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「 140文字の物語 」
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天気予報は雨だった。だから、僕は大きめの傘を持って家を出た。あの子と相合傘をして帰るために。
それなのに、おっちょこちょいのあの子は傘を持って学校に来た。僕は手元を見る。
一人用にしては大きな傘を持つ間抜けな自分がいた。悔しさに歯ぎしりする。どうして今日に限って。
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いつの頃からだろう。目には映らない壁ができたのは。それを超えられないと思ったのは。
壁にふれれば冷たくて、自分の身長よりも数倍高い。この壁を越えられる日がくるのだろうか。
それすら分からない。諦めて、壁に背をくっつけて座る。そして、歩いてきた道をぼんやりと眺める。
揃いのマグカップ。揃いの指輪。お揃いのものは一つずつ増えていった。
それが嬉しくて、それが楽しかった。今日も揃いのものを見繕うと街に出かけた。十字路で立ち止まった。
気がつかなければよかった。気がついてしまった。揃いのものを増やしても使う人はいない。
胸の傷が疼く。
単純なケアレスミスだった。何度もくりかえし答案を見たけれども、一か所だけ三角があった。
それに不満を持った。答案用紙は満点でなければならないのだ。
そうでなければお母さんは不機嫌になるだろう。そして僕を責めるだろう。
分かりきった未来に憂鬱になった。答案用紙を見る。
iotuは、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。

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僕は、ぎゅっと自分の手を握り締めながら最後の噓をついた。爪が手のひらに食いこんで痛かった。
それはこの先の未来を歩き出すための嘘だった。「これ以上関わらないでくれ」と君に冷たく言った。
そうでもしなければ君は僕についてくるだろう。君よ、いっそ笑い飛ばしておくれよ。
たかが学園祭のお化け屋敷だ。ちょっと驚かせたら大成功。そんな甘い作り物だ。
それなのに少女は泣きそうな顔をした。「昔から暗いところが苦手なの」と訴える。困ったことになった。
青年は恐る恐る、少女の指先をぎゅっと握る。「目を瞑っていても構わない。これなら安心だろ?」
忘れ物に気がついたのは、郵便受けのところだった。慌てて閉めたはずのドアを開けた。
玄関で立っていた妻がビックリした。「忘れ物をした」というと、弁当箱を差し出された。
「まだ間に合うかと思って、持っていくところだったんだよ」と妻は笑う。
「もう忘れ物しちゃ駄目だよ?」
女性はボタンを一つずつ外していった。白い柔肌にはいくつもの傷があった。
「醜いでしょう?こんな女を抱けますか?」女性は言った。男性の心は揺れ動く。
まるで泣いているような女性を抱きしめる。香水をまとっているのか、甘い香りがする。
「もっと自分を大切にしろ」と言った。
「ずいぶん派手に怪我をしてきたな」と壮年の男は言った。
言われた少年の方は「名誉の傷ですよ」と笑った。
「その調子だと姫さんがだいぶ怒ったんじゃないか?」男が少年の背を叩く。
少年は困ったような表情をする。「口添えをしてくれませんか?」と少年に言われ、男は納得する。
神は慈悲深い。今年も豊作だった。そのことに領主も領民たちも歓喜した。
国に提出する書類は平年並みだった。と取りつくろう。浮いた金で東洋の骨董品を集める。
もちろん領民たちにも、施しをする。不公平は災いの種になる。
それにしても神の慈悲深さは、素晴らしい。領主は思う。
思ったよりも体温が高い。少女は青年の汗を拭いながら、心配をする。
神剣・神楽が傷を癒すといえでも、限界がある。青年の体は傷だらけだ。
そのことに少女は、罪悪感を覚える。どんな気持ちで青年は、同胞殺しを続けるのだろうか。
少女は、巻きこんでしまったことに後悔を覚える。
iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
これが本音なら、楽だったのに。

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僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。それは切望のような嘘だった。幼子なのは君じゃない。
僕の方だ。「すべて夢でも構わない」と僕が言うと、君は目を瞬かせた。
「私は夢だったら嫌だけど」と君は笑った。僕の嘘を見透かされてしまっだ。
これが本音なら楽だったのに。
あなたのことが大好きだから、大嫌いだなんて嘘でもいえない。
どんなにからかわれても、どんなにいたずらされても、いえない。
それぐらいあなたのことが大好きなのだ。
あなたに意地悪をされて、喉の奥まで出そうになるけれども、やっぱり大嫌いなんて嘘でもいえない。
そんな恋心。
陥落した要塞を見て回る。あちらこちらに弓矢の欠片が落ちていた。それにどうにも引っかかる。
敵側は果敢に抵抗したが、弓矢の攻撃はほとんどなかった。
それに要塞の外側よりも、内側に欠片は落ちていた。内輪もめをしたのだろうか。どうにも腑に落ちない。
調査を続けるしかない。
冷凍野菜に、適当にめんつゆをかけて、しばし煮こむ。
簡単な料理だけど、あなたは美味しい美味しいと食べてくれる。
本当は本格的に料理がしたいんだけれども、帰ってくると疲れてそれどころではない。
これでも充分美味しいよ。というあなたは納得をするのが、私は罪悪感を覚える。
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