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「 140文字の物語 」
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「これからはよろしくお願いね」気さくな少年は手を差し出した。
内気な少女は途惑う。
遠慮がちに、自分の両手のひらを軽く握る。
どうして明るく振舞えるのだろう。
格子の嵌った部屋で少女は思った。
「少し馴れ馴れしかったかな?でも君と仲良くしたいんだ」少年は言った。
少年の手を握った。
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少女は少年の前に脇差しを置く。
少年は少女の前に指輪を置く。
これにて契約は成立した。
少年は生命の限り少女を守る。
少女は生命の限り少年を愛する。
二人はめでたく婚約者同士になった。
ここまで来るのにずいぶんと回り道をさせられた。
少年は思いを馳せる。
これで少女は自分だけのものだ。
「助けて」乾いた唇で少女は言った。
「行こう」少年は少女の手を取った。
「どこへ?」途惑ったような声をしていた。
「このまま世界の果てに行こう」少年は力をこめて少女の手を握る。
「僕たち二人だけの世界に行くんだ」少年はキッパリと言う。
少女の顔が明るくなる。
「連れて行って」と言う
水鏡は静寂を漂わせていた。
水面に自分の顔が映る。
そこに人型を模した紙を並べていく。
水を知った紙は重さで水底に落ちていく。
穢れが払われていく。
一枚一枚、祈りをこめて水面に置いていく。
病気や怪我をした人たちが早く治りますように、と願う。
巫女である自分だけができることだった。
君に出逢わなければ幸せだった。
僕は恋の悲しみや苦しさを知らずにいられただろう。
君と出逢って僕は弱くなった。
君の小さな仕草も見逃せなくなった。
僕は君からどう思われているのだろう。
そんなことを考えてしまう。
考えても答えが出ない迷路にさまよう羽目になった。
君と出逢ったばかりに
お土産で貰った菓子は色物だ。
中身のクリームがネロネロしていて舌触りが悪かった。
どうしてこんなものをお土産にしようと思ったのだろう。
試食はできなかったのだろう。
そんなことを思った。
でも、どんな菓子でも難癖をつけただろう。
どうしても祝福できない。
末永く爆発しろ、と呟く。
民衆の悲願を叶う時がきた。
一つ一つは小さな声だ。
それが集まれば政治上、無視できなくなる。
まだ若手の議員が意見を拾う。
丁寧に声を上げ続けた人の元に訪れる。
願いが叶う時がきたのだ。みんなは確信した。
きっと国会に届けられるのだ。
今まで諦めずに運動を続けてきて良かったと思った。
昼がきてもベッドの上でめそめそ泣いていた。
大失恋したばかりなのだから、これぐらい許してほしい。
人生の中で最初で最後の人だと思った。
友だちが放課後に授業のコピーを持ってやってきた。
怒り顔で、私の指を両手で包む。
「何があったかは聞かない。独りで泣かないでよ」と優しく言った。
愛する貴方へ宣戦布告です。
次に来る私の誕生日までに、貴方の口から愛の言葉を勝ち取りましょう。
恥ずかしい。今更だ。と言い訳ばかりを聞かされてきました。
愛する貴方から言葉をもらえないのは、どれだけ辛いことでしょう。
きっと貴方には分からないでしょう。
こちらにも意地があります。
涼しい風が吹くようになった。
季節は夏の終わりを告げていた。
日が沈むのが早くなり、夕方が鮮やかに染まるようになった。
学校からの帰り道、影を見つめながら歩いていた。
ふと目をやると満面の笑みを浮かべながら、指先をぎゅっと握る君がいた。
愛しさが胸をいっぱいにさせる。
僕は握り返す
少年のことはずっと前から好きだった。
それなのに告白ができない。
プライドが許してくれない。
女の方から告白をするなんてはしたない。
だから、少年が告白をしてくれるのをずっと待っている。
この待っている、という時間が曖昧で、たまらなく不自由だ。
そもそも少年は好意を持っているのか。
少年の手が伸びてきて少女の手をつかむ。
少女は震えた。
いまだ恋人同士になったのに、スキンシップに慣れない。
少年は当然といった顔で少女を見つめる。
余裕のある調子に少女は俯く。
見つめられるのも、見つめ返すのも苦手だ。
世の恋人らしく振舞えるようになるまで時間がかかりそうだった。
靴を下ろしたばかりなのに、大雨が降った。
アスファルトのあちこちには水溜まりができていた。
革靴だから濡らしてはいけない。
けれども水面をよけて通るのは難儀なことだった。
奮発した革靴だ。
無事に家まで帰りつきたい。
濡らしてみっともないことになったら、と想像して少年は震える。
「いつも、いたずらしているから、し返してもいいよ」少年は殊勝なことを言った。
それに少女は頭を悩ませる。
どんないたずらをすれば、少年が驚くのか、分からなかったからだ。
少女は恥ずかしそうに、少年の手のひらを両手で包む。
「これで、どんないたずらもできないでしょ」
「まいったな」
-
静かに降る雨音は子守歌に似ている。
君の声を思い出す。
眠れぬ夜に唄ってくれた。
眠りの浅い僕にしては、ぐっすり眠れたことを覚えている。
外に降る雨を眺めながら、今すぐ君に会いたいと思った。
二人分はいれるような大きな雨傘を持って君を迎えに行きたい。
そして、子守歌を唄ってもらう。
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