
少女が力強く、少年の指を折れんばかりに握る。
そしていれば、離れ離れにならないというように。
いつでも別れの言葉を告げるのは苦手だ。
それでも少年はサヨナラを告げる。
やっぱり少女の瞳が涙で潤む。
繋いだままの手に透明な水滴が落ちる。
少年は「もう少しだけですよ」と言った。
君のことが好きになってから、僕の世界は変わった。
自分だけの世界が、君中心に回ることになった。
この気持ちは君にどこまで届いてる?
どんなに言葉にしても、胸の奥にともった火は伝えきれない。
大切で大好きな君に毎日、会える喜び。
それがどれだけ幸福のことなのか僕は知った。