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「 140文字の物語 」
「あーあ、なんて可哀想な君」突然、幼なじみが言った。
いつもの帰り道での出来事だった。
突拍子もないのは相変わらずだが、今度はどんなトラブルを持ちこんだのだろうか。
「明日からは独りで帰れなければならない」と幼なじみが嬉しそうに言った。
それでピンときた。
告白が成功したのだろう
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未明に派手な着信音で起こされた。
寝ぼけ眼で着替えて病院に向かうと、親族が集合していた。
ベットの上には目を伏せた祖父がいた。
空調の音と生命を繋ぐ機械の電子音が響いていた。
お別れの時が来たのだと分かったから、枯れ木のように細い手を握った。
厳しかった祖父が皆の目を潤ませる。
もたらされた愛は確かに暖かった。
無償で施される愛は蝋燭の明かりのようだった。
でも、それは完璧ではなかった。
一部分が損なわれている。
補えあえると思ったから、長い旅に一歩踏み出した。
欠けた愛を探している。
パズルのピースのように当てはまる相手と出会う。
それは運命と呼ぶのかも。
蓋に名前が書いてあったプリンを食べてしまった。
コンビニでも行けばよかったのだろう。
でも、すぐに食べたくなってしまったのだ。
問題があるとすれば、食べている最中に少女に見つかったことだろう。
謝ったが許してくれない。
クッキーを少女の部屋の前に置く。
とっておいた物だが我慢する。
泣きたくなるほど美しい黄昏だった。
言葉を失って、太陽が沈んでいく姿を見守った。
どうして独りで見る夕焼けはこんなにも悲しいのだろうか。
追憶の中にしかいない君に問いかける。
あの日、手を離してしまった罰だ。
消せずにいるアドレスにかけるのを我慢する。
君が出ないこと知っているから
二人で帰る夕暮れ。
つかず離れない影は仲良さそうだった。
二人の間には隙間風が吹いているのに、影は幸せそうに重なり合っていた。
会話はないけれども、その沈黙が居心地がいい。
二人の足音だけが埋める。
毎日の繰り返しだから気がつくこともある。
陽が沈むのが遅くなって明るいうちに帰れる
少年はさっきからスマホをいじっていた。
少女の前ではいつもそうだ。
目の前でスマホをいじられると存在を無視しているような気がする。
少年は「君の前ではリラックスできるから」と言う。
それでも、少女にとって面白くない。
優しく、指を指先でつつく。
スマホをいじっていた少年は顔を上げる
体の中をめぐる水は海に近いという。
生命の誕生の始まりが海で起こったという。
だから、こんなにも海を恋しく感じるのだろうか。
時折、犬の散歩をする人がいるだけで、人気のない浜辺でじっと座っていた。
潮騒に耳を傾ける。
それ以外の音は聞きたくない。
独りでいることが心地よかった。
いつでも君の三歩後ろを歩いていた。
長く伸びる影を見ながら、付き従っていた。
君を知れば知るほど距離が開いていくような気がする。
君は孤高だ。
誰もが首を垂れるが、並び立つことはない。
幼なじみの僕はせめて、隣に立つことだけはしたい。
君の背負った重い荷物を半分、持ちたいと思う。
眠ることができない夜更け。
独りでいることがたまらなく寂しい。
明日、仕事の君はすでに眠っているだろうか。
連絡を取ったら迷惑だろうか。
最近、休日出勤を重ねていてる君とは休みが合わない。
最後にデートしたのはいつだっただろうか。
お休みコールをかけても返事が返ってこないことも多い
キスなんて唇と唇が触れ合うだけだと思っていた。
それがこんなにも甘やかなものだと知らなかった。
好きな人とするキスは心が震える。
体いっぱいが幸せで満たされる。
初めてキスした時は雷にうたれたようだった。
それぐらい心臓が早鐘を打った。
デートの度にキスをしても飽きることがない。
人が驕りを覚えたのはいつのことだろうか。
楽園でリンゴをかじった時だろうか。
それとも神から炎を教えてもらった時だろうか。
血で血を洗う争いの中で、つかの間の平和を甘受する。
連綿とつながる歴史は闘争の暦。
幸福に気がつかないまま、一つの時代が終わろうとしている。
今は進むだけだ。
「この世界で二人きりになれたらいいのにね」と君は苦笑した。
お祭り騒ぎは嫌いではなかった。
けれども静かに二人きりになれるのとどちらがいいかと問われたら、後者だろう。
長いこと片思いをしていたから、祝福されるのは嬉しい。
二人の恋は始まったばかりだ。
二人きりでじっくり温めたい。
今度の彼氏は奥ゆかしい。
真面目で、誠実で、照れ屋で、優しくて、少しばかり不器用だ。
友達に誘われた合コンで出会った。
人数合わせに連れてこられたのが分かるほど浮いていた。
今まで付き合ってきた彼氏たちとは違う。
私がどんな女かもしれないで、丁寧に扱ってくれる。
幸せだと強く感じる
教育にうるさい母だった。
門限があり、遊ぶ友達も制限された。
学校が終われば、塾やピアノ教室に行くのが当たり前だった。
夜遅くまで勉強をして、宿題が終わる頃には空腹が耐え難い時間になっていた。
けれども、すべてが終わるまで夕食にはありつけなかった。
今でもそれを恨みに思っている。
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