同胞殺しの妖刀、神剣・神楽。
もっともっとと同じ血を引く子供たちの生命を欲しがる。
誰かを傷つける度に、鈍くなっていく心。
生きるための戦いが、快楽を得るための戦いに。
獣に落ちていきそうだった。
人間らしい心を持っていないなら化け物と同じだ。
あちら側と同じだ。
青年は心を改める。
それは恋なんてものじゃなかった。
だったら、この胸をえぐった傷をの数々は何だったんだろう。
雑巾のようにボロボロになってしまった心は、どこへ持っていけばいいのだろうか。
記憶の中に残るキラキラとした輝きは嘘偽りのものだったのだろうか。
誰か答えてくれないか。
間違いではなかったと
何でも知りたがるのは「幼い」証拠だよ。と言われてしまった。
世界は広く、知らないことであふれている。
一生かけても全てを知ることはできないだろう。
話し相手をしてくれる男性のことだって全部を知っているわけではない。
知らないから知りたいと思ってしまう。
それは悪いことなのだろうか。
前から伝えようと思っていたんだ。
本当はこんなこと言いたくないんだけど。
でも言わないと僕の心の整理がつかないから。
どうか最後まで聞いてほしんだ。
僕は君の「大丈夫」が、大嫌いなんだ。
泣きたいのを我慢しながら、いつでも君は「大丈夫」をくりかえす。
僕がいるんだから僕を頼りなよ。
青年は神剣・神楽を見つめる。
鞘に納まっている状態でも血を欲するように律動している。
青年はそっとその柄にふれる。
今まで流してきた血がフラシュバックする。
どれだけ続くのか分からないまま戦いの中に身を投じる。
嘆く者もいないだろう、と思ったが少女の顔が浮かんだ。
泣かせたくはない
君のことが好きすぎて、愛の言葉が思い浮かばない。
子どものように好きだ、大好きだ、愛してる。
そんな単純な言葉しか出てこない。
ドラマに出てくる俳優たちが言う気の利いた口説き文句が一つも考えつかない。
夢見がちな君が欲しがるような言葉を紡ぐことができない。
愚直なほど真っ直ぐに。
貴方はいつでも優しく嘘を吐く。
私が傷つかないように心を隠す。
甘い嘘は蜂蜜のよう。
一度、味わってしまったら忘れられない。
嘘は積み重なる。
本当はどこにいったのか、それすら分からなくなる。
居心地の良い世界の中で紡がれる嘘の数々。
目覚めなければいけない。
たとえお互いが傷ついても。
あの日、君は静かに泣いていたね。
終わったばかりの恋の痛みに耐えかねて涙を零していたね。
僕は何もできなかった。
ただ近くで恋の始まりから終わりまでを見ていた。
臆病者だったから、傷つくのが怖かった。
君が好きだったけれども、言葉にできなかった。
君は砕けるのを覚悟して恋を伝えた。
ふれるのも、ふれられるのも好きだ。
キスするのも、キスされるのも好きだ。
一瞬の快感を得られるから好きだ。
ただ、それが人前で行われるのは嫌だった。
二人きりの時は、どれだけふれられても、どれだけキスされてもかまわない。
むしろ大歓迎だ。
恋人はいつでもふれあいを楽しみたいみたいだ。
恋人同士だった時は気がつかなかった。
離れてみて、どれだけ貴方が私のために気遣ってくれたのか、身に染みた。
貴方のいない世界はとても空虚だった。
たった一人の人間がいないだけでここまで辛いとは思わなかった。
お願いだから、もう一度好きになって。
今度は貴方だけを見つめるから。
誕生日に「友達を連れてきたよ」と紹介された。
まだ小さな犬だった。
「これからはずっと一緒に過ごすんだ」頭を撫でられた。
子犬は忙しい両親の代わりに相手になってくれた。
独りぼっちのお留守番も子犬と一緒なら、寂しさが紛らわされた。
何でも話せる親友ができたようだった。
毎日一緒だ。
君を好きだったのは、嘘じゃないけど今は違う気持ちになっている。
君が笑顔で挨拶してくれた日から育まれた感情は、まぎれもなく恋だろう。
君は僕の心の中の専有面積を広げていった。
独りになる瞬間も君との想い出があれば乗り越えられた。
ただただ好きだった。
この恋の終焉は愛に違いない。
別に君のことをどうでもよく思っているわけじゃないんだ。
むしろ一番大切に想っている。
待ち合わせの時間に遅刻するのは悪いと思っている。
ちゃんとアラームをかけているし、着る服の準備、軽く食べる朝ごはんの準備をしてから眠っている。
それでも何かしらのアクシデントがあって遅刻する。
降水確率をチェックする。
今日は午後から雨が降るようだ。
僕は大きめの傘を持って家を出る。
授業を受けながら、窓の外を気にする。
早く雨が降らないかな。
そればかりを思う。
君と交わした雨の日の約束。
期待通りに雨が降り出した。
昇降口で待つ君を傘に入れる。
相合傘で君の家まで送る。