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「 140文字の物語 」
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季節は秋から冬へと移り変わっている。
見上げた夜空の星の配置が、それを教えてくれる。
とても美しい光景を一人ではなく二人で観られるのは幸福なことだった。
吐く息も白い中、寒さを口実にできないものかと考えてしまう。
二人の距離がぐっと近づいたような星空だった。
それがうれしかった。
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どんな君も好きだけど、一番はやっぱり笑顔の君が好き。
君の笑顔は僕の心に火を灯してくれる。
優しくて、あったかくて、幸福そうな笑顔。
僕には真似ができない。
だから、作り笑いを浮かべながら、いつか君のように心の底からの笑顔ができるように頑張っている。
まるで僕の代わりに笑う君。
紅茶を淹れていたら記憶がフラッシュバックした。
あの日もこんな風に紅茶を淹れていた。
ただし、その時は二人分の紅茶だった。
追憶にふける。
一人分の紅茶を飲みながら、どうして二人でいつまでも笑っていられなかったのだろう。
後悔していまだに一歩を踏み出せないでいる。
ふいに目が潤む。
星が瞬いて綺麗な夜だったから、小声で「君が好きだよ」と囁いた。
一瞬、君は驚いたような顔をした。
それから微笑んで「私も貴方が好き」と言った。
ありふれたささやかな幸せだった。
手を繋いで帰ったね。
それも全部過去形だった。
離れ離れになると分かっていたら、もっと好きだと言ったのに
好きだったのは、嘘じゃないけど過去形だ。
もっと好きな人と出会った。
君は独りで生きていけるだろう。
俺がいなくてもやっていけるだろう。
そんな風に別れ話は始まった。
彼は残酷なほど誠実だった。
重荷になりたくないからたくさんの我慢をしてきた。
甘えることができたら運命は変わったの?
浮いた話がないから舐めていた。
幼馴染みが嬉しそうに報告してきた。
液晶画面の中で仲良さそうに笑う男女。
何もかもが手遅れだった。
祝福の言葉を紡ぎながら、心は沈みこむ。
どうして自分ではないのだろうか。
今までたくさんの写真の隣にいたのは自分だ。
一番、親しくしていたのに裏切られた
ふたりの出会いは偶然だった。
運命と呼ぶには陳腐すぎる出会いだった。
それでも運命をと呼びたい。
一目で恋に堕ちたのだから。
そしてふたりが同じ気持ちを抱えていると知ったのだから。
昔からくりかえされた筋書きであっても、この気持ちには嘘がつけない。
ふたりだけで描いていく
夜風に当たりながら、夜の散歩を楽しんでいた。
寒くなったせいだろうか。
星が輝いて美しい。
ふいに携帯電話が鳴動した。
誰からだろうとタップする。
メールが一通。
「今から会える?」と簡潔な文面だった。
「もちろん」と返信する。
どうやら以心伝心のようだった。
嬉しくなって心から笑う。
どうしてあんなこと言っちゃったんだろう。
後悔先に立たず。
覆水盆に返らず。
久しぶりに一緒にいられる時間だったのに、恋人と喧嘩してしまった。
売り言葉に買い言葉。
本当はこんなことを言いたくはなかった。
それでも言ってしまった。
素直に謝ることもできない。
泣きながらスマホを見つめる
小鳥のさえずりが聞こえた。
いつの間にか寝てしまったようだ。
無理な姿勢で眠ったからか、体が痛かった。
ハンガーに掛けられた制服にためいきをつく。
蹴破るような勢いでドアが開いた。
「今日こそ、学校へ行くぞ」幼馴染みが言った。
目を逸らしつつ、指先にしがみつく。
無駄な抵抗を試みる。
ドラマも佳境だった。
ヒロインが「私と仕事、どちらが大切なの?」と涙ながら選択を迫っていた。
主人公は困ったような顔をしていた。
そこでドラマが終わり、夫はテレビを消した。
遅めの夕食をとりながら「僕だったら、君と即答するけどな」と夫は言った。
いつまでも甘い言葉をくれから照れる
月光が明るいので楽観視していた。
街の中でいきなり斬りつけられた。
同胞殺しの妖刀を持ち歩いていたのは幸いだった。
相手の斬撃を神剣・神楽の鞘を受け止める。
青年は張られた結界の中に飛びこむ。
鞘を払って、次の攻撃に備える。
幸いのことに敵は一人のようだ。
少女がいなくて良かった。
彼の声を最後に聞いたのはいつだっただろうか。
一緒に出掛けたのはいつだっただろうか。
年末進行という言葉が近づいてきている。
仕事と私、どちらが大切なの。
そんな困ることを訊くほど、子どもではない。
比べられないのは分かっている。
体調を崩していないか、無理していないのか。
気になる
好きだというなら、無理やり奪って、今すぐに。
不安になるの。
あなたは私を好きだというけれども優しい抱擁をくれるだけ。
手を繋いで帰るのが精一杯。
大切にしてくれるのは分かるけれども怖くなる。
私があなたのものだという烙印を体中につけて欲しいの。
これ以上、あなたを疑いたくないの。
「起きてください! 朝ご飯、できているんですよ」
優しく一定のリズムで揺すられる。
それが眠りをよりいっそう誘う。
「あと5分」青年は言った。
「それはさっき、聞きました」少女は言った。
そして、手荒く布団をはぎ取る。
青年は寝不足気味の頭で、思考をめぐらす。
規則正しい生活だった。
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