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「 140文字の物語 」
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冬の寒い日のことだった。
やっと好きな人に好きって言えた。
その人も私のことを好きだと言ってくれた。
ずっと抱えていた恋心はハッピーエンドを迎えた。
順調にお付き合いを始めた。
今年のクリスマスは独りじゃない。
それなのにどうしても心に靄がかかる。
恋人が欲しかっただけじゃないのかと
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「I love youを訳しなさい」と彼女は言った。
だから僕は平凡に答えた。
「月が綺麗ですね」と。
彼女は不満げに「借り物の言葉じゃなくて、自分の言葉で」と難題を言う。
「一生、一緒にいよう」僕は思いついた言葉を口にした。
「70点」と微妙な数字を言われた。
どうすれば満点になるのだろう
-
どれだけ言葉を尽くしても、足りない。
涙の海におぼれる君を救うことができない。
今日も君は独りで泣くのだろうか。
僕はそれを遠い空から聞くことしかできないのだろう。
君の隣で、涙を拭ってあげたいと思うけれども空回りするだけだ。
どうすれば良いのか分からないまま、今日が終わる。
-
生きている価値ってなんだろう。
誰かに許可を取らなければいけないものなのだろうか。
生まれてきた意味ってなんだろう。
死に向かって走り続けていくことだろうか。
今日も誰かが泣いている。
今日も誰かが笑っている。
不幸せだという人もいる。
幸福だという人もいる。
人生の中で息をする。
ふわりと少女が笑った。
青年には充分だった。
それだけで戦う理由になった。
神剣・神楽を手に、青年は戦場へと向かう。
結界の中に入れない少女の瞳は不安げに揺れていた。
青年は少女の頭を撫でる。
「行ってくる」と青年は言った。
少女は無言で頷いた。
独りではない。
それが嬉しくて今日も戦う
のんびりとした時間にピリオドが打たれた。
青年は中途半端な髪をヘアゴムで結ぶ。
それはまるで儀式のようだった。
青年は神剣。神楽を手にする。
わずかに律動するそれは喜んでいるようだ。
殺し合いをするのに、神剣・神楽は楽しそうだった。
青年は微苦笑する。
平穏な日々を取り戻すために戦う
君の「大丈夫」が、大嫌い。
いつでも「大丈夫だよ」と笑うけど、全然「大丈夫」じゃないから。
本当は泣きたいくらい辛い気持ちを抱えている。
そんなことはお見通しだよ。
だから、強がる君を見て僕も辛くなる。
君のためにできることがないから、君は「大丈夫」をくりかえす。
なんて無力な僕。
心の中は見えないから、時々心配になる。
君が泣きたいのを我慢しているんじゃないか。
君が苦しくて助けてを叫んでいるんじゃないか。
そんなことを考えてしまう。
僕は無力で君にしてあげることなんて、片手であまることしかない。
傍にいて大丈夫だよと手を握れればいいのに。
それすらできない
金色に箔押しされた表紙を開く。
そこには文字が流麗に綴られている。
聖典に今日の一日を占うように文章を追う。
これからの時間が素敵なものになるように。
それは祈るようなものだ。
世界は苦しみや悲しみに満ちている。
だからこそ、小さな幸せを信じたい。
だから真剣に聖典の文を読み進める。
戦いに出たあの人の写真が手元に残った。
今も生死は不明だ。
あの人がお国のために出て行ったのはもう何年も前のことだ。
戦いに出たことは正しいことだったのだろうか。
怖くはなかったのだろうか。
時々分からなくなる。
凛々しい横顔だけを覚えている。
本当は泣きたかったけれど笑顔で見送った
包みこみようにマグカップを持つ君。
温かいココアを飲みながら微笑む。
「美味しいね」と言う。
それを見て君の子供のような純粋さをずっと守ると、僕は思った。
悲しければ泣き、嬉しければ笑う。
当たり前のことが当たり前にできる君が眩しい。
いつまでも変わらないで欲しい。
そんなことを願う
お味噌汁を作ったらお椀一杯分余ってしまった。
一人なんだと実感した。
これからも何かにふれて一人きりなんだと感じさせられるのだろう。
悲しむ暇などないというのに、冷めていくお味噌汁を前に途惑った。
また二人分、作る日が来るのだろうか。
誰かが隣にいてくれるのだろうか。
想像つかない
少女は手元を見る。
携帯電話の液晶画面にはレシピ集。
初めて作ったお味噌汁は妙な味がした。
毎朝、お母さんが作ってくれるお味噌汁とは天と地の差があった。
レシピ通りに分量を量って、手順も守った。
それなのに、ちっとも美味しくなかった。
初めてにしては上出来だと自分に言い訳をする。
空を見上げては撮る。
花が開けば撮る。
美味しい料理を食べたら撮る。
何枚も、携帯電話で写真を撮る。
撮った写真には短く文章を添える。
そうしたメールは何通、溜まったことだろう。
今はいない君の代わりに365日、メールをしたためる。
決して返信が届くことのないメールを送る。
いつも通り
-
君がいない世界の夢を見た。
僕の隣にいた君だけがぽっかりといなかった。
あとは見慣れた日常が続いていた。
どこを探しても、どんなに探しても、君はいなかった。
それだけで世界は違って見えた。
どこにいても、どんなに嬉しいことがあっても、分かち合う君がいない。
それは退屈で窮屈だった。
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