君は天邪鬼。
今日も今日とて追いかけっこ。
好きだ、と言ったら逃げるくせに、冷たくすると近づいてくる。
まるで見捨てられた子猫のような眼をして僕を見る。
何度、君を諦めようかと思ったことだろう。
いっそのこと嫌いになれればいいのに。
君の笑顔は反則的だ。
好きだという気持ちが膨らむ。
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神剣・神楽は持ち主の体を維持してくれる。
怪我をすれば癒してくれるし、そのあとの傷跡もある程度なら綺麗にしてくれる。
といってもそれが衣服まで届くはない。
お気に入りのシャツは無残にも布切れになった。
結界が解け、少女が近寄ってくる。
「無事ですか?」
少女の言葉に青年は微笑む。
初めて恋した人は目元が涼やかな背の高い人でした。
相手も私のことを憎からずに思ってくれている。
それが分かっているだけでも幸せな恋でした。
幼い頃から女性に囲まれて育ったせいでしょうか。
異性である彼が近すぎると怖い、離れても嫌。
という自分の都合の良い気持ちを持ってしまいます。
カレンダーの数字に、大きく丸が付けられている。
バッテンを一つつけて、ためいきをつく。
あと少しで、大好きなお姉ちゃんが結婚してしまう。
結婚式で着るドレスは純白で、細やかな針仕事を感じる物だった。
お姉ちゃんによく似合っていた。
お姉ちゃんは幸せになるために嫁ぐのだ。
我慢する。
好きだったのは、嘘じゃなけど、好きの種類が変わった。
それは子供の頃、ピーマンが嫌いだったのに、いつの間にか食べられるようになったこととに似ている。
自分でもよく分からないうちに気持ちが変わってしまった。
今は「大好き」というよりも「愛している」に近い。
短所ですら愛おしい。
君のためにできることを探した。
僕はちっぽけな存在だから君のためにできることなんてなかった。
君のためといいながら僕のためだった。
自己満足をするために君を利用したんだ。
それは吐き気がするほど醜悪で、嗚咽が混じるほど残酷なことだった。
今度こそ君のためにできることを見つけたい。
中途半端に伸びた髪を結んでいたヘアゴムがぷつりっと切れた。
ヘアゴムは廊下に落ちて髪が首筋を覆う。
青年はヘアゴムを拾う。
別に特別なものではない。
百均で売っているようなヘアゴムだ。
部屋に戻れば予備のヘアゴムもある。
それでも青年は手の中のヘアゴムを見つめる。
長かったと思い返す
いつも一緒にいた。
何をするのでも二人は一緒だった。
だから気がつかなかった。
線引きされたのはランドセルの色が違う時のこと。
同じではいられないと気がついた。
それでも一緒にいたから誤解していた。
隣で笑っていてくれると思っていた。
いつから当たり前になったの。
それすら分からない。
命を賭しても守ると誓いを立てた。
姫が無事ならそれでいい。
自分の命なんて、姫の命に比べれば軽いものだ。
隣国からの奇襲で焼け落ちた城から逃げ出す。
敵の攻撃から姫をかばう。
あと何人切り伏せればいいのだろうか。
誓いの修正をしたくなった。
二人で無事に逃げのびると、新たに思った。
小指の先に結ばれていた赤い糸。
永遠に結ばれているものだと思っていた。
けれども違った。
絡んだ糸は解けてしまった。
残された小指には何もない。
信じていたから、心の中にぽっかりと空いてしまったようだ。
この先、また誰かと糸でつながるのだろうか。
次こそは、と思ってもいいのだろうか。
最初はペアのマグカップだった。
二人でおそろいのマグカップを買った。
離れている時間、一緒にいるような気がするように。
独りでいる淋しさはまぎれた。
それから時間を重ねていき、とうとうマリッジリングを買った。
プレーンなデザインのそれは左手の薬指にぴったりだった。
未来は薔薇色だ。
自分でもいうのもなんだが俺は学園の王子様だ。
血統も家柄も悪くない。
文武両道の道を行く。
スタイルだっていいし顔も良い方だと思う。
告白を受けるのは日常茶飯事だ。
そんな俺が惚れた女は文学を愛する地味なタイプだ。
「俺と付き合う気はないか?」
「ごめんなさい」
「いい度胸してるね?」
今や大人気の舞台のチケット。
手に入れるのは至難で、行ける範囲の会場を申し込んでも全部落ちるのは珍しくない。
今日は当落の発表日だ。
メールを確認すると全会場、落選した。
その悔しさは言葉にならないほどだった。
それでも多くのファンがいる証拠だと我慢する。
DVD化するのを待つしかない
ときどき、彼と連絡が取れなくなる。
私ひとりが広い宇宙に投げ出された気分になる。
依存症みたいな感じだ。
自分以外の人物のことをこれだけ想えるのは謎だ。
連絡取れない理由は、ささいなことだ。
たまたま風呂に入っていたとか。
会社で飲み会で返事ができなかったとか。
私の知らない彼がいる
夢を追いかけて小さな町から飛び出した君。
元気にしているだろうか。
写真整理をしていたら君との写真がほとんどなかったことに気がついた。
僕が写真を撮られるのが苦手だったからだ。
こんなことなら、君と一緒に写真に納まっておけばよかった。
忘れないように思い出をくりかえし胸に描く。