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「 140文字の物語 」
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窓際に座った乙女は小さく呟いた。
誰に聞かせる風でもなく、独り言のように。
「幸せはどこにあるんでしょう?」
宝石のようだと譬えられる瞳は窓の向こうを見つめていた。
この国一番の高貴な乙女は幸せではないのだろう。
悲しくなるほどに穏やかな口調に、それが滲んでいた。
幸せを届けたい。
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プランターに一緒に種を植えた。
芽が出た時は手を合わせて喜んだ。
毎日、写真を撮り続け、アルバムに写真を収めた。
この花が枯れたとき、君は僕から離れていく。
知っていたから、一緒につける観察日記は尊いものになった。
花が枯れても僕の想いは一緒だ。
君が好きだという気持ちは揺るがない
彼より前に君と出逢っていた。
波長が合うように、気が合った。
それなのに君は僕ではなく彼を選んだ。
所詮、僕は友達だったのだ。
運命の人ではなかったのだ。
それを見せつけられて、僕は怒りにも似た感情を抱いた。
それでも、君の傍から離れるという選択肢はなかった。
矛盾を抱えたまま過ごす
彼の人の眼光は鋭い。
与えられた選択はどちらも厳しいものだった。
注がれる視線に緊張して、目を床に落とす。
万民のための選択とはいえ、どちらも犠牲をなくすことはできない。
だからこそ彼の人は自分に問うたのだ。
皇帝といえども迷うことがあるのだろう。
誰もが幸せになるという選択はない
「話、ちゃんと聞いているの?」君はろれつの回らない口調で言う。
瞼は重たそうで、今にも眠りにつきそうだった。
「大丈夫。聞いているよ」僕は小さな背中をポンポンと軽く叩く。
「嘘つき」君は泣き顔で、僕の両手のひらに爪を立てる。
「心外だなぁ。これでも君のことを心配しているんだよ」
僕の世界でひとつだけの終末論。
それは君がこの世から消えること。
君のいない世界には価値はない。
僕は微笑みながら生命を絶つだろう。
だから君は僕より先に死んではいけない。
僕を置いていってはいけない。
それぐらいの我が儘を聞いてくれてもいいだろう。
僕のたった一人の女神さま。
人伝にテスト用紙が返ってきた。
ご丁寧に修正箇所に黄緑のマーカーが引かれていた。
赤いボールペンで解説付きだ。
それを読む。
インフルエンザで出席停止じゃなければ無理にでも学校に行った方が良かったと思った。
ケアレスミスに「次は気をつけよう」とイラスト付きのテスト用紙は恥ずかしい
いつも元気な幼なじみが病気で休んだ。
今日、配られたプリントをもらって、お隣さんに訪れる。
ベッドに横たわる幼なじみは弱々しそうで、心臓が跳ねた。
用件を果たして帰ろうとしたら「待って」と声をかけられた。
上目遣いで、僕の両手を握り締める。
火傷しそうなほど熱かった。
僕は座った。
「彼は我が儘で、自分勝手なの」カフェでオーダーしたら親友が切り出した。
「それでも大嫌い、って言えないの」相談に見せかけたのろけ話だろうか。
「嫌なこともするし、やめてと言ってもやめてくれない」親友は続ける。
「ちょっと距離を置いてみたら?」私は言った。
親友は首を横に振る。
彼女と繋がるのは気持ち良い。
汗が交わりあい、肌と肌を重ねる。
他人にふれるのがここまで心地よいものだと知った。
彼女も嫌がらなかったから、より拍車がかかった。
会う度にキスをするのは当たり前になった。
携帯電話が鳴る。
「そろそろ帰らなきゃ」彼女は言った。
「送っていくよ」僕は言う
手を繋ぎたいけれどもタイミングがつかめない。
何もかも初めて尽くしだからだ。
学校の廊下をすれ違う。
「やぁ。移動教室?」と出来るだけ自然に声をかけた。
君はコクンと頷く。
「それじゃあ」と君ははにかんだ。
恥ずかしそうに、僕の手のひらを軽く握る。
「また一緒に帰ろう」と君は言った。
先輩に勇気を奮って声をかけた。
「恋愛ごっこ、してみませんか?」
そういうと先輩は目を瞬かせた。
「君、変わってるね」面白そうだといわんばかりに先輩は笑う。
その表情に胸がときめく。
「恋愛したことがないんです。先輩ならたくさんしているでしょう?」
「ごっこでいいの?」と尋ねられた
クラスメイトは昇降口にたたずんでいた。
外は強い雨が降っていた。雨を止むのを待っているのだろうか。
それならやめた方がいい。
天気は下り坂だと家を出る前にニュースが流れていた。
傘を差しかける人はいないのだろうか。
濡れて帰るクラスメイトは寂しげだ。
「もう一本、予備があるから」
嵐が近づいてきて雲が空を走る。
目で見えるほどのスピードで駆けていく。
今夜はオリオン座流星群の極大だが、流れ星を見ることはかなわないだろう。
雲の上に広がっている銀河はいつも晴れだというのに。
地上からは観測できないというのは残念過ぎる。
年に一度の楽しみを奪われたことを恨む。
想うと夜も眠れないほど好き。
こんなに恋しく想うのに伝えられない。
恋の告白は男側からするものだ。
固定観念にがんじがらめになっている。
プライドが許してくれない。
早く想いに気づいてほしい。
そして、笑顔で告白してほしい。
そうしたら私も「ずっと前から好きでした」と言えるのに。
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